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Losers  作者: こーへ〜
8/11

8話 【忍冬】

ディー「人間の記憶なんて曖昧だ、なんとなくしか覚えてないなんてままある、そして人間の記憶は理不尽に出来てる、忘れたくないのに忘れてしまうこともある、忘れたいのに忘れられないないこともある。」


ニア「こんばんは」

ディー「いらっしゃい」

ニア「アメリカーノを頂戴」

ディー「あいよ、なんだ?機嫌よさそうだな」

ニア「ええ、また歌えるようになったんだもの、楽しいわよ」

ディー「歌手として復帰するのか?」

ニア「そのうちね、需要あるか分からないけど」

ディー「あるに決まってるさ」

ニア「だといいけど、まぁ、それよりも先にやる事あるから、それ終わってからね」

ディー「やる事って何をだ?」

ニア「貴方に贈るレクイエム、貴方が安らかに眠れる歌を歌ってあげること」

ディー「嬉しいかぎりだ、一杯サービスしとくよ」

ニア「あら嬉し」

ルシア「うぃーす」

エリカ「こんばんは」

ディー「いらっしゃい、あん?隣の女誰だ?ルシア、ニアに告っておいて女連れか?」

ルシア「違うって!そんなんじゃないって!」

ニア「…浮気者」

ルシア「ニア!?ち、違うからね!俺ちゃんは君一筋だからね!」

ニア「はいはい、で、彼女、どーしたの?」

ルシア「あ、ああ…ついバッタリ会ってな、んで相談受けてだな、あー簡単に言うとだな、人探しだ」

ディー「人探しだ?」

エリカ「はい、彼を探してるんです」

ディー「ん、どれ…一緒に写ってる、この男を探してるのか…彼氏か?」

エリカ「わからないんです」

ディー「わからない?こんな仲睦まじく写ってるのにか」

エリカ「はい、わからないんです、でも何かあるんです、大切な…何かが、その人に」

ルシア「要はこーゆー訳よ、いつものように起きて行動を始める、ふと部屋の壁にその写真を見つけた、名前も思い出せないソイツに何か大切なモンがあるってエリカ嬢は思って探してるのよん」

ディー「何か大切な…か」

ニア「記憶を神様に奪われたのかしら?」

ルシア「さぁ?わかんねーな、神様なんて居るか居ないか分かりゃしねぇ、見た事ねーしな」

ニア「確かにね、神様の仕業にしたい事はあるけどね」

ルシア「まぁな」

ディー「俺を見るな」

エリカ「???」

ルシア「なんでもないのよん!」

エリカ「は、はぁ…」

ルシア「という訳でお手伝いよろしく!暇だろ?」

ディー「相変わらず失礼な奴だな」

エリカ「よろしくお願いします!」

ディー「あ、ああ」

ルシア「さて、どっから攻める?」

ディー「攻めるたって手がかりは写真だけだろ?」

ニア「2人が付き合ってた線で考えると携帯に履歴あるんじゃない?」

ディー「なるほど、ちょっと見せてもらえるか?」

エリカ「ど、どうぞ」

ディー「………」

ニア「どう?」

ディー「エリカ、待ち合わせ場所着いたよ、電話かけるね…気になるのはこのシオンって奴との履歴だな、後のは仕事関係や女友達で男で頻繁に連絡してるのはコイツだ、トークの感じを見る限り恋人だろうな」

