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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
血濡れの歌姫編
129/193

第百十九集 賓客

  10月19日 6:00 自室


  警察が到着した後は、薬守さんの言った通りに事情聴取を受けた。


  モヤが出現し、自分の口から人を殺め、証拠隠滅のために元の場所に戻って来たことを話した。


  警察の到着と同時に佐曽利さんも現場に来た。警察にまだ世間には広めないで欲しいと頼み込んでいたが、今回は人数が人数なだけに無理のようだった。


  それからは鬼寅と家に帰ってきて、風呂に入って寝たが、いろんなこと考え過ぎたせいで全く寝れなかった。


  龍太郎に花念と花怨、それとモヤ。こいつらが手を組んでるかどうかはともかく、厄介な相手に違いない。


  今日は土曜日、任務が無ければただの休日。昨日のことで頭いっぱいだから休日どころじゃないけどね。


  ふと、インターホンが鳴る。


  誰だよこんな時間に、まだ早朝だぞ。まあとりあえず出るか。ほかの3人はまだ起きてないっぽいし。


  部屋を出て、玄関のカメラを見る。


  「誰だこの人?」


  1人の女性が立っていた。マスクと帽子をつけているから誰なのかわからない。ただ手荷物を見るからに怪しい人ではなさそう、白いワンピース着てるしきっと怪しい人じゃない。


  玄関まで行きドアを開ける。


  「はい、どちら様ですか?」


  「あの、私相馬恵と言います!丑崎様のお家で間違いないでしょうか。」


  「は?」


  え、え?今なんつった?相馬恵って言ったよな?俺の耳が聞き間違えてない限り相馬恵って言ったよな今。


  「ええと、もしかして間違えたのかな。佐曽利様にはこちらに丑崎様と鷹取様がいらっしゃると聞いたのですが…」


  「あーいえ、合ってます。俺が丑崎です。」


  「よかったです…もし間違えていたらどうしよかと思いました。」


  相馬恵はマスクを外し、少し笑った。あらやだ近くで見るとめっちゃかわいいじゃないですか。


  「それでなぜうちに?」


  「そうでした!後ほどニュースになると思うのですけど、私しばらく活動中止になっちゃったんです…理由はご存知だと思います…」


  そうか、ライブの後にライブ参加者が死んだなんて報道されたらライブ出来ねぇもんな。でもそんな報道なんて…


  「昨日の夜に速報で東京ドームでの私のライブの後にファンの方々が殺められたと報道されましたので…急遽活動中止になりました…」


  昨日報道されてたのか…疲れすぎて全く気にしてなかった…


  「それで私の身に何かがあったら嫌だと佐曽利様がおっしゃっていたので、丑崎様と鷹取様の所であれば安全だから、佐曽利様が鷹取様に連絡を取ったところ許可を頂きました。」


  あいつなんで勝手にそんなことを…


  「なるほど、そういうことでしたら…」


  どうしよ、そういうことでしたらかしこまりましたとでも言うべきなのか…いや待て、まず考えろ、ここは俺の家、つまり決定権は俺にあるはず。住ませるべきなのか?5部屋あるとはいえこれ以上人を増やしていいのか?相手は歌姫相馬恵、粗相は絶対にできない…やっぱり住ませるべきか…いや違う、男1人と女4人、同じ屋根の下で何もないはずもなく…いやそういう考えはダメだ!俺が殺される、日本全土の相馬恵ファンに滅多刺しにされて殺される…!じゃあ逆に追い出す?いやそんなことはできない、こんなかわいい子を追い出すなんて俺のプライドが許さない。ならば結論はやはり…!


  「わかりました、とりあえずしばらくはうちで身を隠す感じですかね?でしたらちょうど1部屋空いてるんで、そこにしばらく住んでもらう形で大丈夫ですか?」


  よし、これで完璧のはずだ。


  「助かります!もともとそのつもりだったのですが、なかなか口に出せなかったので、丑崎様に言ってもらえてよかったです!」


  か、かわいい…なんて人だ…輝いてる…


  「魁紀のバカ。」


  「アホ。」


  「ドジマヌケ!べ〜!」


  「お前ら!?なんでそんな言われ方しなきゃなんねーんだ!」


  後ろを振り向くと3人がいた。


  「顔を見なくても鼻の下が伸びてるくらいわかるわよ。」


  「男子ってわかりやすいね。なんで魁紀なんか好きになっちゃったのかな…」


  「私は2人にノッて言ってみただけー!恵さんですね!想定よりかなり早いご到着ですね!」


  そんな分かりやすいことないだろ…というか羽澤、よくそんな恥ずかしいことを人前で言えるな…


  「はい、できるだけ人が少ない時間にって佐曽利様がおっしゃっていたので。」


  「わっかりました!ご不便をおかけすると思いますけど、活動復帰が決まるまでここにいてください!私たちが守りますので!」


  「ていうか魁紀、あんた保護対象をずっと外に立たせたわけ?」


  「え?」


  「礼儀がなってないよ魁紀、お客さんが来て長話になりそうな時は中に入れてあげないと失礼でしょ?」


  「あ、はい…すみません…じゃあ相馬さん、中どうぞ…」


  「はい!しばらくの間お世話になります!」


  これで5人目…しばらくの間とはいえ、また一層賑やかになるな…嫌な意味で…


  7:00 リビング


  「相馬恵さんが活動を休止すると発表されました。昨夜東京ドームにてライブを行った相馬恵さんですが、今までのライブ後にライブ参加者の死傷者が多数発見されたとのこと。プロデューサーの佐曽利勇生さんは相馬恵さんの安全を考慮して、活動を休止させました。」


  「このような事態になってしまい、大変申し訳ないと思っております。一刻も早く犯人を突き止め、活動を再開させたいと思っております。」


  「犯人については捜索してる最中であり、警察のみでなく、妖術救助隊も捜索に加わっているとのことです。」


  ニュースで事件がついに(おおやけ)になってしまった。実際時間の問題だったんだろうな、俺らが事件を解決するのが先か、死亡者多数で隠しきれなくなるのが先か。


  けどそれは言い訳だな、犯人を先に見つけられなかった俺らの負けだ。


  だったらこっから取り返すまで、犯人は絶対に罪を償わせる。


  「丑崎様、何やら難しい顔をされていますが、どうかなさいましたか?」


  「い、いえ、なんでもないですよ。」


  この人無防備すぎるだろ、こっちに寄るな、胸元が見える…!


  「「じーーーー。」」


  「なんだよお前ら。」


  「別に何も無いわよ。」


  「ふーん。」


  「べー。」


  なんなんだよこいつら、しょうがないじゃん!不可抗力だよこれ!


  ダメだな、このままここにいると頭がおかしくなりそうだ。


  「俺ちょっと出かけてくる。」


  「お!なになに!私も行く!」


  「ごめん鷹取、1人にさせてくれ。」


  「え…うん、わかった。」


  ちょいと外の空気でも吸って、ぶらぶら歩いてこよう。


  部屋に戻って軽装に着替えて、念の為刻巡と童子切も持ってってっと、よし。


  「行ってくる。」


  「「行ってらっしゃい。」」


  さてと、どこに行こうかな。

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