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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
血濡れの歌姫編
124/193

第百十四集 ライブスタート(任務開始)

  10月18日 17:05 東京ドーム


  ライブが始まるのは17:30、始まるまでに1度佐曽利さんに会う必要があるからゆっくりしている暇はない。


  「ああ恵ちゃんかわいいいいい!!!」


  「あのタペ欲しいっす!!あとあのキーホルダーも缶バッジも!!」


  だが予定とはあくまで予定である、そう簡単に物運びが上手くいかないとはこういうことだ。


  「龍太郎と冬奈ちゃん、佐曽利さんに会うのが先だからね。グッズなんてあとから買えるでしょ?すぐに在庫が無くなるわけじゃないんだから。」


  大谷が止めに入ってくれた。ありがたい、なぜならば俺は今手を強く握られているから何もできないからな。ていうか痛いんだけど、そろそろ放してくれないかな?


  「それもそうだな、早く佐曽利さんに会いに行かないと。」


  「そうですね、恵ちゃんのグッズ無くならないで有名だし、後にしましょう!」


  在庫を大量に用意してるということか、歌姫ともなるとそういった用意のレベルも違うな、俺他のライブ行ったことないからわからんけど。


  「貰った資料だとスタッフルームこっちみたいだよ!ほら魁紀!早く早く!」


  「わかったから引っ張るな!」


  そんなことを言っても意味もなく、鷹取は走りだした。


  17:08 東京ドーム スタッフルーム前


  少し走ると、すぐにスタッフルームに着いた。外とは大違いでめちゃくちゃ静かだった。


  「2人とも速いよ…」


  「人混みの中で…なんでそんなに走れるのかしら…」


  「ふふーん、2人ともまだまだだね!これは魁紀争奪戦も私の勝ちと言っても過言じゃないね!」


  「過言だよ!」

  「過言だわ!」


  そうか…こいつら戦争してるんだったな…うん…


  てか、この3人の中から選べっつーの?え?冗談だろ?


  羽澤は家事なんでも出来て、頼んだことはだいたいすぐにやってくれるし頼りになるけど、結局一緒に住んでるってだけだし、俺にはもったいなすぎる。


  鬼寅はおっちょこちょいし、短気だし、正直いいところなんてあんのかって疑問になるけど、なんやかんや俺がなんかあった時は1番最初に駆けつけてくれるし、根はいい奴だと思う。ただやっぱなんで俺なんだ?なんかやったっけ俺?どう考えても理由がないんだよな。


  鷹取に関してはただの俺のミスから始まって勘違いしすぎた結果だと思ってる。見た目は凄くタイプというか好きぃぃぃぃ!!ってタイプなんだけど中身があれだから無理だ。


  うーん、選ぶのは無理だな。そもそも俺が3人に対して友人以上の感情を抱けてないし、このもやもやした状態で交際してもみんなに失礼だ。


  だからどっかのタイミングで断っておかないとなぁ…ただ3人ともやる気満々なんだよなぁ…どすりゃいいんだ…


  「お!残りの3人も来たみたいだし、佐曽利さん呼ぶね!失礼しまーす!」


  さてと、今はそのことよりも任務だ。両方大事だけど優先順位は圧倒的に任務のが優先、こいつを片付けてからまた考えよう。


  「鷹取さん、お待ちしておりました。後ろの3名が新しく連れてきた方でしょうか?」


  「はい!田口龍太郎!恵ちゃんのデビュー当時から大好きです!ずっと応援してます!」


  「同じく新井冬奈です!恵ちゃんに出会ってから人生変わりました!愛してます!」


  「大谷朋実です、えーと、田口君、丑崎君と羽澤さんのクラスメイトです。」


  龍太郎と新井妹の勢いに押されて怯んでいた大谷だった。


  「本日は恵のライブに来て頂き、誠にありがとうございます。田口さん、新井さん、恵にこんなにも情熱溢れるファンがいると知ったら喜ぶでしょう。後ほど私からお伝えしますね。」