ニア「なるほどね、エリカはシオンって男性のことはわかる?」

エリカ「わからない」

ディー「ガウェインにギャリー、アンナ、この3人とも最近話してるな」

エリカ「ガウェインさんとギャリー上司です、アンナは学生の頃からの友達でよく相談を受けてくれるの」


ディーN

「他にもメモリーから一人一人当たってみたが全員覚えていて忘れられてるのはシオンという男、1人だけだった」


ディー「終わったが、忘れてるのはシオン、こいつだけだったな…一通りの会話を見て恋人だろう、それに写真のデータも出た、その写真の男がシオンで間違いないだろう」

ルシア「恋人の記憶だけ忘れてるって事か?」

ディー「恐らくな」

ニア「何があったのかしら」

ディー「そこで一つ気になる事がある」

ルシア「何?」

ディー「アンナから送られてる、大丈夫?シオンのこと…と送ってる、それに対しエリカは誰の事?と返してる、その後の会話はアンナがなあなあにしね終わってる」

エリカ「えっとアンナがシオンって人の事知ってるんですか?」

ニア「きっとね、忘れたシオンって男に対してアンナは知ってると思うわ」

ルシア「なら会ってみるか!」

エリカ「はい」

ニア「エリカちゃん、どうしてもその人の事知りたい」

エリカ「え、それはその」

ニア「私の勘だけどね忘れてた方がいい事もあるのよ、きっとアンナって子もそう思ったんでしょうね」

エリカ「…知りたいです、私にとって大切な人だと思うから…」

ニア「そう、じゃあアンナって子に連絡取ってくれる?」

エリカ「はい」


ディーN

「エリカに連絡をしてもらい、俺たちはアンナって子に会う事となった」


アンナ「エリカ、久しぶり!」

エリカ「アンナ元気してた!?」

アンナ「こっちのセリフだよ、んで相談って?後ろの人達の事?」

ディー「いや俺たちじゃない、ああ、すまん、俺はディーだ」

ルシア「ルシア・ファルシファよん」

ニア「ニア・カリオペイアよ」

アンナ「る、る、ルシア・ファルシファに、に、ニア!!??え?あの、どういう事?」

エリカ「え?なんでそんな驚いてるの?」

アンナ「驚くに決まってるでしょーが!」

エリカ「あいた!何すんのよ!」

アンナ「アンタはそーゆーの疎いから分からないかもだけど名前くらい知ってるでしょ!ニア・カリオペイア」

エリカ「あ、あの歌の女神って言われてた?」

アンナ「そう!」

エリカ「聴いた事はないんだけど…その人がニアさんがそうなの?」

ニア「そうだけど」

エリカ「そうなんだ」

アンナ「なんでそんな冷静なのよ!あ、あのサインください!」

ニア「う、うん、後でね」

アンナ「は、はい!よし次、すーはー…ルシアさん!」

ルシア「あん?」

アンナ「…ほ、本人に…目の前で言えるなんて思ってみなかったです…あ、貴方の居ないエアロインパルスは寂しかったです.おかえりなさい」

ニア「まさかのルシアファン」

ディー「意外だな」

ルシア「…はは、まさか、こんなとこで言われるとはな、ただいま、待たせちゃった分は一生かけて飛んでやるから、これからもよろしくな」

アンナ「はい!!エリカ、私、倒れそう…ああ」

ルシア「おっと、平気?」

アンナ「ああ幸せ」

ニア「そーゆーとこよね」

ルシア「な、なにがよ!?」

ディー「本題に戻すぞ、アンナさん、落ち着いてくれるか」

アンナ「は、はい、ごめんなさい」

ディー「よし、率直に言うが、この写真の男、知ってるな、エリカが知りたがってる」

アンナ「…ホントに?」

エリカ「ええ、知りたいの、彼の事」

アンナ「後悔しても知らないよ」

エリカ「いいわ」

アンナ「…ふぅ…いいわ、この写真の彼、シオン・アングレカム…エリカの恋人だった人よ」

エリカ「そうなんだ、やっぱり大切な人…アンナ、彼は今どこに居るの?」

アンナ「…会えないよ」

エリカ「遠いところにでも居るの?」

アンナ「うん、とっても遠いとこに…電車でも飛行機でも行けない、遠いところに」

エリカ「それって…どういう…」

アンナ「忘れててくれた方が良かったのに…もう2年も経つね…あの事故から…この脚にも慣れたよ」

エリカ「アンナ…それ」

ルシア「義足…」

アンナ「そうだよ、あの事故は私から右脚を取って、アンタの恋人を奪った…シオンとエリカと私はいつもみたいに飲み会して帰るとこだったんだ…信号待ちしてるところにトラックが突っ込んで来た、それに気づいた私とシオンはエリカを突き飛ばした、シオン

