表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
貴族騒乱編
74/193

第六十九集 腕試し

  9月4日 9:50 1年5組教室


  「ほんじゃ、わしからおまんらに教えられることじゃが、聞く限りもうほぼないんじゃ。」


  ないのかよ…


  「じゃがわしが大切だと思うことを教えちゃるわ。おまんらは班を組んでると思うが、班員を大切にせぇ、わしは何度ももう1人おってくれたらなと思ったからのう。」


  班員を大切にか、最近は班行動全然しなかったからなぁ。


  「じゃから、これからの行動は基本班行動で動いてもらう、よいな?」


  久しぶりの班行動か、と言われても、実際なにをするのやら。


  「ほんじゃおまんら、今日はこれで解散じゃ。ただし、14時までは学校から出ることを禁止とする。そしてもちろん、それまでは全部班で動いてもらう、よいな?」


  「葉月先生、なぜ学校を出てはいけないのでしょうか。」


  五十鈴が問う、学校から出てはいけない理由は特になかったはずだが。


  「他の生徒が授業受けとるのに、おまんらだけが帰っとったらおかしいじゃろ?それだけじゃ。」


  なるほど、でも謎が深まる。行動範囲が学校のみ、しかも班行動、なにかするつもりなんじゃないか?


  「ほらほら早く散るんじゃ、わしゃ他にもやらにゃいかんことがあるんじゃからの。ほんじゃ、気いつけな。」


  臭うな、なにか臭う、そこまで嫌な予感という訳では無いか、油断出来ないな。


  「そういうことらしいから、久しぶりの班行動行くよ!」


  南江の号令を久しぶりに聞いた。


  「行くよって言ったって、何するんだよ、学校で。」


  「そうだなぁ、学校は広いし、図書館でも行ってみるか!」


  よりによって図書館って…


  「遥ちゃん、さすがに図書館は…」


  松田も困ってるようだ、そりゃまあそうだ。だってマジで図書館でなにすんの?自習?それとも本読むだけなの??


  「ふふふ、実はね、図書館に纏わる都市伝説を聞いたのよ!」


  「な、なんで、そんなことを…」


  「おっと、通君ビビってる?」


  「び、ビビってなんか…ないよ…」


  いや、そこは素直に言っていいぞ通、足震えてるぞ。


  「僕もあんまり得意じゃないなぁ、都市伝説とか…」


  「俺は好きだな!なんだか自分がその体験が出来ると思うと面白いじゃん!」


  梁と健太で意見が分かれた。都市伝説なぁ、あんまり信じてはないけど、実際に起きてるものもあるから信じざるを得ない場合もあるから嫌なんだよね。


  「では行ってみよう!地下一階のとある小部屋から聞こえるうめき声え!」


  なんでこいつだけテンション上がってるんだ…いつもの事だった…久しぶりすぎて忘れるところだった。


  10:15 任田高校 図書館 地下1F


  「今日普通に学校だよな?なんで地下はこんなに暗いんだ?」


  地下に行ってみれば、本来電気が付いてるはずなのに、真っ暗だった。


  「や、やっぱり…も、戻ろうよ…」


  「うん…さすがに僕も怖いかな…」


  「遥ちゃん、これ来て大丈夫だったの?」


  「よーし!目的の小部屋までレッツゴー!」


  聞いてねぇなこいつ。あと図書館なんだから大声出すのは御法度だぞ。


  歩いていくと、なにやら小部屋らしい所までたどり着いた。南江が言ってたようにうめき声は聞こえないが、不気味ではある。


  「健太と松田、小部屋から妖気かオーラは感じないか?」


  「特に怪しい妖気は感じないぞ。」


  「うん、私もオーラは見えないかな。」


  やっぱり、こういう都市伝説は信用しないに値するわな。


  「おい南江、何も無いぞ。」


  「あれれーおっかしいなぁ…」


  某名探偵かお前は。


  ん?なんだこの殺気は…


  「みんな、武器を構えて!今なんか凄いゾワッとした!」


  南江も何かを感じたようだ。やはり何かいる…ただ、この殺気は身に覚えが…


  「ほう、よいよい。よくぞわしの殺気を感じ取った、魁紀、遥。」


  どこからか分からないが、葉月先生の声が聞こえた。


  「葉月先生!?」


  「そうじゃ遥。そして第五班、おまんらは合格じゃ。めでたいのう。」


  「せ、先生…これは、どういう…」


  「おまんらの実力を測っただけじゃ、変な意味は無いぞ。」


  実力って、殺気を感じとれるかどうかだけか?


  「おまんらが殺気を感じとれんかったら、殺してたかもしれんのう。」


  「「えぇ…」」


  「はっはっは!まあそう怯えるな、自分の生徒を手にかけるつもりはないんでのう、大丈夫じゃ。」


  本当かな、ちょっと心配になってきた。


  「それで先生、他の班のみんなは?」


  南江が先生に問う。


  「まだじゃ、おまんらの班が最初じゃからのう。明日教室に来たら人数減ってるかもしれんのう。」


  そんな物騒なこと言わないでくれよ…


  でもみんななら大丈夫だろ、夏と龍太郎は問題ないだろうし、松永にはにゃーちゃんがいる。強いて問題あるとすれば羽澤か…


  「ほんじゃ、次の班の所に行くわ、また明日。」


  「「お、お疲れ様でした…」」


  葉月先生は姿を表すことなく気配を消した。


  とりあえず俺らは無事に終わったでいいんだよな?あの殺気、正直心臓に悪いからもう二度と出さないで欲しい。


  本当に大丈夫かな、羽澤。


  12:00 食堂前 第三班サイド


  「ちょっと早めの昼食だったけど、美味しかった〜!」


  食堂はいいね、どういう料理を作ってるか勉強になる。今日は帰ったら何作ろうかな〜。


  ちょっと待って、なんだかいやな感じ、背筋が凍るような感覚…


  何かは分からないけど、動かないわけにはいかない!


  「みんな下がって!海底撈月(はいていらおゆえ)!」


  水の薄い壁を張った、これなら少なくとも攻撃は防いでくれる。


  「羽澤さん!見て!」


  菊池君の声と同時に、水の壁にクナイが突き刺さった。


  「みんな!戦闘態勢を取って!」


  なんでこんな時に敵襲なのよまったく!


  「ほうほう、やりおるのう。あと少しでお陀仏じゃったぞ?第三班。」


  「葉月先生!?」


  「でもまあ、わしの攻撃を防いだから合格じゃ。めでたいのう。」


  合格?なんの話をしているんだろう。


  「ほんじゃ、これで全班合格じゃな。思ったより強いのう、おまんら。」


  「色んな修羅場を潜って来ましたからね…」


  「おまんは特に大変じゃったろ、幽奈。」


  「え?」


  「話なら聞いちょる、親と弟を殺られたんじゃろ。今までよう頑張ってきたのう、凄いことじゃ。」


  先生は私の頭を撫でながらそう言った…


  まったく…泣いちゃうじゃない…


  「いえ…私は…みんなのおかげで…」


  「それでも凄いことは凄いんじゃ、わしも家族全員殺られてしもうとるんじゃ、気持ちはわかっとる。」


  「先生も?」


  「そうじゃ、妖魔が襲ってきとるっちゅうに貴族のせいで助けれる家族もみんな殺られてしもうた。」


  だから先生、あんなに貴族嫌いだったんだ。


  「話はここまでにしとこうか。おまんら、もう帰って大丈夫じゃ、また明日のう!」


  そう言って、先生は走り去っていった。


  でも先生の話を聞いて思ったのは、先生の話はきっと、私の話よりももっと残酷な気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