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second time

忙しい毎日を送る中、時間があれば藍翔は涼来に癒しを求めて会いに行くことをしていた。その合間も決して全て涼来に使うわけでなく先輩と過ごすことだってある。

「……アイくん。ちょっといいか?」

「…………はい」

「ドラマのオファーが来てるんだ。ずっと断ってきたんだけど、今回のことはどうしてもアイくんにお願いしたいと断りいれたんだけどどうしてもって。アイくん出来る?」

社長より呼び止められて言われたことに、耳を疑った。ずっと避けてきた、ドラマや映画の撮影。そういった撮影は普段演じるアイくんと全く違う。“アイくん”は演じることができるが、全く別物のキャラクターを演じることはアイくんは出来ないと避けて通ってきていた。だが、今回はいつものようには行かないようだ。

「………どんな役なんですか」

「それは聞いてみないと分からない。どうしてもアイくんにお願いしたいと」

「………社長、少し考えさせて。そしてざっくりでいいからどんな役なのか知りたい、聞いといて。それまでに答え出せるようにしとくから。………だから今日はもうなんもないから涼来の所行かせて」

アイくんが、避けてきた理由も知っている社長は「ダメだ」とは言わない。涼来という女の子についても再会した事と、その子がアイくんを動かしていることももちろん知っている。なのでダメとは言うことはしない。会いに行くことを否定すれば“アイくん”は存在出来なくなる。社長はそれでは困るのだ。

「……分かった。聞いてみる。ただ、聞くのは役についてだけ。断りはしないよ?涼来ちゃんに会いに行くのは許可するからドラマに出る覚悟を決めてきて」

「………分かった。行ってくる」

藍翔は事務所を後にした。そして急いで涼来の元に向かおうとするが、彼女はまだ学校だろう。もう少しで終わるはずではあるが。連絡だけして実家で待つことにした。『どうしてもしぃちゃんに会いたい。会って話したいことがある。実家で待つから来て』と。今日は家は誰もいないはずだ。居ようがいまいが、それはいいのだが、いない方がゆっくり話せるのでそれがいい。




家で待っていると、涼来から電話が掛かってきた。

「しぃちゃん…。」

『あい?どうしたの?今行くから待ってて』

「……ありがとう…待ってる」

たったそれだけの会話で切れたが、学校が終わってすぐなのか、あまり電話では話さないようにしているのであろう。なんせ、あいはアイドルだ。涼来は普通科。周りにはファンの子が居るだろう。だから話さないが心配で掛けてくれたはずだ。


涼来は、学校終わったあとにメールに気が付き藍翔に連絡を入れていた。本当は友人と出かける予定だった。だが、なにやら困ってる様子のある藍翔の方が友人よりも涼来にとっては重要だ。

「……ごめん、十彩(とあ)、出かけるの……また今度でいい?」

「……分かったいいよ。私と出かけるのはいつでもいいもの。急用なんでしょ、行っといで」

「……ありがとう、必ず今度埋め合わせするから!ごめんね!」

友人との約束断ってでも藍翔の深刻そうな話を優先させることにして急いで帰宅路に着いた。

チャイムを鳴らそうとしたが、藍翔が開いてるから入ってきてとメールが入っていたので開けて彼を呼びながらリビングの方へ行くが見当たらない。ここに彼が住んでいた頃の彼の部屋へ行くと案の定隅っこに丸くなっていた。

