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third Time

例のドラマは超話題になり、人気ワードに『アイくん』とドラマのタイトルはトレンド入り。また藍翔にやって欲しいと言う声が、ファンレター等で多数寄せられている中で、彼は雑誌取材にその声に応える形で思いを伝えていた。

『またドラマや映画に出て欲しいとの声が多いようですが、これを機に出たりしませんか?』

「……でないです。俺はアイドルで俳優じゃない。俺の思うアイドルは元気、勇気、癒しを直接与えたる事。演じるのは“俳優”じゃなくて“アイドル”としてで、ドラマに出ることではない」

その雑誌は彼の思いが綴られているとSNS上で話題になり、SNSでもトレンド入りし、彼のアイドルと言う思いに感動したとファンも増え、彼はさらに人気を伸ばしていた。

彼の人気と共に、twin翔と言うグループについて検索が増え、彼らの公式に発表されている『アイくんとしゅんくん』と言う情報以外のことを求めるような声も上がっている。なぜ『twin翔』と言うグループ名なのかも情報を求めようとする声が多く寄せられている。だが、彼らはあくまでそれ以外の情報は載せない。



そんな情報を求む声の多いある日、“あい”と“しゅん”はあいの実家にいた。そこには涼来家のもの達と藍翔家のもの達もいる。が、彼らと涼来は藍翔の部屋で話をしていた。

「……ごめんしゅん。居ずらいだろ」

「いいよ、大丈夫。……それより君があいの言ってた涼来ちゃんかぁ〜。可愛いな。俺、藍翔の相棒してます、瞬翔です。よろしく」

「……よろしくお願いします。あの、しゅんとの『と』って翔ぶって字ですか?」

瞬翔からしてみれば、居心地の良い場所とは言えないが、藍翔の部屋なら少し安心したのか、涼来と2人で話を始めた。

「……あ、そうそう!よくわかったね!」

「いや、簡単な推理です。グループ名が『twin翔』でtwinは2人で、翔はなんだろってずっと思ってたんで。しゅんくんも翔ぶって字なら納得いくなって思っただけです」

「さすが涼来ちゃん。察しがいいね。でも俺たちの名前ってことは内緒だよ?」

1度話し始めた彼ら2人は楽しそうに会話をする。まるで藍翔のこと忘れているかのように。

ムッとした藍翔は涼来に恥ずかしいイタズラを仕掛ける。

「……っっ………あいっ…!」

「……涼来は俺の。しゅん、楽しそうに話してんじゃねぇよ」

「……はいはい。悪かったよ。嫉妬深いな〜」

嫉妬した、藍翔のイタズラにてよって涼来は恥ずかしくて彼らに顔を向けられず、彼らは2人は喧嘩でもしているかのように話している。正確に言えば、藍翔が牙をむいていると言ったら正しいだろうか。瞬翔はいたって普通のテンションで話している。こんなやり取り出来る友達が出来たんだなぁと思うと涼来は嬉しくなった。

「…しぃちゃん!」

「……ん?」

嬉しさにクスクスと笑っていると、藍翔が少し怒ったように、でも照れたように呼びかけてきた。

「……しぃちゃんは俺のでしょ!付き合ってないなんて言わせないからね!」

「………わかったよー。相変わらず嫉妬深いんだから〜」

「……おいおい、ちょっと待て。お前ら付き合ってるのか?」

初耳な発言をする相棒に驚く瞬翔。何を言い出すのかと。

「……うん。でも、多分主に俺が好きなんだよなぁ〜」

「…………はぁ〜。わかった。俺にはダメとは言えないし、社長もお前らのことはダメとは言わない。ただ、気をつけろそれだけだろ」

「……だよなぁ〜。しぃちゃん、結婚しよっか。それで社長に……」

「バカかっ!お前なぁ!……」

瞬翔からのお説教を受ける藍翔のなんだか楽しそうな顔と言ったらなんだか幸せそうで。よかったと思いつつ藍翔の言葉にいちいち心に刺さる思いを感じる。それは意味なんてない。色々な感情が混ざって意味なんかなくなる。

