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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
血濡れの歌姫編
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第百二十二集 レッスン

  10月19日 16:15 自宅 丑崎魁紀サイド


  なんだったんだ、今の大谷…なんだか闇堕ちしてなかったか…?


  まあそこはいいや、協力が得られるなら何よりだ。


  人数はこんなもんでいいだろ、多すぎても動きずらいし。


  さてと、あと1週間ちょっと、気張っていくか。


  10月20日 10:00 任田高校 1年5組専用体育館


  気張っていくかとは言ったが、ダンスの練習を気張るなんて一言も言ってないぞ。


  「学校休みだからってダンスの練習は休みじゃねぇっすよ、ほらさっさと始めるっすよ先輩方!」


  今朝急に新井妹から連絡が来て、ダンスの練習するから体育館に集合しろって…なんでもっと早く言ってくんないかな…もっと早く言ってくれてたら朝にどっか行ってくるつってサボったのに…羽澤と鬼寅に無理やり連れられて来てしまったじゃねぇか…


  「魁紀さん!なにサボってんですか!1回も練習参加したことないんですからちゃんとやってください!」


  「はいはーい。」


  はぁめんどくせぇ…


  「天音から聞きましたよ、龍太郎パイセンを連れ戻すんですよね。あーしも手伝います、いつでも呼んでください。」


  新井妹はさりげなく俺に近づいて、小声で話した。


  鷹取のやつ、新井妹に話したのか。


  「あーしも関わってる話です、恵ちゃんも龍太郎パイセンも、あーしが助けます。目の前であんなことがあったら、黙ったままじゃいられません。」


  「そうか…わかった、ありがとう。それだったら夏と五十鈴にも。」


  「いえバカ兄貴と琴里さんには言わないでください。関係ない人間は巻き込みたくないので。」


  「おーけー、じゃあ行動する時に連絡する、いつでも行けるように準備してくれ。」


  これで俺を含めて6人、隠れて動くには十分だな。


  「わかりました。そういうことなら、魁紀さんも早く準備運動済ませろっす。ダンスの時間っすよ。」


  ダンスになると目が怖いんだよ目が…


  13:00 1年5組専用体育館


  疲れた…え、なにこれ、柏井師匠の修行と同等なんだけど…


  「へ…どうだ魁紀、俺の妹のダンス特訓は…はぁ…効くだろ…」


  「何に効くんだよ…はぁ…ダンスって足の動きだったり体の動きが細かくてよくあんだけ動くなって思ってたけど…いざ自分でやるときついってよく分かるな…」


  足の動きと体の動きも重要だけど、筋力の使い方、体幹、もうよくわからんがダンスやってるやつらはすごいってことだ。(思考停止)


  「おい魁紀さん、バカ兄貴、何休んでんだ。」


  「いいだろちょっとくらい…」


  「冬奈…なんで魁紀にはさん付けてるのに俺はバカなんだよ…」


  「尊敬してる人にさんを付けるのは当たり前だろバカ兄貴。」


  兄貴のことも尊敬してあげて…一応頑張ってるんだから…


  「クソが…兄貴としての威厳が…」


  「元からねぇだろバカ。」


  ここまで来ると可哀想だな、惨めっつーかなんつうか…


  「さてと、今日でダンスの基本的な動きは覚えてもらうから、歯食いしばれよ先輩方!」


  俺今日初日なのに…ハード過ぎないか…?


  16:00 1年5組専用体育館


  あれからさらに3時間、間に30分だけ休憩を挟んで、しこたまダンスの練習をした。


  新井妹はスパルタだったけど、新谷のおかげでメンタルは保たれてる。これで身体面だけでなく精神面もボロボロになったら龍太郎を助ける前にぶっ倒れてしまう。


  「よーし!よくまでここまで動けたな先輩方!魁紀さんに関してはさすがにすげーや、1日目にしてはよく動けた方だ。」


  そりゃ嬉しいね、死にかけだけどな。


  「じゃあ先輩方ちゃんとストレッチしろよ。手を貸して欲しかったら言ってくれ!」


  口は悪いけどちゃんと気を回してくれるいい後輩だな、兄貴とは大違いだ。


  「ほらバカ兄貴、さっさとストレッチしろ、シバくぞ。」


  「わーったっていててててて!」


  なーんだ、ちゃんと兄妹してるじゃんか。俺にも兄弟がいたらあんな風になれたかな。


  「魁紀さんも!見てないでストレッチ!」


  「お、おー!」


  「魁紀君、手伝おうか?」


  ストレッチを始めようとしたら、新谷が来た。


  「おー助かる、ちょっと背中押してくれ。」


  「はいよー。」


  新谷もすげーな、よくあんなきついメニューをこなせるもんだ。


  「魁紀君、少しは肩の荷がおりたかい?」


  昨日話したことか。


  「うん、お陰様でだいぶ考えが軽くなったよ。」


  「それならよかった。」


  「ありがとうな。」


  「僕は何もしてないよ、魁紀君が前に進んだだけ。」


  昨日新谷と話したおかげで、考えが楽になった。俺がじゃなくて、みんなに頼ってもいいって思わせてくれた。1人で解決できるなら誰にも迷惑かけないし、むしろそれでいいとも思ってた。だけどそれは他の誰かに心配されるし、逆に迷惑だって新谷は教えてくれた。


  「これからも頼らせてもらうよ、圭。」


  「うん!僕でよければできる限りのことをしよう!いや…僕に何ができるんだろ…」


  そこで自信を無くされてもな…


  「よし、全員ストレッチはちゃんとやったな。じゃあ今日は解散だ!水分はちゃんと取るように!お疲れ様!」


  やっと終わりか、でもストレッチしたからかそんなに疲れたって感じじゃないな。ストレッチすご。


  「帰ろっか、魁紀。」


  「早く帰るわよ、なんで私まで練習しないといけなかったのかしら。」


  羽澤と鬼寅が来た。てか本当だよ、なんで鬼寅うちのクラスのダンス練習にいるんだよ。


  「悪ぃ、今日は先帰っててくれ。ちょっと寄りたい場所がある、ご飯は残してくれると助かる。」


  「わかった、早めに帰ってきてね。」


  「遅すぎたら承知しないわ。」


  「わかってる。」


  18:00 柏井道場


  「久しいな魁紀、修行はサボってないでおろうな?」


  「はい!もちろんです!」


  やったりやってなかったりです!


  「それより今日は何用だ、何も言わずに来るなぞ珍しいではないか。」


  そう、今だからこそ改めて師匠に教わりたいことがある。


  「妖術血界について教えてください!」

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