はその後、私まで突き飛ばしたの、トラックの運転手は急ブレーキをかけたけど間に合わないでシオンは重傷を負って病院へ運ばれるもそのまま…私はなんの偶然か知らないけど転倒したトラックの金属片が飛んできて私の足をギロチンみたいに切断した…暫くしてシオンの葬式があった、それから脚の事でエリカに会えないでいて心配でメッセージを送ったら、シオンのことを忘れていた…それが私達3人に起きた不幸よ」

エリカ「そ、そんな事があったなんて…私どうすれば」

アンナ「どうもしなくていいよ、あーあ、だから言ったろ…忘れてた方がよかったって、でも伝えなくちゃいけなくなっちゃったね…どう?シオンのこと思い出せた?」

エリカ「ううん、わからないの、こんなに涙が出てるのに何一つ…思い出せないの…」

アンナ「そっか、行くよ」

ディー「どこに行く気だ」

ニア「黙ってついてけばいいのよ、あ、アンナさん、ちょっと寄りたいところあるけど、いい?」

アンナ「勿論、私もそこ寄ってくだろうから」

ニア「ふふ」

アンナ「へへ」


ディーN

「女だけに伝わるテレパシー的な何かがあったと思う、俺には全くわからないが…大人しくアンナに連れられ来た場所は墓場だった」


アンナ「ここよ」

エリカ「ありがとうアンナ」

ディー「ど、どうだ?」

アンナ「エリカ…?」

エリカ「…ぅう…ひっく…」

ニア「もしかして彼の事…」

アンナ「エリカ?シオンの事思い出したの!?」

エリカ「ううん!思い出せないの!だけど、こんなにも大切で!愛おしくて!好きって!愛してる…って…想えるのに…なんで!?どうして!?私は彼の事思い出せないの!!!何も覚えてないの!!!」

アンナ「エリカ…」

ディー「…意地悪なもんだ…神様はよ…あ?雨?結構な大粒だ、強くなりそうだな」

ニア「…そうね」

ディー「ニア?」


ディー「ニアはふと歌い出したんだ、バラードを…愛の絆という曲を…彼女の曲、だけど今まで聴いたことのない叙情的な歌声だった…切なくて哀しくて…だけども優しく包み込んでいた、強くなってく雨と共に」


ニア「この曲…愛の絆…私にはそんなのわからなかった…でも二人を見て思うわ…墓石に刻んである言葉」

ルシア「えっと…君が笑うなら僕も笑おう、君が泣くなら僕も泣こう、だけど君には笑っていて欲しい……僕らは共に」

ニア「この雨はきっと彼の涙ね…」

エリカ「え?」

ニア「あなたが泣けば彼も泣く…死んでも尚この絆は残ってる、そんな絆に神様が嫉妬したのかしらね」

エリカ「ニアさん…」

ニア「アンナ、さっき買った花」

アンナ「あ、うん…これシオンが好きって言ってた、忍冬の花」

ニア「そう聞いて私も買ったわ、でも私が買ったのはあなたに贈るためよ」

エリカ「私に?」

ニア「忍冬の花言葉って知ってる?」

エリカ「…い、いえ…」

ニア「愛の絆」

エリカ「え?」

ニア「二人にピッタリよ、その花…神様が羨むくらいに…だから…笑ってやりなさい、前に進む為に」

エリカ「……はい……ニアさん」

ニア「なぁに?」

エリカ「ありがとう」

ニア「ふふ、こちらこそ」

エリカ「え?」

ニア「さ、帰りましょ、あ、飲み直しでもしようかしら、ルシアの奢りで」

ルシア「え??」

ニア「よろしくダーリン」

ルシア「え?え?そ、それって!この前の!?」

ニア「さぁ?ほら行くわよ!」

ルシア「ちょっ!待てよぉ!」


ニアN

「愛の絆、言葉にするほど胡散臭くて、俄かに信じたくはないものだけど…それは確かに存在するものなんだと思う、だから私も少しだけ、トキメキや恋に、愛に生きてみてもいいのかもしれない…相手が相手だけど…笑っちゃうわね、私」

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