第八十七集 特別指名
9月12日 14:00 自宅
ザストから出た後は、各自解散となった。
葉月先生を守ろう大作戦か、センスの欠けらも無いな。
まあそこはいいとして、明日あいつらに教えとかないとな。
にしても、作戦を実行するのはいいけど、任務と被ったりしないのかな。
任務はいつ来るかわからないし、もし来たとして、前みたいに運良く全員同じところに固まるとも限らない。
「あぁ、問題点だらけだな…」
そう呟かないわけにはいかなかった。
「ただいま!」
「帰ったわよ。」
羽澤と鬼寅が帰ってきた。
「おつかれさん。ごはんにする?お風呂にする?それとも…」
「「きもい。」」
「すみませんでした…」
てか最後まで言ってないじゃん、私って言ってないじゃん!たわしかもしんないじゃん!
「どうしたの魁紀、頭のネジでも外れた?」
「至って正常だよ。」
「なら発情期なのかしらね。」
「誰に発情するんだよ。」
「し、知らないわよ!」
なんで逆ギレしてんだこいつ。
「まあいいや。そうだ、16日俺帰ってくんの遅くなるから、ご飯待たなくていいぞ。」
「あらら、任務?」
「そんなとこ。」
「了解だよ!」
こいつらを巻き込む訳にはいかない、3つの班でやるって決めたんだからな。
「魁紀、危ない任務なんじゃないわよね?」
「どんな任務でも危ないもんだろ、危なくないなら任務にする必要なんてないでしょ?」
「そ、そうね…」
どうしたんだ鬼寅のやつ?いやいつもどうしたんだ?って感じだけど。
「2人とも玄関で立ってないで、早く片付けて飯作ってくれ。」
「「はぁ…」」
2人にため息をつかれたが、これも仕方ないことだ。
だって俺より料理上手いし美味いもん食いたいから任せるしかないよね!これぞ他力本願!
14:00 葉月大地宅 葉月大地サイド
陽葵さんとあいつらには申し訳ないが…これもわしの復讐のためじゃ、許せ…
陽葵さんの薬は効くな…体が治るのはわかるが、しっかり治るまで体がちゃんと動かんと来た、さすがとしか言えんのう。
じゃが時間はない、あの女妖魔が藤原の所にいるとなると、復讐どころじゃなくなる。藤原が変な気起こす前に早く片付けないと…
にしても、なぜあの女妖魔が藤原の元に…
まあいい、どのみち女妖魔は殺す、クソジジイは貴族から追放する。
そして、貴族制度は撤廃させる。
だがその前に、いつになったら動ける…
これほど体に違和感があるんじゃ、治った時は違和感も無くなるじゃろ。いつになるかわからんが、治ったらすぐにでも動かないとな。
14:00 鎌倉 藤原邸 冷残サイド
「今日も護衛ご苦労であったぞ冷残!昨日はネズミ1匹いたようだがどうなったのだ?」
「しっかり始末した…始末させていただきました。」
「よいよい、口調など気にせんでもよいわ。始末したならなによりだ!褒美に今日もわしのベッドに入ることを許そう!」
「ありがとう。」
つまらない人間だ。
「ではわしは部屋に戻っておるぞ、夜が楽しみだぁ、はっはっははは!!」
「行ったかな。」
まったく、長壁のためとはいえバカな人間についてしまったものだよ。相手してるであろう物が分身だということにも気づかないとはね。
それはいいとして、昨日のあの人間、どこかで…
気のせいだよね、あの時の弱々しい子どもが、あんなにたくましくなることはないよね。
ただやはり…
人間を始末できるというのに、血を貰えないのは悲しいね…
9月13日 9:00 1年5組教室 丑崎魁紀サイド
ホームルーム開始の時間だけど、葉月先生は来なかった。
むしろこれで来たらあんた何してんだって話だ。
「おはようございますぅ、葉月先生の代わりにぃ、私がホームルームを担当しますよぉ。」
紫先生が入ってきた。
なんやかんやいつもうちの担任の代わりに紫先生が来てくれてる。うちの担任が毎度毎度申しわけない…
「まずは葉月先生についてですがぁ、任務で怪我をおってしまいましてぇ、今は療養中ですぅ。すぐに戻って来れると思いますのでぇ、ご心配なくですよぉ。」
ご心配なくって言われてもなぁ、病院抜け出してるんだから心配するなって方が無理だ。
「ではぁ、今日は任務が来てる班がありますのでぇ、呼ばれた班の班長は前に来てくださいねぇ。」
任務ない班もあるのか、いいな。
「今日は第一班と第四班ですぅ、班長は前に来てくださいぃ。」
やったぜ。任務なし!
「それと特別指名でぇ、田口さん、羽澤さん、丑崎さん、南江さん。以上の4人は1組の指名者と合同任務に行きますぅ。」
うっそじゃん…
また千代川にいちゃもんというかちょっかい出されるじゃん…
「はい!ではみなさん動きましょぉ!先程の4人以外で任務のない方はぁ、1組と合同特訓しますのでぇ、後ほど体育館に集合してくださいぃ。以上ですぅ。」
なるほど、任務なくても休まさせてくれないわけか。特訓の奴らも大変だ。
「あぁ、危ない危ないぃ。先程の指名した4人は1組に行ってくださいぃ、私は特訓の方に行きますのでぇ、任務は1組の指名者から話を聞いてくださいぃ。」
「だとさ、行こっか、魁紀君!」
「はいよー。」
ノリノリに南江は話す。
任務かぁ、五十鈴と16日のことを話さなきゃいけないってのに。
「丑崎さん、今少しよろしいでしょうか?」
急ぎ足で五十鈴が駆け寄ってきた。
「長い話は聞けないけど、大丈夫だ。」
「では手短に話します。今日はもう厳しいですが、作戦のお話、明日に丑崎さんの家で話すのはどうでしょうか?」
「なんでうちなんだよ…てかうちには羽澤と鬼寅もいるんだけど、聞かれちゃう可能性もあるし大丈夫なのか?」
「問題ありません、あとから丑崎さんが誤魔化していただければ大丈夫です。」
真顔で言ってるけどめんどくさいから投げてるだけだよなそれ。
「いやそうにはならんだろ。だいたいあいつらに話聞かせたら絶対16日来ちゃうって。」
「それもそうですね…ではどうしましょう…」
さっきまでの自信どこ行ったよ…
「じゃああれだ、この際聞かれてもいいや、来させなければいい話だから、適当に話しておく。」
「ありがとうございます。」
とは言ったけどどうすればいいんだろ…