「……ったく。なぁ、涼来ちゃんアイじゃなくて俺にしとけよ、」

「しゅんには絶対、涼来をやらない!」

「………お前に言ってねぇよ、ねっ、どうよ?涼来ちゃん俺なんか」

また落ち着いたのに牙を向き始めた藍翔をよそにきいてくる、彼の相棒。

「……しゅんくん、私の好きなのは藍だよ。その答えはNo。こんな藍翔だけど、大好きだから」

「……速攻振られたな!……めちゃめちゃ愛されてんじゃん藍翔」

相棒として認めざるおえないくらい、2人は互いを思い合っている。涼来もまた、藍翔の立場を理解して付き合っている。だが、少しの油断も許されない。最近この家近辺は張られているらしいことはこの前分かったばかりだ。今日も物陰に隠れている気配は感じている。

「……分かった。でも気をつけろよ?さらなる人気が出たばっかりだ。これでファンを失っても困るからな」

「……あぁ、分かってる。まぁ、でももし、バレて失うことになっても俺のファン1号が辞めなきゃ俺はそれでいいけどね」

「……はぁ?ファン1号?誰……って、涼来ちゃんのこと?お前の頭涼来ちゃんばっかだな」

そう、いつなんどきも、藍翔の頭を占めるは涼来のみ。バレることになろうと、涼来を守ってみせる。そして彼女とね未来しかないと思っている。




そんなある日、彼らtwin翔は藍翔のドラマ共演仲間たちと食事に訪れた。そこまではよかった……。

帰り道、恋人役だった女から言い寄られた。いつものようにアイくんでやんわりと断ってはいたが、通用しない。歳上な彼女は酔っているようでベタベタとされた。これは撮られたらやばいと分かっているし、藍翔にとっては涼来以外の女に出来れば近づきたくない。グイッと離し彼女へ言い放つ。

「……悪いけど、くっつかないでくれる?俺はあんたとはドラマでだけの関係。プライベートで馴れ合う気は無い。俺は心に決めたヤツがいる」

彼女はその場では理解したのか離れたように歩いたが、実際のところはその時は理解できなかった。


それから数日後だった。その会食が記事にされるとわかったのは。

珍しく社長からの呼び出された彼ら。少し緊張する想いで社長と向かう。

「……なんですか、社長……」

「……察してるのかもしれないけど、これ明日発売の週刊誌。これはどういうことか説明してくる?アイくん」

「……?あ、これって……やっぱり撮られてた…最悪だ。……社長、これは無実」

まさか、記事に本当になるとはしかも、藍翔が自分の想いを伝えたあの場面。肩に手をやりグッと離したあの時。

「……この時、俺言ったんだ。この人に、『悪いけど、くっつかないでくれる?俺はあんたとはドラマでだけの関係。プライベートで馴れ合う気は無い。俺は心に決めたヤツがいる』って」

「……そうそう、言ってた。俺もこの場にいたんだ。まるで居ないような話になってるけど。でこの後途中まで方向一緒だから彼女についていく形になって。でも、この日そのまま2人で藍翔ん家行った」

幸いにも承認はいる。彼らから言われる事実に耳を傾け同調する社長。彼らの言うことを信じている。

「……うん。分かった。それを信じる。この記事により報道されることになると思う。だけど、無実だと言うことを事務所から流す。相手がどう出るかは知らないけど……」

「………社長。相手の出方次第ではお願いがある。とりあえず今回のことは無実だと言っておいて」

「……分かった。なんだか、大体予想つくから聞きたくないけど」

一緒にいた相棒も、社長も瞬時に彼の言いたいことは理解出来た。それが聞きたくない内容だろうということも。


それから週刊誌は発売され、直ぐに話題になり、ニュースにもなった。

アイくんの事務所側からのFAXだと紹介され「無実だと本人より伺っています。また、その場に相棒しゅんもおり、彼が拒否したことも見ております」と2人が言ったことをほぼそのまま、報道関係者へ送った。相手側は「そういったことは本人に任せております」としかないと分かり、余計謎の深まり、事実のようにでっち挙げられていく。

「……アイ。相手側のコメントで無実が事実のようになっている。この前言ったこと聞く。約束だから」

「………分かった。社長俺は涼来と付き合ってる。涼来以外の人なんて考えられない。だから、もう本当のこと話す。アイくんという人間の全てを、俺と言う本当の自分も知ってもらう」

「……それは記者会見でも開くってことか?お前に出来るのか?」

「うん、そういうことになる。俺に出来る自信なかったことだけど、もうなにも隠したくなくなった。俺の本当の姿を知って欲しいと思った。だからやる」

藍翔の思わぬ意思に社長も、了承した。ここまで信念の固い藍翔は初めてだからだ。


その後トントン拍子にことは進んだ。明日、会見を開くと事務所側からの発表。そして藍翔は堂々と涼来の元へ。報道されたことによりはられていることをわかった上での行動だった。

