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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
半妖の破戒僧編
161/193

第百五十一集 招集

  1月9日 9:00 任田高校 1年5組教室


  冬休みが終わり、再び始まる学校生活。俺は期末テストの存在を初詣の日に思い出して、その勉強に追われている。


  「おはようおまんら、ちょっと大事な話があってのう、ちゃんと聞け。」


  始まって早々嫌な雰囲気、面倒事はさすがに嫌なんだけど…


  「世間には出回っとらん情報じゃけ、口外無用で頼む。2日前、洛陽刑務所から脱獄者が出た。」


  おいおい物騒すぎるだろ、洛陽つったら大阪か、大阪ならそんな近いわけじゃないし、俺らが気にする必要ないでしょ。


  「脱獄者の名は慈心、もともとは坊さんじゃったが、戒律を破って破門になった男じゃ。」


  俗に言う破戒僧ってやつか、字面だけはかっこいいけどやってる事は普通にやばい人。でも名前が慈心なら優しそうな雰囲気あるけどなぁ。


  「破門になった原因じゃが、妖魔を食って半妖になったからじゃ。収監された時はまだよかったんじゃが、脱獄した時はもう人間としての意思が残っちょらんかったらしい、遭遇した時は許可を待たずに討伐にあたってくれ。」


  そもそも出会わないだろ、ここ神奈川だぞ。


  「そこでじゃ、今回の件で招集がかかっちょる奴がうちのクラスにおる。」


  すげぇな、特別討伐依頼ってやつだろ?確か。誰だ?そんなハズレくじ引くやつ。


  「魁紀、2組の小戌丸と午上と明日から京都に向かってくれ。万が一期末試験までに帰って来れんくても安心しろ、進級はさせちゃる。」


  え…おれ…?


  「すげぇじゃん魁紀!」


  「うちの魁紀くん凄いでしょ!」


  放心状態の丑崎に対して、本気で感服している新井に、妙に自慢気な南江であった。


  「先生、それって同伴とかは認められますか?」


  「申し訳ないが幽奈、それは無理じゃ。これは十二家で決まったことじゃ、わしですら口出しはできん。」


  十二家が決めたこと…?え?なんで俺?豪は?鬼寅は?あと子浦と卯道もいるじゃん。


  「そういう訳じゃ魁紀、諦めて明日から京都へ向かえ、監督役の吉留亜香梨(よしどめあかり)さんがいろいろ面倒を見てくれることになっちょる。」


  「わかりました…それはそれとして、なんで京都なんですか?洛陽刑務所は大阪にあるんじゃなかったんですか?」


  「最後の目撃情報が京都だったからじゃ、宿泊する場所も既に手配済みじゃ、あとは頑張れ。」


  あとは頑張れって…そんな他人事みたいに…って他人事か…


  「話は以上じゃ、魁紀に関しては今日は好きなタイミングで帰ってよし、明日の為に準備しろ。ほんじゃあな。」


  葉月はそのまま教室を出ていき、静まり返る教室。


  「ここで丑崎選手、今のお気持ちをどうぞ。」


  新井が煽るように丑崎の元へ走っていき、そう訪ねた。


  「そうですね…とりあえずストレス解消のため、1発顔面をぶん殴らさせてもよろしいでしょうか?」


  「いやー俺も行きたかったなー京都!おいでやすーなんてな!」


  「やっぱマジで殴らせろ!いや斬らせろ!!」


  「や、やめなよ魁紀くん…!」


  「止めるな通!このイライラを今ぶつけなければ!!」


  細矢が全力で丑崎を掴んで止めるが、まったく止まる気配はなかった。


  「夏。」


  「え?」


  「炎呪符(えんじゅふ)(しょう)。」


  「ああああああああっつあっつ!!」


  五十鈴の陰陽により、新井の体が燃え始めた。


  「丑崎さん、失礼しました。これでどうか夏を許してあげて下さい。」


  いや、さすがにそれはちょっとやりすぎじゃない?なんか炎も赤色じゃなくて青色だし火力上がってない?死んじゃうよ?


