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二人の秘密

「しっかし暑くなってきたわね〜」


エイラとリザの二人は人が混み合う大通りを歩く。

向かう先はジークのいるカフェ。


エイラは手で首元を仰いだ。


空からは容赦ない直射日光が降り注いできている。


「夏も近いもんね」


隣で歩いているリザがそう言った。


今の時間帯は10時頃だろうか。

空は雲一つない晴天。


しかしそのおかげで、降り注ぐ日射が強烈なのだ。


寒いのが苦手なエイラだが、かといって暑いのが平気なわけでは無い。


ただ、今日晴れたのは嬉しい事。

晴れというものは不思議なものだ。


ただ晴れているだけで、無意識に自分達の気分を高めてくれる。


逆に曇っていたり雨が降っていると、気分もやる気も落ち込んでしまう。


朝目を覚ましてカーテンを開けて、天気が良かったら嬉しい気分でその一日が始まる。

その反対に、天気が悪かったら自分の気持ちも落ち込んでしまい、なかなか良い一日にはならない。


こう考えると天気とは…いや、人間の心とは不思議なものだ。


ただ晴れも良いことばかりじゃない。

今のような天気で外を歩くとなると、日光が強くて大変だし汗をかいてしまう。


特に汗をかくのは勘弁してほしいものである。


ただ今はそれどころでは無かった。

エイラには先日からどうしても気になる事がある。


それはジークのこと。


二日も会えなかったけど、あいつ…何をしてるのかしら…。


ジークと会うのは二日振り。


この街に来た時に、大通りで彼とはぐれてしまった。

どうにか会おうと通話もしたが結局会えず昨日も会えなかった。


初日に、はぐれてしまったのは大いに反省している。

あまりに大きな都市だったためにリザと一緒にはしゃぎすぎてジークを置いて行ってしまった。


二人で綺麗な街並みや色々なお店を見ていたのは良かったのだが、ハッとしたようにジークの事を思い出して後ろを振り返ると、その時には彼はそこにはいなかった。


流石に不味いと思って通話(コール)で状況確認して謝ろうと思ったらなぜか彼も謝っていた。


何故謝っているのか訳を聞くと、内容が奇妙すぎて思わず目を丸くしてしまった。


たしかその時にした会話はこのようなものだった。


「ごめんなさいジーク。

二人で先に進みすぎてジークの事置いてっちゃったみたい…」


「いやいや気にしなくて良いぞ。

俺もお前らについてこうと思ったら、自分でも何を思ったのか別の道に行っちゃったからな」


「え…?そうなの?」


「うん。

それでこの後の事なんだけどさ、今日はもう会えそうに無いから二人で適当な宿に泊まってくれない?」


「え?」


「俺今よく分かんない宿にいるんだけど、ここから出られなくってさ」


「それってどういう…?」


「一から説明するわ。

俺はまず二人と別方向の裏通りに入ってしまった。

その後どうにかお前らと再会しようと進んでいるうちに、女の人が襲われているのを発見して助けた」


ジークは話を続ける。


「女の人は傷を負っていて、俺はそれを治療したは良いものの、とても歩けない様子だったから、宿まで運んだんだ。それで俺の役はもう済んだし足早に宿を出ようと思ったら、そこで彼女に止められて今日は強制的に宿に泊まらされる事になった」


と言っていた。


これを聞いた時は意味がよく分からなかった。


状況が全く確認できないし、想像できないからだ。

しかしこの意味不明な状況を自分なりに噛み砕いてわかりやすく考えてみた。


今ジークが置かれている状況とは、自分達と、はぐれた後に女の人を助けた。

そしてその女の人がジークを無理やり宿に泊めさせた。


こういう状況だと考えている。


では昨日自分達が襲った館は、ジークとどういう風に関係しているのかというと、彼が助けた女の人とあの館の組織は関係があるのかもしれない。


女の人とその組織は何か関係があって、そこにジークが巻き込まれたという形だろうか。


通話の時に色々聴き出そうとしたが「会った時に話す」と彼は言っていた。


これでは予想止まりで正確な事はわからない。

ただもう少しで彼に会えると思うので、その事は後で聞き出せば良い事なのだ。



……それにしても。



ジークのやつ…。

女の人と同じ部屋で泊まったとか言ってたけど、何もなかったんでしょうね…。


エイラが一番に気になっている事はこれなのだ。

ジークは女の人と同じ部屋に泊まると言っていた。


その話を通話で聞いた時点からずっとその事ばかりエイラは考えていた。



その夜は果たして何かあったのか。

もしかしてこんな事やあんな事…。

自分があまり想像したくない事が起こったのではないだろうか。


心の中がモヤモヤする。

 

