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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
半妖の破戒僧編
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第百六十七集 殺す時間

  1月22日 6:00 湯の宿・京 505号室


  またこんな時間に目が覚めてしまった…緊張してんのか、眠りが浅かったのか。まあなんでもいいや、早めに起きたなら早めに準備するか。


  目の前であんなに人が死んだのは初めてだ…初めてのこと過ぎてなんの反応もできなかった。


  でも今日倒すんだ、倒さなきゃいけない。こっちは5人もいる、おまけに吉留さんのサポート付きだ、簡単に勝てなくとも簡単に負けることはない。


  さてと、荷物の準備はよし。あとは…そうだな、ご飯食べて会議室にでも行くか。


  6:40 湯の宿・京 2F 会議室


  あれだけ人には休んでください言っておいて何やってんだこの人は…ていうか、いろいろ無防備すぎる…


  丑崎が会議室に入ると、だらしない体勢で机にうつ伏せになっていた吉留がいた。


  「吉留さん…大丈夫ですか?生きてますか?」


  「うーんあと5分だけぇ…」


  「あの…吉留さん?体に響くからその体勢で寝るのはやめといた方がいいですよ。」


  「うーん…え!?丑崎さん!?なんで!?」


  こっちがなんでだよ。


  「早起きしてしまったもんで会議室で待機しようかなと思って来たんですけど、また後で来ますね…」


  いかんいかん…シャツのボタンが結構外れてるから目が誘導される。何かが起きる前に立ち去るとしよう。


  変に目線を逸らす丑崎を見て、吉留は自分の状況をやっと把握した。


  「ああああ!直ぐに整いますのでちょっと外で待っててください!!」


  やっと気付いてくれたか…


  数分後


  「すみません、お待たせしました…どうぞ…」


  「はい…こちらこそすみません…」


  なんだこの状況、アニメで見たことあるぞ、彼女の部屋に初めて入るかのようなこの感じ。


  「それでもしかして一晩中ここにいたんですか?」


  「お察しの通りです…隠殺童子用で器具の調整をしまして…手際が悪いものでつい時間がかかってしまいました…」


  隠殺童子用の器具か、私気になります。


  「どういうものですか?」


  「よくぞ聞いてくれました!こちらです!妖気反応を検出するモノクルです!6個作れましたので、皆さんが隠殺童子と戦う時に使っていただければ嬉しいです!」


  「え!?凄いじゃないですか!これさえあれば隠殺童子が隠れても見つけられるってことですね!」


  「そういうことです!私もバックアップとして近くで控えるつもりなので、モノクルと私の無線サポートで全力応援させていただきます!」


  応援は助かるけど近くにいるのは大丈夫か?


  「あっ、あとこれも渡しておきます。無線で使うイヤホンですが、かなり小型にしましたので、敵にバレることもないと思います!」


  耳に完全にフィットするタイプだ、これなら戦闘中に落ちることもない。


  「それとご心配かもしれませんが、私は自分用に周囲の妖気に反応するセンサーを置きますので、何かあったらすぐに逃げます!」


  そうか、それならよかった、吉留さんのとこに行かれるのが1番怖いからな。


  「では私はご飯を食べてきます…もし他の皆さんが来たら今お渡しした物を渡してください、よろしくお願いします。」


  吉留はゆっくり会議室を出た。


  正直1度休んでもらいたいんだがな、まあ本人が大丈夫なら大丈夫か。


  8:00 湯の宿・京 2F 会議室


  あれからだいたい1時間半、全員が揃った。


  「ではただいまより、隠殺童子の討伐に向かいます。皆さん準備はよろしいですか?」


  「大丈夫や。」


  「大丈夫です。」


  「大丈夫よ。」


  「問う題はありません。」


  「いつでも行けます。」


  なんなら最初からいたしな。


  「稲荷山に向かいましょう。慈心を乗っ取った隠殺童子を討伐し、可能であれば慈心を捕らえます。」


  「それと、隠殺童子を倒す前に植え付けられた尻尾を切り落とす。これも可能であればやって欲しいです。」


  個人的には絶対やって欲しいことだけど、みんなに無茶はさせられない。


  「では、出発しましょう。」


  「「はい。」」


  今回も、全員無事で帰る。


  8:40 稲荷大社 本殿


  「皆さん、こちら吉留、配置に着きました。ただいまよりサポートを開始します。」


  「「了解。」」


  「やっとか、やっと来たか!!さあ、さあ!殺す時間だ!!」


  隠殺童子の声は聞こえるけど、どこから喋ってるかわかんねぇ。


  「俺は一ノ峰にいる!頑張って、頑張って登ってくるんだな!!」


  一ノ峰って1番上じゃねぇか、よりにもよってめんどくせぇとこに。


  「だが!だが!ただ待つのはつまらん!だからこいつを用意してやった。」


  「おい、なんでもうここにおんねん…」


  「昔に忍者ってのがいたろ?そいつの分身ってやつを使った!分身だからってナメるなよ?俺と同等の力を持った分身だ!せいぜい、せいぜい頑張ってくれ!!ははー!!!」


  分身か…でも5人いるなら一体くらいすぐに!


  「おっとそうだ忘れてた!俺のところにたどり着くまで、今から10分過ぎる毎に、俺の分身を一体外にばら撒く!俺のことだ、一体何人殺すかわかんねぇなぁ。ああ困ったなぁ!」


  「あの野郎!!!」


  一ノ峰まで行くのにも時間かかるってのに!


  「あたしが残る、みんなは先にいってな。」


  「馬、1人でやれるんかいな。」


  「あたしを誰だと思ってんの、時間が無いから早く行って欲しいんだけど。」


  「頼むで。」


  午上以外の4人は午上を残し、山頂を目指した。


  「1人で、1人で俺をやれるとはナメられたもんだな!」


  「黙れ、あたしがお前を()るって言ってんだ。喜んで調教されな。」


  午上はムチを握りしめ、戦闘に入った。

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