「……どうしたの?」

「しぃちゃん……。しぃちゃん!」

「……うん。どうしたの?困ったことでも起きた?」

声をかけると理由は言わず、ただ抱きついてひたすらに名前を呼んで涙目になっていた。

「……あいくん。大丈夫、大丈夫。ゆっくりでいいから不安な事話して?聞くよ」

「………うん。しぃちゃん……あのね、今度、そのずっと避けてきたことなんだけど、ドラマに出て欲しいって言われてて」

「………うん?」

口を開いた彼は少し震えながら話すその姿はアイくんとは真逆なヘタレな藍翔そのもので、何となく言いたいことは理解することが出来る。

「………僕は、“アイくん”は演じれるけど、ドラマで演じる演技なんて無理だもん!僕には出来ないよ………」

「………そっか。だから藍翔はドラマや映画に出なかったんだね。けど今回はどうして?断らなかったの?」

「………断った。そう言う依頼は全て社長が断ってる。けど今回はどうしてもお願いしたいって頼み込まれたって……僕にはどうしても無理だよ……」

すっかりヘタレな彼はやる気はゼロと言っていい。こんな状態で演じられてもいい作品は出来ない。断る事が出来ないなら説得させるしかないだろう。

「……藍翔?どんな役なのか聞いた?」

「………まだ……聞いてくれるって……あ、電話社長から」

「うん、出ていいよ」

促され出た彼はまだ覚悟を決めきれてはいないが、話の内容からして、「出ろよ」て言われているに違いないことは察する。だから、ここに涼来を呼んだことも。

「………役、ざっくり言うと、メンタル弱めなヘタレ男の………恋愛ドラマなんだって」

「………ピッタリじゃん。まさに今の藍翔くん。親しい人にしか出さないアイくんそのものだ」

「…………そうだけど……僕には出来ないよ……」

彼はまだ決められはしない。しかし、覚悟を決めさせないと行けないことは容易に想像がつく。たぶんここまで追い詰められているということはしっかり決めてこい言われている。

「……あい、出来るよ。だってそのまんまの藍翔を演じれば………いや、演じなくていいんだよ?そのままな藍翔を見せればいいんだよ?」

「………でも、人前でそんな風にはしたことないから……」

「うん。だからこそ、そのままなアイくんを演技にして、演じればいい作品になるよ?藍翔頑張れ。しぃが応援する。大丈夫、藍翔なら出来るよ」

優しく安心させるように慰めれば、少しは決心がついたのか、明るい顔になったような気がした。

「………そっか。しぃちゃんありがとう。でもまだ自信ないよ……一緒だって言っても一緒じゃないもん!セリフがあるじゃん」

「………うん、あるだろうね。けどね、あいくん。セリフなんてそのままの藍翔で演じるだけで雰囲気だけで演技は伝わる。だからセリフはそこまで気にしなくていいと思う。だってよく言うでしょ?アドリブで上手くいく話だって俳優さんとかで聞くじゃん」

「…………そうだね……しぃちゃん、ありがとう。頑張ってみる」

彼はやっと、心に決めた。今回だけ、演じきって頑張ると。きっとこれを最初で最後の撮影にさせるつもりで。

「………うん。じゃあ藍翔が頑張れるように、美味しいもの作ってあげる、何がいい?」

「やった!じゃあね〜、しぃちゃん特製のオムライス!」

「分かった………ふふっ、好きだねオムライス」

パッと明るくなった顔で藍翔は「何言ってんの!しぃちゃんが作ってくれるものだから好きなんじゃん!」と少し照れながら言う。元気が出たのはいいがこの笑顔は反則と思うくらい万遍の笑み。こんな笑顔はきっと“アイくん”のときはやらないそんな素の笑顔なのか、ときめいた。この笑顔は誰にも見せて欲しくないなと密かに思う涼来であった。




藍翔はドラマの撮影現場にいた。台本を読み込み初めての撮影に望む。よく聞く役作りなんてものはいらない素の自分を出せばいい。そう聞いてホッとして現場では“アイくん”を演じて撮影に入れば素の自分で、台本通りセリフで望まれるそのキャラクターを作り出した。

「………アイくん!最高だよ、思った通りだ!君にして良かった」

「……ありがとうございます。ですが、この作品だけって約束ですからね?お願いしますよ」

撮影の合間はいつも通りアイくんを演じるように愛想良い振る舞い。誰もこちらが演技だとは想像もしていないだろう。

「……あぁ、もちろん分かってるよ。じゃあ、今日は終わり。明日もよろしく」

「はい。」

「………アイくん、恋愛につきもののシーンだからね〜、よろしくね〜」

ハッとした。そうだこれは恋愛ドラマだった。恋愛につきものなシーンとうことはキスだとかそう言ったやつだろうか。ヘタレな藍翔は出来る気がしなくて撮影が進むにつれて彼にとってはハードに感じている。