「……涼来!ちょっと来て!話がある」

学校の正門のところで待っていた彼は彼女の姿を見つけると駆け寄り、引っ張って走り出した。近くの公園まで来るとそこは人気がない。だから堂々と言うんだ。

「……涼来、僕と結婚してください」

「…………いきなりどうしたの、アイくん」

「察してる癖に、しぃちゃんは厳しいなぁー。でもそんな所がすき。しぃちゃんしか考えられない。しぃちゃんが欲しい。だから、僕と結婚して」

察しのいい彼女は、藍翔の言いたいことも理解出来る。もちろん答えはYES。

「………うん。わかった」

「……ありがとう。記者会見明日開くことにした。僕という人間を全て話そうと思う。そしてしぃちゃんのことも話す婚約者だと。名前は伏せるよ?」

「……そう、でも私だけに見せる藍翔には内緒だよ?」

彼女に言われ「もちろん」と返す。そして重なる程度のキス。その瞬間近くで聞こえた気がしたシャッター音。振り向けばそこには相棒の姿。悲しげな顔をした彼は藍翔の覚悟を理解してやろうと高を括りに来たと言った。



次の日、各メディアがアイくんの会見と報じた。

「……報じられた事に関することは事実無根です。俺には、心に決めたヤツがいます。それは決して報道のあった彼女ではありません」

「……報道に関する事実を知った上で、アイくんについての真実をアイ本人から語らせます」

「……俺はその心に決めたヤツのおかげてアイドルをやってます。“アイくん”は演じてます。俺の本当の姿らこの前ドラマで演じた役のまんまです。あれが本来の俺です。だからドラマ等はしません。けど“アイくん”をするのは好きです。だって、俺の勇気でみんなを元気に出来たら嬉しいから。そう思わせてくれたのも心に決めた彼女です。彼女とは………」

語るのは“アイくん”の生まれた日。アイくんを存在させる意味。アイくんを演じる上での藍翔の心境。そして、大切な存在。

「……僕は大切な存在がいようと、みんなのアイドルは変わりない。だって、僕の最愛の人は1番の理解者なので今まで通りアイドルは続けます。皆さんは今まで通り愛して欲しい。今後は皆さんの声に応えるように活動の幅を広げていきたいと思います。ドラマとかやっぱり僕には必要ないかなと思うけど、なので今後ともtwin翔と言うアイドルを応援よろしくお願いします」

長々と語り、最後にそう締めくくった、藍翔はその場から立ち去った。もう、そこに座り話せる限界だったから。会場の控え室には涼来が待つ。後のことは社長に任せている。

「……アイくんは自分自身が述べたようなあのドラマのまんまな子です。なので、真実のみ語らせております。質問や彼の説明について分からないことがあれば私が代替で答えます」

社長はアイくんの代わりに答えをだし、答えた。もちろんこんな質問来るんじゃないかと言うあらゆる物を事前に聞いている。

この会見が吉と出るか凶と出るか。まだ誰にもその時は予想もつかなかった。




一方藍翔は、控え室に戻り涼来へと甘えていた。これがアイドル最後になるのか、まだ続けられるかは今後のことで分からないが、それでもアイくんには補充期間と言う名目で、涼来の傍にいることでアイドルに戻れた暁には、最高のアイドルをすることを約束しようと思う。



あれから1ヶ月近くがたった。

彼らを覗いてみると、アイくんとしゅんくんはアイドルを続けていた。なんでも、アイくんのアイドルと言う熱血?ぶりに心を打たれファンになる人だとか、愛する者への一途さと信用に心を打たれたとファンは増え続けて欲しい。と声が多く寄せられ、2人はアイドルを続けていた。前にも増して人気になった、彼らは今まで公開していなかった情報も解禁され、詳しくプロフィールが公式ホームページに乗ることとなった。


“アイくん”こと高嶋藍翔 1月10日

“しゅんくん”こと梶岡瞬翔 2月10日

2人合わせてtwin翔


2人の本名と誕生日が付け足され、公式ホームページには2人の日記ページのようなものや、質問コーナー等様々な企画が盛りだくさんになり、それを楽しみなファンも多くない。

これからは、今まで以上にアイドル活動に身がかかるだろう。

そして、藍翔と涼来の幸せな未来も待っている。


この物語はフィクションであり、実在する人物、名称のものではありません。

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