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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
血濡れの歌姫編
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第百四十五集 かわいい

  10月30日 10:20 任田高校 1年2組教室前


  なんなんだこれ…なんの茶番だったんだ…しかも最後自分でバタッって言ったぞ。


  「おい豪起きろ、説明しろ…」


  「見事だ…その実力なら…姫はお前に任せられる…バタッ……」


  RPGのキャラクターかよこいつ、何回話しかけても同じことしか言わなくなるタイプか。


  「おめでとうございます勇者様!あなたは見事に兄王子を倒し、姫と結ばれることになりました!さあこちらへ!」


  「な、何をしてるのよあんたたち!」


  「姫様、そして勇者様、どうぞ。」


  どう見ても教室の出口だがすごい白い花が飾られてる、ここのお化け屋敷は何を目指してたんだ…


  「せーの!」


  「「おめでとうございます!!」」


  2人が出口から出ると、沢山の人からクラッカーの祝福を受けた。


  「「またのご来場をお待ちしております!ありがとうございました!!」」


  するとそこにいた人はすぐさま教室の中に戻って行った。


  「……これ、鬼寅のシナリオ通りか?」


  「違うに決まってるでしょ…」


  「そうだよな…」


  あいつらなんだったんだ…そうまでして俺と鬼寅をくっつけたいのか…


  「それよりさ、まだ手に繋いでおかないとダメか?」


  「うん…そのまま繋いでて…」


  鬼寅はため息をつきながら床に座った、丑崎もそれにつられて床に座る。


  「疲れたな。」


  「そうね…」


  「なんか食うか。」


  「食べる…」


  そうして2人はしばらく手を繋いだまま、文化祭を歩き回った。丑崎にとっては少し気まずい時間、そして鬼寅にとっては少し幸せな時間であった。


  17:00 自宅


  はぁ……とんでもない一日だったな…


  ダンスの反応は想像以上のものだった、明日もう一回やると考えると少ししんどいけど、またあの歓声を聞けるならぜひやりたい。普段あんな人と歓声の中で何かするってことはなかったからね。


  お化け屋敷はまあ…明日1発豪を殴るってことで許してやる。なんなんだあれ、途中までいい感じのお化け屋敷だったのに最後急にRPGのラスボス戦始まったじゃん。気持ちは伝わったけどあんなやり方しなくてもよかっただろうに。


  その後は鬼寅の機嫌取りが大変だった。焼き鳥食べようかって言っても嫌だ、じゃあわたあめ食べようかって言っても嫌だ、ならもっかいお化け屋敷行くかって言ったらビンタされた。結局3年生のたこ焼き屋台でたこ焼きを食べて、ちょっと機嫌が良くなった。


  ただずっと思ってたことは、思ったより鬼寅って繊細なのかもなって。ちょっとした事ですぐに喜んだり怒ったりするし。今日の場合は想定してたことと実際に起きたことが違ってた上に、お化け屋敷という本来は苦手な場所にいたからいつもの調子が崩れたんじゃないかと思う。最初に手握った時はめっちゃ震えてたしな、ていうか、女の子の手ってあんなに柔らかいもんなんだな、俺もスキンケア始めようかな。


  でもまあもうこんなことないだろうな、明日は1人で、それか梁と健太と通誘って3人で回るのもありだな。


  「また明日考えるか、この後はご飯食べて早めに寝ようっと…」


  「魁紀、入るわよ。」


  鬼寅がドアをノックし、丑崎の部屋に入る。


  「どした?もう今日は疲れたから休まさせてくれ…」


  「大したことじゃないわ…今日は、ありがとう…とても楽しかったわ…褒めてあげるわ!よく私を楽しませてくれたわね!褒美に今日は私がご飯を作ってあげるわ!」


  なんだこいつめんどくさぁ…


  「それだけよ!またあとで、ね。」


  鬼寅はドアをそっと閉めた。


  ドクンッ


  なんだ今の、心拍数が一瞬すごい上昇した感覚…よく分からん…ただ1つ言えるとしたら、今の鬼寅が一瞬相馬のように輝いて見えた。


  「可愛かったな、今の鬼寅。あっ…」


  つい口に出してしまった…恥ずかしい…誰も聞いてなくてよかった。


  あの鬼寅がかわいい、かぁ…あんなツンツンしたお嬢様が…やめだやめだ!これ以上考えると頭がおかしくなりそうだ。


  「よし、せっかくだし楽しみにしようじゃないか、鬼寅の夜ご飯。」


  19:00 自宅


  辛いの好きとは言ったけど辛すぎるだろ……


  「か、魁紀!!」


  「おかしいわ…魁紀辛いの好きって言ってたのに…」


  「真由ちゃんどんだけ辛いもの入れたの?」


  「え、唐辛子1袋だけ…」


  「それは何がなんでも入れすぎじゃない?」


  「いっぱい入った方が嬉しいと思ったのよ!」


  何事も…やりすぎは…厳禁だ…


  丑崎魁紀、唐辛子1袋入りの麻婆豆腐により、撃沈。


  10月31日 9:00 体育館


  「本日は文化祭2日目、そしてハロウィンです。皆さん、昨日に引き続き文化祭をお楽しみください。そして毎年恒例本日に限り、仮装を許可しておりますので、ご遠慮なく仮装もお楽しみください。」


  「校長先生、ありがとうございました。」


  今日は文化祭2日目、同時に最終日でもある。昨日と同じように、俺たち1年5組は最初の出番だ。


  だが…


  「ほら魁紀、モーって鳴いてみてよ、モーって。」


  「はっ倒すぞ健太、誰が牛だ。それより似合ってるぞ、キョンシーコスプレ。」


  「それは嬉しいな!」


  「皮肉のつもりだったんだけど…」


  ハロウィンだってのもあって、クラスみんな仮装してる。俺は牛の被り物、健太はキョンシーのコスプレだ。


  「では!1年5組の皆さん!よろしくお願いします!!」


  「皆さん!行きますよ!」


  だからなんで五十鈴はあんなにテンション高いんだよ。ちなみに、五十鈴は馬の被り物を付けてる。よく見るあれな。


  2日目の始まりも、1年5組のダンスから始まっていく。仮装のおかげか、1日目よりも大盛況である。


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