  「それはいいんだけど、とりあえず水かけてあげた方がいいと思うよ…」


  「ありがとうございます、水呪符(すいじゅふ)(りゅう)。」


  新井の頭上から水が流れ、無事に消火した。


  「あぁ…死ぬかと思った…」


  「夏、次はありませんよ?」


  「はい…冗談が過ぎました…」


  なんだろ、主従関係が成立してしまってる気がする。


  「丑崎さん、大変かと思いますが、頑張って下さい。」


  「「魁紀頑張れ!!」」


  クラスのみんなから応援される丑崎であった。、


  「はぁ…ありがとうなみんな、めんどくせぇけど頑張ってくる!じゃあ先に帰らさせてもらうよ!」


  「魁紀!」


  丑崎が教室を出ようとしたところ、羽澤が呼び止めた。


  「どした?」


  「頑張ってね。」


  ドクンッ


  まただ、鬼寅の時と同じ感じの…ただちょっと違うような…羽澤が可愛く見えたとかじゃない、でもなんだ…よくわからん…


  「ありがとう!」


  いうてまた後で家で会うんだけどな…


  「「ひゅーひゅー!」」


  やかましいやつらだ…


  さてと、とりあえず帰って必要なものだけ準備しようかな。


  「丑崎さーん!」

 

  「お、小戌丸!」


  「正で大丈夫です!今回はよろしくお願いしますね!」


  「俺も魁紀で大丈夫だ!こっちこそよろしく!」


  そうか、正も招集かかってるんだったな。


  「なんであたしまで招集かかんのよ、めんどくさすぎるっしょ。」


  「まあまあ蘭さん、そう言わずに。」


  午上もいるんだったな…話すのほぼ初めて…というか怖くて話しかけられない…


  「脱獄者なんてとっとと捕まえて早く帰るから、足手まといだけにはならないでよね、あんたら。」


  「「はーい。」」


  こっわ。


  「そんじゃあたし帰るから、またね。」


  「はい、また明日!」


  「またなー。」


  ホントギャルって怖い、金髪にムチとか雰囲気出しすぎだろ。


  「じゃあオイラたちも帰りましょうか、明日からはよろしくお願いします!」


  「おう!またな!」


  さてと、頑張りますか。


  1月10日 8:00 新横浜駅


  集合時間に新横浜駅に来ると、既に午上と正がいた。


  「ちゃんと時間通りに来たな、男にしてはちゃんとしてるじゃん。」


  「重大な任務ですからね、遅れる訳にはいきませんよ。」


  「そういや今回は俺ら3人だけなのか?」


  「もう2人いるのですが、既に現地に到着してるとの事ですので、合計で5人ってことになりますね。」


  5人か、そう聞くといつもより少なく感じるけど、少ない人数の方が大事になりにくい、納得。


  「では行きましょうか!」


  「なんで正が仕切ってんのよ。」


  「クラスでもいつもオイラなんですけどね!」


  あの5人の中だったら正が1番まともそうだしそうなるだろうな…


  そういえば、あと2人いるのか、んで既に現地にいると…待てよ、京都だろ?大阪のすぐ近くだろ?嫌な予感が…


  10:15 京都駅


  「なんで犬がここおんねん!わし聞いてへんぞ!」


  「なるほど…だからもう2人が誰なのか教えてくれなかったのですね…邪魔だけはしないでくださいね猿。」


  「あぁん?どの口でほざいとるんやボケ、おどれがわしの邪魔せんように気ぃつけるんや!」


  「でしたら邪魔になりそうなので今ここで排除させていただきます!」


  「上等やはよかかってこんかい!」


  「あなたたち、今すぐ止めなければ、私の蛇眼で石にしますよ?」


  まさかのもう2人は申喰と巳扇だった…巳扇はともかく、酉脇無しで申喰と正を組み合わせるのは悪手だろ…

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― 新着の感想 ―
[良い点] 巳扇ちゃん、私の干支が巳なので注目している子が出てきてくれて嬉しいです! [一言] 章タイトルが冬休み編のままになってます(こそっ)
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