明日の撮影の前に今日は涼来に会いたい気分になった彼はその足で彼女のマンションへ向かった。途中で連絡をしておくと、「わかったそのまま入ってきて」と彼女から返ってきた。藍翔はマンションへ行くと彼女の家の玄関を開けそのまま入った。どうやら家族が今日はいるようだが、そこは問題では無い。

「…あれ、藍翔くんじゃない!久しぶりね!涼来に用かな?お友達が来てるのよ〜」

「………しぃママ久しぶり。ごめん、普通に入ってきた」

涼来の母に会うのは久しぶりだが、変わっていない。明るく元気で涼来とは違った元気をもらえる。

「いいのよー。うちだと思ってゆっくりしてってー?」

「うん………しぃは部屋?」

「そーよー、なんか転校してきてからすぐ仲良くなった友達だって言ってたわ」

涼来の話は本人からほとんど聞かない。会ったら自分のことばかりで彼女の話をほとんど聞いた事がない。自分勝手だと思う。

「……そっか。しぃに早く会いたい…」

「………あら、部屋に行ってくればいいじゃない?」

「………しぃママ……簡単に言わないで。僕、これでもアイドル。しぃの友達とは言えバラされる保証がないとは言えないじゃん」

藍翔のいうことは正しい。いつバレるかもわからない、実家と同じマンションとは言え、白石家と家を行き来しているのにそのもし友達から変に報道されることになっても困る。

「……確かにそうね。じゃあ、涼来に藍翔くんきたって伝えてくるわ。これ持ってこうとしてたし」

そう言って手にしているのは軽いお菓子とジュースの乗ったお盆。まだ居座らせる気だろうか。まだ涼来と話せるには時間がかかるかなと思い、彼女の家のソファーで横になっていると疲れていたのか眠気に襲われ寝ていた。



どれくらい寝て居たのだろうか、起きると足元に涼来が座り込み勉強をしているようだった。

「………しぃちゃん……」

「あ、あいくん起きた?お腹すいてない?なんか食べる? ハンバーグ作ったんだ〜」

「………食べる。しぃちゃん作ったの?」

会話からすると結構寝てしまったのでは無いかと察する。

涼来が温めてくると席をたちキッチンの方へ姿を消したのを見送り眠い目擦りながらふと、異変に気がつく。

「……あれ、しぃちゃん。しぃママは?」

「あ〜。仕事だよ。夜勤なの。……はい、どうぞ」

「そっか。あ、ありがとう」

前にだされた美味しそうなご飯は、温めただけだろうがとても美味しそうで1人で食べるのは申し訳ない。夜勤でいないという事は、これを1人で涼来は食べたのだろうか、それとも知らない間に一緒に食べたのか。

「………あいくん、心配しなくても1人で私は食べてないよ。だって、あいくんそこに居たでしょ?」

心を読まれたのかと一瞬ドキッとする。心配を察して気を使ってくれているようだが、それは1人だと言っているも同然だ。寝ている人に一緒だとはどういうことか。

「しぃちゃん、それは一緒だとは言わない。全くいつもしぃちゃんは人のことばっか自分に素直になってよ」

「……うん。大丈夫。藍翔はなんで来たの?理由があったんでしょ?なんかあった?」

彼女は察しがいい。少しばかし言い方はいつもよりキツい言い方のような気がするが、表情は優しい彼女のままだ。

「………あ、、あのね、明日から例のドラマラブシーンの撮影なんだって……そんなの自信ないよ」

「……やっぱり(ボソッ)、藍翔、どうしてそこは自信ないの?」

「……だって!僕は!しぃちゃんのことが好き!しぃちゃんとラブシーンでよく知らない女優と仲良くするよりも、1番にしぃちゃんとしたい!しぃちゃんじゃなきゃ嫌だ!」

涼来はラブシーンについて撮影する前に何か言われるということは予想していた。彼のことだなんかしらの不安要素があると言ってくるのはいつもの事だ。だが、今回は予想以上のわがままである。