  「おおおおやったあああああ!」


  「ありがたいです…ああ涙が…」


  「では本日もよろしくお願いします、みなさんには東京ドームの1階席と2階席で警備して頂きます。1階席に3人、2階席に4人配置します。ライブ終了予定時刻は20:00です、少し長い時間ですが、よろしくお願いします。」


  だいたい2時間半か、まあそんなもんだろ。歩き回りながらライブ見て、少しでも怪しい気配がしたらすぐに対処。よくある警護任務だな。


  「そろそろライブが始まりますので、みなさんは配置についてください。特に何もなければそのままライブを楽しんで頂いても構いません、気楽に恵のライブを見ていってください。」


  問題はその何かあった時なんだけどね。


  「大丈夫です!私の妖気探知に任せてください!何かあればすぐにみんなに知らせますので!」


  「助かります。では、また後ほど。」


  佐曽利さんはスタッフルームに戻っていった。


  「よぉし、気張っていくぜお前ら!」


  「うぇぇいっす!」


  龍太郎と新井妹はノリノリだった。ほんじゃ行ってくるか。


  「魁紀、今度は…無茶しないでよね。」


  鬼寅が俺の服を少し引っ張って言った。


  「大丈夫だ、無茶するほどの敵だったらこんな平和じゃないだろ?でもそうだな、毎度毎度心配かけて悪いな。」


  「べ、別に心配なんてしてないわよ!あんたに何かあったら、私の許嫁がいなくなるじゃない!」


  「ちょおまその話は!」


  「「えええええええ!!!」」


  ほら言わんこっちゃない、話知らない3人がビビるだろ!


  「か、魁紀、お前まさか、鷹取さんがいるというのに、鬼寅さんにも手を出すのか!見損なったぞ!」


  「ちっげーよ!何もかもこいつらが勝手に話を進めてだな!」


  「龍太郎、ちょっとこっちに来て。」


  「ちょ朋実!痛い痛い!耳引っ張るな!!」


  大谷は龍太郎の耳を引っ張りながら配置場所に向かった。いや痛そうだなあれ。


  「何が起きたかはわからないですけど、魁紀さん、一夫多妻はやめた方がいいと思いますよ。」


  肩をぽんぽん叩きながら言うな。


  「そんなことしねぇよ、ほら、ライブ始まっちゃうぞ。」


  「そうでした!行ってきます!また後で会いましょう!」


  新井妹はさーっと走っていった。


  またこの4人が残されてしまった…何か言われる前にとっとと行くか。


  「じゃあ俺も行ってくる、また後でな。」


  「待って魁紀!私も一緒に行くーー!!!」


  「お前の待機場所真反対だろ!ほらあっちだ!」


  「ちぇーー!」


  頼むから任務くらいはしっかりやってくれ…


  17:30 東京ドーム2階席 南側


  「みなさん!お待たせしました!今夜も歌姫のライブにご参加頂き、誠にありがとうございます!では早速登場して頂きましょう!我らが歌姫!相馬ああああ!恵いいいいい!!」


  MCが相馬恵の名前を呼ぶと、ステージから煙が上がる。


  「みんなーー!会いたかったよー!相馬恵です!今夜も楽しんでいってねー!!」


  前はアリーナ席で見たからちゃんと見えなかったけど、上から見ると結構ハッキリ見える。かわいい。


  軽くパーマのかかった長い髪、白い肌、まさにお姫様のような顔や服装、そしてなによりも俺的にポイントが高いのはメガネをかけているということ!しかもあのメガネ大きいタイプのメガネだ、大きいメガネをかけることによって小顔効果が生まれてさらにかわいくなる!いやーかわいい女の子がさらにかわいくなるなんてこれはもはや犯罪レベルである!


  「最初の歌行くよー!重たい恋!」


  なんちゅー曲名だ。

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