血と狼煙
刀身にハングル文字が刻まれた血まみれの青銅刀を左手に提げた黒髪長髪の少女は、黒色の軍服を濡らす赤色の水滴を右手で拭い落とした。周囲に散乱する倭人の死体の中心に少女は立つ。右目にはカメラの仕込まれたアイパッチ。見えている眼は赤い。少女、スニ・アンダーソン元帥の部下のソ・ジファン軍曹がこれを見れば何と言うだろうかと少女は考えたが、すぐに止めた。ここで死に絶えている彼らこそが悪いのだ。そう思いなおす。
十九世紀後半、地球。というのは、この地球に存在する地域はアジアだけで、人種もアジア人だけなのである。最近、碧眼を持つ「空の民」とこの地球が接触した。その際当時この世界で清国との国力を競っていた大日本帝国はその空の民との戦に敗れ、占領された。植民地化した日本は惑星諸地域へと侵略を開始する。植民帝国日本対日本以外のアジア全域の戦いが始まっていた。外で待ち構えていた、あの白球から四本の足が生えた、蟲のような姿の巨大戦闘ロボットは、全てソ・ジファンが鎮圧してくれた筈だ。植民地日本の行政機関化した、空の民直属の機関天皇院は、まず朝鮮に兵を向けていた。この先はこの世界全土をたたき落とす世界大戦となる。
残酷表現削減しました。忙しかったのですが、読者層を広げようと考えます。