「………どういう意味?」

「だって、みてよ!これを」

そう言った彼に見せられた台本。ラブシーンの部分。

「………キスのこと?」

「…………違うよ!違わないけど…それだけじゃなくて……その、、とにかく!しぃちゃんが1番じゃなきゃ嫌だ!」

「……まったく……わがままだなぁ〜。わかったよ。このシーンだけだよ、練習に付き合ってあげる」

涼来の提案に気に食わないような顔をしているようで少々不機嫌な様子。それでも乗ってくれたようでヘタレな藍翔のまま、セリフを言っている。台本は涼来の手にあるので覚えているようだ。スラスラ出てくる。

「……僕は、君が好きだ。だけど……君……涼来はこんな僕のことなんて興味ないでしょ……でも君に……涼来に告白したかったんだ。大好きだよ」

スラスラ出ていた言葉はいつの間にか、涼来への告白に変えられていて涼来は練習に付き合うつもりが混乱して言葉が出ない。

「しぃ、言ってよ、セリフ。練習付き合ってくれるんでしょ?」

「………あ、えっと………そ、そんなの、あな……藍翔くんが決めることじゃない!わ、私は藍翔くんが好きよ。大好きよ!勝手に私の気持ち決めないでよ!」

「……え、僕を?僕の空耳じゃないよね?………ねぇ、キスしてもいいかな?」

台本にはこの後彼女が笑顔で頷いて「いいよ」と言うと書いてある。涼来にはそれが出来ない。だってこのセリフ言っている間に気がついてしまったから。藍翔が好きなことに。だからこれで頷いてしても、演技のままするのは嫌だ。けれど言葉が出てこない。

「………涼来。答えてよ」

「…………ずるい…こういう時だけ名前呼んで……私は……藍翔くんが好き。このまま、演技のままするのなんて嫌だ。けど他の人とされるのも嫌だ」

「………しぃ、本気で言ってるの?」

藍翔の問に今度こそ頷く。すると彼にキスをされた。驚きのあまり次は言葉が出てこない。

「………涼来、僕は昔からずっと告白してるよ?涼来が好きだよ、僕と付き合ってくれる?」

「…………うん」

突然の告白。まさかただの練習だったはずなのに、本当に告白になってしまうなんて思わなかった。その後のことは正直覚えていない気がつくと寝ていて朝マネージャーが迎えに来て気がついた。




撮影現場にて、あんな乗り気でなかった撮影もなぜか少しだけ気分が乗った。昨日のあれは嘘かと思っていたが嘘ではないと感じさせてくれる。そんな気分である。今回の撮影が1番の不安要素だったが、昨日涼来と練習した甲斐あってなのかスラスラ出てきた。涼来への最終的な気持ちを伝えたように、このキャラもこの人を愛しているのだと思うと、昨日涼来へ自分が言ったような言葉がおりてきた。台本と違うと分かってはいたが、本来の自分の性格と似ているのなら、こういうのではと直感的に思ったからだ。

「………いい!アイくんいいよ!その方が気持ちが伝わってくるよ」

「……うん、私も少しドキッとした」

共演者からも監督からも絶賛された。リハーサルだったけど、本番それで行こう!と押されるようにまたその言葉を口にする“本来の自分”が愛する涼来へと思いを伝えるつもりで。

絶賛されたその言葉を口にして、さっさと終わらせた撮影。今日の撮影が終われば、このドラマは全て自分の撮影が終わる予定だ。

「……いいね!これでアイくんは撮影終わりだ」

「………ありがとうございました!」

全て終え帰ろうとすると、共演者や監督など撮影スタッフから引き止められ、気持ちは「早く帰してよ」と思いつつアイくんの笑顔を取り繕ってその場の雰囲気に答える。

「……本当にこれが撮影最後なのか?最高だったのに……また俺は撮りたいよ」

「……はい。申し訳ないですが、俺はドラマなど出て俳優するつもりはありませんから。俺はアイドルなんで。アイドルはドラマに出てファンを喜ばすのでなくて、みんなに会って笑顔にするものだと思ってるんで。これが最初で最後です」

