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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
半妖の破戒僧編
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第百五十四集 報告

  1月10日 16:00 湯の宿・京 2F 会議室


  あの後は、清水寺を回って、ついでに金閣寺にも行って、楽しく観光することができた。


  申喰はずっとなにか悩んでいたようだが、聞いてみたらこんな観光してて大丈夫なのかと心配してるだけだった。せっかく京都に来たんだからちゃんと観光しない方がむしろ失礼というものだ。


  「全員揃いましたので、本日の報告を行います。私たちの方は特に成果はございませんでした。川を渡って京都駅方面に向かいましたが、現地の方々に聞いても見てない、知らないがほとんどでした。1度東本願寺にて妖魔が出現したものの、巳扇さんと午上さんのおかげで無事に討伐できました。私からは以上です。」


  現地の人が知らないってのも意外だな、ニュースで見たことくらいあるだろうに。


  「それでは次はオイラたちですね、オイラたちの方は清水寺方面に行きました、そして本人かどうかはわかりませんが、大男には出会いました。」


  「お?やるじゃん正!ちゃんととっ捕まえたんだろうな?」


  「いえ、こちらが妖魔と対峙した際に、真っ先に突っ込んだ猿と妖魔の間に突如現れ、すぐさま妖魔を討伐してどこかに消えました。」


  「おい犬、それじゃわしのせいみたいやないかい!どう説明しとんねん!」


  いや実際そうだったしあれ別に誰かのせいとかなくね…?


  「実際そうだったんだから仕方ないじゃないですか。あそこは猿じゃなくとも、あの一瞬で反応なんてできません。オイラと魁紀さんも何もできなかったわけですから。」


  「それで、あなたたち3の人はその大きい男を見てどう思いましたか?」


  「どうって言ってもなぁ…笠被ってたから顔は見えなかったし、持ってたらわかりやすかった酒瓶も薙刀もなかったから絶対慈心だとは言えないのが現状かな。」


  実際に見た大男と写真で見た大男、デカい以外なんの共通点もないんだよな。


  「ほんで1番気に食わんかったんやが、わしのこと童呼ばわりしたことが何より気に食わんのや。」


  「そこかよ。」


  「あったりまえやろが!わしとて十二家のもんとして戦っとんのや!それをなんや?下がっていなさい童だぁ?次見かけたらはっ倒したるわ!」


  「はいはい猿、そこまでです。気持ちはわからなくはないですが抑えてください。オイラもあの大男は気になりますし、もう一度会った時は何から何まで問い詰めますから。」


  珍しく申喰に同調する小戌丸だった。


  「なんや、やけに気が合うやないか犬。」


  「気色悪いのでやめてください。」


  「はい止まってー、2人とも止まってー、そこまでー、お座りー。」


  やっぱダメだこいつら、こいつらに話を展開させられん。


  「でしたら次回の捜索は清水寺周辺から始めましょうか。3人が出会った大男が慈心かどうかはともかく、何か聞き出せるかもしれませんので、次は絶対に逃がさないようにしましょう。では以上で終了としましょう、明日明後日は土日ですのでゆっくり休んでください、13日からまた捜索再開とします、よろしくお願いします。本日はお疲れ様でした。」


  「おーい律ー、飯行こー。」

 

  「わかりました、すぐに(なぞら)えて(そな)えますね。」


  な、なに?なぞらえて???聞いたことない言葉使わないで欲しいんだが…


  「わしらも飯行こか。」


  「そうですね、疲れた体にご飯を注入しなければ。」


  「ご飯は薬かなんかだったか?」


  17:00 食堂 (まつ)()


  今日の夜ご飯はすき焼き、1人1つの鍋を使って食べる旅館によくあるタイプ。


  で食べてる場所なんだが…


  「わざわざこの5人で食べないといけないのかよ…律と2人で食べようと思ったのに…」


  「なんや、わしらと食べたくないんやったら出てってええんやで馬。」


  個室であった…いや個室が悪いとかじゃないんだけどさ、なんでこいつらこんな仲悪いの?


  「人を名前で呼べないのか藤十郎お前。」


  「馬のが楽やからに決まっとるやろがい。」


  「あたし名前蘭なんだけど?馬より楽だと思うんだけど?」


  「そんなんわしの勝手やろ、馬のが楽言うたら馬でええんや。」


  それで言ったらなんで俺は丑崎はんなんだろな…


  「まあもういいじゃないですか蘭さん、猿の言うことなんて気にしないですき焼き食べましょ!いただきます!」


  「小戌丸さんの言う通りですよ午上さん、気にせず食べましょう。いただきます。」


  「まあいっか、藤十郎だし猿だし。いただきます。」


  「おい待て馬、なんや猿だして。」


  仲悪いと思ったのはどうやら気のせいみたいだ、めっちゃ仲良いやこいつら。


  「いただきます。」


  「それで(いち)(たび)聞いてみたかったのですが、丑崎さんのその角はいつ頃から生えたのですか?」


  そんな急に話振ってくることある?


  「中学の頃、修行中に童子切使ったらこうなった。」


  「そうなのですね。」


  ……


  「いや聞いた割には興味無さすぎるやろ!」


  「いいツッコミですね申喰さん、それを待ってました。」


  「おい蛇ナメとんのか?」


  まさかのツッコミ待ちのための質問だったのか…なんなんだこいつ、不思議ちゃんか?


  「猿の唯一のいい所ですよね、ツッコミのキレ。」


  「わしのことなんやと思っとんねんお前ら。」


  「まあ食おうぜ、このすき焼き高い肉使ってそうだし早く食いてぇ。」


  申喰には申し訳ないけど、申喰がどうこうの話よりもすき焼きのが気になる。


  「このメンツやと妙に調子狂うな…なんでや…わしがおかしいんか…」


  「「そうだよ。」」

  「「そうですよ。」」


  「ほんまお前らいてこますぞ。」


  1人変にテンションが上がった申喰を置き去りに、残り4人で美味しくご飯を食べ進めるのであった。


  20:00 大浴場 (よく)()


  はぁぁぁぁ…疲れたあとの風呂は効く効くぅ…


  そもそも大浴場も久しぶりだ、対抗戦以来か?この足を伸ばせるのがいい…家の風呂だと足伸ばせないから、大浴場ってめちゃくちゃ嬉しいんだよなぁ…


  「犬、あとでサウナで我慢比べや。」


  「いいでしょう、今日こそ白黒はっきりつけてあげますよ。」


  おぉ、お二人さんで仲良くやっててくれ、俺はゆっくーり湯に浸かってるよ。


  「何他人事やと思て余裕こいとんねん、丑崎はんもやるんやで?」


  「逃げたら許しませんからね。」


  まったく、なんで俺がそんなことに参加しなきゃいけないのか、サウナなんてまっぴらごめんだ。


  「まさか逃げたりせんよなぁ?そんなしょぼいやつやと思わんかったなぁ、ほな犬、入るで。」


  「待ちなよ犬猿コンビさんよ、誰がしょぼいって?ええ?先に出たやつが罰ゲームで月曜日1人で捜索に出かけるでどうだ?」


  「ええやないか乗ったわ!」


  「オイラも異議なしです!」


  これで月曜日も休めて三連休ってわけだ!部屋でゆっくりさせてもらうぜ!


  1月13日 10:00 湯の宿・京


  「ほな丑崎はん頼むわー!」


  「頑張ってくださいね!」


  クソっ…言い出したの俺なのに俺が罰ゲーム受ける羽目になるとは…

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