こんなことばかり考えてはダメだ!

そう思って、忘れようと努力してみたのだが、やっぱり忘れられない。


二日前の夕食の時も、二日前の寝る前も、気付いたら四六時中考えていて昨日の館襲撃の時ですらその事を考え、ボーっとして危ないこともあった。


そして今もこの事を考えている。


…ハァ〜。

私ったら…あいつの事ばかり考えすぎなのかも…。


そうなのかもしれない。

自分が彼の事を心配しすぎているのかもしれない。


彼は精神的にも肉体的にも強い。

自分がいなくても全然平気だろう。


それでもジークのことを考えてしまう。


これは病気なのだろうか。


むしろ、私がいなくても平気と彼が思っていたら、それで自分の心の中は曇ってしまう。


ジークとは生まれた時からずっと一緒。

それこそ、ジークの両親が亡くなる前から家族のように思ってきた。


そんなあいつだからこそ、少しでも離れたらすぐに自分は彼の事を心配になってしまうのだ。


こんな事ばかり考えてはダメね…。


エイラは頭を振る。

そうだこんな事を考えてもなんの解決にも至らない。

今はその組織の事を考えるべきだ。


気分を紛らわすためにリザの方を見る。


綺麗…。


なんと彼女は、輝いていた。

太陽の光をいっぱい浴びて彼女の金髪は美しく光り輝いている。


表情も自信に満ち溢れている。

自分が悩み事でジメジメとした顔つきになっているのが馬鹿みたいだ。


思えば昔が懐かしい。

2年前まではリザはまだ小さかった。

何をするにしてもついてきたし特にジークに懐いていた。そしてとても愛らしかった。


今もジークにはものすごい半端じゃ無いくらい懐いているが。


それに比べて今の彼女は、女のエイラでも物凄く美人だと思う。


金髪碧眼、背丈もあるし身体も女性ぽく変化した。

整いすぎた顔立ちは見ていると引き込まれるし、憧れでもある。


通り過ぎる男性たちがわざわざ振り返ってまで彼女の事を見るほどだ。


私も成長した。


いつまでもくよくよしては駄目ね!

私もリザみたいに強くならなきゃ!


そう決心した時だった。


「――姉さんは…兄さんとその女の人がどういう関係なのか気になる…?」



……へ?


エイラは思わず呆気に取られた顔をする。


「ジーク兄さんは誰にでも優しいけど…

よく分からないの女の人にはあんまり優しくして欲しくないな〜。……なんて思ったり…思わなかったり…」


リザは少しもじもじしていた。


……嘘でしょ?

まさかリザも同じ事を…?


どうやら自分は節穴だったようだ。

まさかリザも自分と同じことを考えていたとは、夢にも思わなかった。


「う、うんまぁ…。

あいつはあいつなりにしていて良いかなぁ〜って私は思う…」



はっ…!?


流れるように口に任せて言った後に驚く。

思わず強がりを言ってしまった。


本当は……


「物凄い気にしてます!

あまり親しくない人に優しくしないでください!

はい!」


なんて言いたいのだがこんな事を言ってしまったら姉としての立場がない。


「普通はそうだよね…。

……なんか私っておかしいのかな?」


リザは明らかに元気がなさそうな顔をしていた。



――――



一方その頃。


クシュン!


「あれ…?風邪でもひいたかな?

気持ちいいからって春からこんな事をしてたら身体に良くないのか?」


「大丈夫…?」


テラス席でくつろぎながら、くしゃみをひっきりなしにするジークであった。




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