「……もったいないけど、そんな意思が強くちゃ、言うことないよ」

取り繕った笑顔で返すが、もう撮影で疲れたのもあり、アイくんを演じるのにも限界がきている。さっさとこの場から一刻も早く離れたい。藍翔が切実に願っていた所に、救いの一声が。

「……あーい!!終わったー?!飯行こ!早く〜俺と久々に2人で食いに行こーぜ!」

「……しゅん!あぁ、行こうか」

相棒がタイミングよく声をかけに撮影現場に飛び込んできた。どうやらその先にはマネージャーがいるようだ。

「……ということで、もうアイを連れてっていいですか〜?俺たち忙しくて〜久々なんですよ〜飯行くの〜」

「………あ、はい。どうぞ」

「ありがとうございます!!じゃアイ!行くよ!」

相棒の救いによってその場から離れた藍翔。マネージャーと瞬翔と車に乗り、ホッと息をする。

「………マネージャー、しゅん、ありがとう。助かった〜」

「やっぱり?アイ、顔引き攣ってたもんな〜」

「………そうでしたね〜。それでお助けしましたが、どこへお連れすればいいのでしょう?」

マネージャーも瞬翔もわかるほど引き攣ってたとは…。彼らがこなきゃどうしていたか、想像がつかない。

「…………僕の家で」

「……やっぱり。だと思って買い込んできた。作るよなんか」

「……いや、しゅんは作らなくていいよ。マネージャー、家行く前に実家のマンション寄って」

彼の言葉に『了解』と返事をして向かうそれしか出来そうにない。彼が実家のマンション。と言う言い方したのは決して実家に用があるのではなく、例の子の事だろうとは大いに想像がつく。




指定の場所にたどり着くと、直ぐに彼は降りる。記者とかいるなんて想像もなしに。瞬翔が引き止めて車に戻す。

「……アイくん、待って。あそこ記者いる。スクープ狙ってるからアイくんの」

一言それだけで藍翔だって言ってることはわかる。『行くな』そう言われていることくらい。しかし、彼はメンタルの限界。癒しの休息が欲しい。

「……アイくん、最近よくこっち来るでしょ。だから狙われてるんだよこっちの家は。引き返そう。アイくん家に2人とも送るからそっちで2人でやって?」

「…………嫌だ。僕を癒せるのはしぃちゃんだけなんだ。しぃちゃんじゃなきゃダメなんだ。しぃに会えないならそんなの“アイくん”は演じられない。存在出来なくなる。スクープになってもいい、僕は行く」

「ちょっと待て。アイ!分かってるのか?スクープされれば涼来ちゃんにも被害がいく。お前だけじゃない。それでも行くのかよ。俺だってマネージャーだって理由は知っている。だから心配してるんだろ。もし、これで会えなくなって耐えられるか?耐えられないだろお前は。ちょっとはそこまで考えろ」

相棒に説教され、冷静になれるかと言ったらなれるわけない。今、会えなきゃ回復出来る気がしない。

「……でもしぃに会いたい」

「……藍翔。お前、涼来ちゃんの連絡先は知ってるんだろ。電話すればいいだろ。テレビ電話とか、あるだろ、今日はやめとけよ。お願い。さっき涼来ちゃんに被害がいくって言ったけど、俺にも来るから。」

「…………わかったよ」

納得させて、車は走り出す。藍翔の今住む家へ。



家へ着くと2人での久々な食事。瞬翔が用意する間も、そのあとも。彼はテレビ電話で例の子と話している。

見たことないくらい甘えている、彼。連れてきていたら本当にスクープものだ。

しばらくこうして会うことしか許されないだろう。人気絶頂な彼はまだ、スクープは早い。彼を守るために相棒としてできることをしていくしかない。


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