第百八十集 光の弾丸《バル・ド・リュミエール》
4月7日 9:10 2年5組教室
こりゃもうダメだ、嫌な未来しか見えない…こんなお嬢様が関わると大抵ろくな事にならない、俺知ってるんだぞ。
「何か嫌なことでもありましたか?」
「い、いや、そんなことないぞ。」
「なら良かったですわ、とても暗い顔をしていましたから。」
怖い、エスパーかなんかかこいつは…
「レオナさんは何で戦うの?武器?それとも陰陽?」
「いい事言ったな涼子、せっかくじゃ、レオナの腕も見てみようか。体育館に行く、準備しろ。」
早速すぎるな、誰が相手すんだよ、俺は嫌だぞ。
9:13 2年5組専用体育館
久しぶりの体育館、と言っても2年生になったから前とは違うところだけど。でもなんか設備1年の時より多い気がするな、年功序列を感じる。
「ほんじゃレオナ、早速じゃが模擬戦じゃ。相手は…そうじゃな、幽奈、おまんがレオナの相手じゃ。」
「え、私ですか?わ、かりました。」
ほほぅ、これはこれはいい戦いが見れるんじゃないか?
「他のみんなはちょっと離れて見ちょれ、2人とも準備はできちょるか?」
「ウィ、問題ないですわ。」
ボナパルトはカバンから1丁の銃を取り出した。
銃?これはまた珍しい武器を。ちょっと大きめのハンドガン?マグナム?銀の銃身に金のエンブレム、重厚感がすごい。
「へぇ銃ねぇ、戦ったことないから慎重にいかなきゃね。」
「そんなに気になさることはございませんわ、ただの模擬戦ですから。」
「模擬戦だとしても負けたくはないかなー、レオナもそうでしょ?」
「そうですわね、負けたくないと言うより、負けない、ですわね。」
へぇ、結構な実力の持ち主なんだろうな。
「ふぅん、相当自信あるんだね。」
「いいえ、私に、不可能がないだけですわ。」
「両者準備はいいな、始め!」
ボナパルトは銃、羽澤は手を構えた。
「光の弾丸。」
「雀呪符・断幺九!」
ボナパルトは高速の弾丸を発射、それに対して羽澤は斬撃の陰陽を放った。
さあどうなる、弾丸か、陰陽か。
弾丸と斬撃が衝突した、弾丸は斬撃を突き抜け、一瞬にして羽澤の肩に届いた。
「はっや!くっ…!」
「威力は抑えてます、弾が貫通することはありませんわ。では、光の連射。」
銃弾の5連射、5つの軌道を描いて羽澤を襲う。
「雀呪符・平和!」
14枚の雀牌が現れ、5発の弾丸を防いだ。と思われたが、2発の弾丸で雀牌は壊され、3発の弾丸が羽澤に当たり、その場に倒れた。
「これで終わりですわね。」
「まだ…まだ終わってない…!」
「終わりじゃ幽奈、もう休んちょれ。」
羽澤が一方的に負けた…これは認識を改めなければならないな、海外にもこんな化け物がいるのか。
「日本じゃ銃は警察以外禁止じゃからのう、わからん殺しされるのもしゃーない。じゃが今後、妖魔が銃を使わないとも限らん。今のうちにレオナにいろいろ聞いちょれよ、おまんら。」
じゃあなんでレオナは銃持ってんだってのは聞いちゃいけない話なのだろうか。
「ほんじゃ解散じゃ、教室戻れ。」
良いもん見れた、あの高速の弾丸、どうやったら対処できるんかなぁ。
9:50 2年5組教室
「ぷすー…」
ああこれは怒ってますね、はい。
「慰めて、いややっぱしないで、余計悔しくなる。」
「あーはいはい…」
なんなんだこいつ。
「魁紀さん、学校を案内して頂いてもよろしいでしょうか?」
げっ、話しかけられてしまった…
「いいけど、なんで俺?菅野じゃだめなのか?」
「私の勘が魁紀さんに案内してもらうと良いと言っていますの。案内、受けて頂けますわね?」
目がいいから案内しろって言ってる…これは断ったら死ぬかもしれないな…
「わかったわかった、つってもそんなに珍しいものは無いぞ。」
「メルシー!ではお願いしますわ。」
「むぅ…」
羽澤に睨まれた気がするが、あとで慰めてやるか。
10:00 購買部前
「ここが購買部、小腹が空いたらここでパンとか買えるぞ。」
「ところで魁紀さん、1つお話があるのですが、よろしいでしょうか。」
よろしくない…とは言えない空気だな、ええ絶対めんどいくせぇ話じゃん…
「な、なんだ?」
「三日月という剣をご存知でしょうか?」
「そら知ってるよ、天下五剣の一振で、今唯一見つかってない一振だ。それがどうかしたか?」
「私、その三日月の所在を掴んでいますの。ですが1人で探しに行くのは心細いのです、どうかご同行をお願いしてもよろしいでしょうか?」
三日月の所在を知ってるだと?みんなが日本中探しても見つからないのになんでこいつが…
「どこでそれを知った?それとどこにあるんだ?」
「それは魁紀さんの返事次第ですわ、魁紀さんなら、同行して頂けますわね?」
「その自信はどこから湧いてくるんだ??」
「私に不可能はないですの、だから魁紀さんは必ず同行して頂けますわ。」
ボナパルトはただ微笑みながら丑崎に語りかけた。
調子狂うな、断ったらわかってるよな?って雰囲気じゃない。ただ断らせない圧を感じる、強者の圧とは違うまた別の何か…
辰仁先輩もそろそろ回収したいところだとは言ってたし、せっかくなら付いていきたい、ただ凄くめんどくさそう…
「どうしますか?」
「同行させてもらおう。」
「メルシー!魁紀さんならそう言うと思いましたわ!」
このなんだ、手のひらで転がされてる感覚は…めっちゃ腹立つ…
「でも、やっぱなんで俺なんだ、他にもっと強いやつなんているだろ。」
「そこは、内緒ですわ。」
ボナパルトは丑崎にウィンクをして、その場を後にした。
よくわかんねぇお嬢様だなホントに。でもこれで三日月の所在を掴んだも同然、問題は誰に持たせるかなんだよなぁ…急に出てきたフランスの人になんて渡せねぇよなぁ…お偉いさんどうせ日本の国宝が!とか言いそうだし…
「ヒッヒッヒッ、話は聞かせて頂きましたよ丑崎魁紀、よろしければ私も混ぜてください。」
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