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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
貴族騒乱編
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第九十一集 作戦会議

  9月13日 11:14 藤原邸東


  どんな相手だったかはともかく、まずは張璇たちを安全なところへ連れていかないと。


  「龍太郎、千代川を頼む。南江と羽澤は張璇と雪代をお願い。」


  「「了解だ!」」


  3人の頼もしい声が返ってきた。


  「すまぬな…魁紀殿…」


  「気にすんな、困った時はお互い様だろ。」


  「ハハッ…それもそうだな…」


  かなり疲れているようだから、もうこれ以上会話するのは止しておこう。


  「俺は助けられたなんて思ってねえからな!っあいててて…」


  「千代川さんはいい加減素直になった方がいいと思いますよ…あぁ羽澤さんいいケツしてますねぇ…」


  なんだか羽澤の悲鳴が聞こえた気もするけどきっと気のせいだ。


  さて俺は手が空いてるわけだが歩きながら頭を働かせよう。


  張璇たちがこんだけ疲れ果てたと考えると、張璇たちはもしかして俺らが戦った分身ではなく、実体のある妖魔か何かと戦っていたのか?


  張璇たちはローブの女性と戦っていた、偶然にも俺らもローブの女性と戦った。で張璇たちは黒いローブ、俺らは色で言うなら白いローブ、武器もそれぞれ黒と白、真逆だ。


  ダメだ、何もわからん。黒いローブの女性の方が本体だったりするのかな…


  「魁紀、いろいろ考えてると思うけど、とりあえず学校に報告しよ。」


  心配そうに羽澤は俺に話す。


  「そうだな、早く帰って報告しよう。」


  謎が深まるばかりだな…


  13:30 任田高校 職員室前


  3人を担ぎながら歩いたのもあって、戻るのが少し遅くなった。


  「んじゃ、報告は俺と張璇で行ってくるから、みんな外で待っててくれ。」


  「千代川、5組の皆と仲良くしておくのだぞ。」


  「お前は俺の母ちゃんかよ。」


  「まあまあ千代川さん!」


  千代川が大きくヒィーっという叫びを上げた、職員室前だから静かにして欲しい。


  13:30 任田高校 職員室


  「1年1組張璇、任務の報告に参りました。」


  そんな感じで報告するの?ここ軍隊かなにかだった?


  「ほら、丑崎殿。」


  「あ、あぁ同じく1年5組丑崎魁紀、任務の報告に参りました。」


  「あらぁ、2人ともぉ、お疲れ様ですぅ。」


  紫先生が穏やかな声で俺たちを迎えた。


  「張璇さん、怪我してるみたいですけどぉ、大丈夫ですかぁ?」


  「はい、ご心配なく。」


  「ならいいのですけどぉ…すみません、では報告を聞きましょうかぁ。」


  その後、俺と張璇は互いに戦った相手、そして相手の戦い方について報告した。


  初めは黒いローブと黒い鎌を持った女性としか聞いていなかったが、まさか黒い炎を使うとは…


  おまけに雪代の氷呪符(ひょうじゅふ)(ろう)が溶けたとか、よくそれで勝てたもんだ。


  「そして、妖魔が消える時は必ず塵となって消えるはずなのですが、黒いローブの女性はまるで影のようにすーっと消えていきました。」


  「言われてみればそうでした、こっちの白いローブの女性も霧のように消えていきました。」


  「そうなのですかぁ…」


  紫先生は少し難しそうな表情をする。


  「わかりましたぁ。少し信じ難いことですがぁ、もう藤原邸に近づかないようにしてくださいねぇ、今度こそ何が起こるかわかりませんからぁ。」


  若干信じられないけど、心配はしているような言い方だった。


  貴族が関わってるかどうかはわからないとはいえ、貴族の家の周辺で妖魔が湧くなんて信じられないだろう。


  「ほら2人ともぉ、もう帰って大丈夫ですよぉ。」


  「はい、承知しました。」


  これじゃ任務報告の意味なんてないぞ、報告したことを信じてくれないなら意味が…


  「丑崎殿、どうした、帰るぞ。」


  「あぁ、すまん、帰るか。」


  ぼーっとしてたら先生と張璇の声が聞こえなかった。


  考えても仕方ねぇや、帰ろ。


  13:50 帰路 電車


  白いローブ、黒いローブ、どちらも女性…ちっ、顔さえちゃんと見えてれば…


  「魁紀、顔が怖いよ。」


  羽澤が隣から顔を覗いてきた。


  「そうか?気のせいだ。」


  「そうならいいんだけど、あまり考え込まないでよ、相談なら聞くから。」


  羽澤が胸を張って自信満々に言った。


  「ありがとな、困ったら話すよ。」


  「うん、待ってるよ。」


  まあどのみち、明日話聞くことになるけどね。


  9月14日 10:00 自宅


  「お邪魔します。」


  「邪魔するぜー。」


  「幽奈ちゃん真由ちゃんおっはー!」


  「…お邪魔するよ。」


  「にゃー!」


  かわいい。


  にゃーちゃんのかわいさは今は置いといて、五十鈴、夏、南江、松永がうちに来た。


  「本日はありがとうございます、丑崎さん、羽澤さん、鬼寅さん。」


  「大丈夫だよー!」


  「私は別に構わないわ。」


  相変わらず鬼寅だけつんつんしてんなー、ほぼ初対面だろ、親切にしとけって。


  「では作戦会議を始めましょう、あまり時間がありませんから。」


  いつになくせっかちだな、五十鈴。


  「待て五十鈴、まだ焦る時じゃねぇだろ、お前が冷静じゃなくなったらここにいるやつらただの空気になるぞ。」


  「いや魁紀そこまで言うことねぇだろ!」


  「お前だよお前、特に筋肉バカなお前は五十鈴が冷静でもそうでなくても空気なんだよ!」


  「んだとやんのか!?」


  「おう上等だ、初めて会った時の決着今付けてやる!!」


  「いい加減にしてください!」


  五十鈴に殴られ、夏と2人して声にならない声を出してしまった。


  10:05 自宅


  「はぁ…では改めまして、葉月先生を守ろう大作戦の作戦会議を始めます。」


  お前も俺と同じ思考回路だったのか。

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