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わたしの永遠の故郷をさがして 《第三部》 第2章 第2回


   ***************   **************



 パル国王の『就任式』が迫ってきていた。


 彼のこのところの忙しさは、何回目が回っても、追いつかないくらいだったのだ。


 ウナは、もうずいぶん長い時間が経ったが、『宇宙クジラ』によって製造された肉体は大変頑強で、まったく衰えというものを見せなかった。


 多くの、事情を知らない人たちは、ウナは国王の母であるから、『不死化』されていて当然だと考えていたから、『光人間』の問題自体が、まだ解決してはいなかったにもかかわらず、問題視されることはなかった。


 しかし、ウナ自身は、自分の体が、いったいいつまで持つのか、あるいは、アレクシスとレイミが、さらに何かを秘かに図っているのか、そうしたことがらが、まったく分からないままだったので、顔にこそ出さないが、不安を抱えていることは間違いなかった。


 パル君が、国王になるという事態は、それはひとつの区切りかもしれない。


 もしかしたら、自分の役割は、ここで終わり、『光人間』の群れに統合されることになるのかもしれない、という、ある種の予感のようなものもあった。


 また、パル君が国王として独り立ちするのにあたって、自分の存在は、むしろ彼の阻害になるだけではないか、とも思った。


 親は、先に旅立つものだ。


 ただ、かつて、一時、アレクシスとレイミの僕となった時のことを思うと、そこには確かに、深い満足感はあったが、いわゆる人間らしさというものは、まったく感じなかったことも思いだされる。


 そうなったら、パル君の事を、ことさら思いやるというような意識は、すべて消えてしまうだろう。


 そこだけは、やはり、大変に心のこりなことだった。




  **********     **********




 ビュリアはまたビュリア自身で、この先の身の振り方を考えていた。


 ビュリアの中のヘレナは、踊り子ジャヌアンのもたらした情報や、リリカが過去に転移した時に、その時のヘレナから得た情報をもとに、複雑な未来について整理をしていた。


 ヘレナは、たくさんの未来を創造していた。


 そのうち、自分がどこに進むのかは、彼女の意志に基づく。


 すべての未来は、宇宙の崩壊にまで繋がるが、元に戻ることは、普通は不可能である。


 自ら滅亡したら、それで終わりである。


 あの、『ジャヌアン』の世界は、そうなるわけである。


 ただし、すべての未来も過去も、『真の都』には通じている。


 どこからどこに行くことも、自由自在である。


 もっとも、それが可能なのは、へレナだけだ。


 しかし、これには、大きな問題がある。


 誰でも、自由には連れて行けないのだ。


 そこのところは、ヘレナ自身もよくわからない。


 操っているようでありながら、実は操られているようなものなのだ。


 ヘレナは『空間トンネル』の構築を急いでいたが、アニーが不調になって以来、それは止まったままだ。


 これが完成したら、普通の人間を、異世界に動かすことが可能になるだろう。


 しかし、完成には、まだ数億年は、かかるに違いない。



 この宇宙の中で、おそらくもっとも進んだ文明を生み出した『宇宙クジラ』でさえ、まだこの領域には立ち入れないでいる。


 その文明を部分的には凌駕する『宇宙警察』の警部が属していた文明は、すでにこの宇宙には無いと思われる。


 もっとも、無いとはいっても、きっと『真の都』経由なら帰ることが出来るのではないか、と『警部』は考えていた。


 ビュリアに頼んで、そのようにしてもらう方法があるのかもしれない。


 けれども、彼はそう言いだすことは出来ずにいた。


 恋の悩みというものは、いくら文明が進んでも、尽きない物らしい。


 『警部』は、すでにそれなりの期間、この惑星系に滞在していた。


 『温泉』が実に気に入った、ということも、まあ、そうである。


 彼は、宇宙警察の『警部』であり、ここで例えば『地元政府』に加わるとか、『家庭』を持つという事は、実はある種のタブーだった。


 もっとも、禁止ではない。


 彼の『地位』は、それによって、ようやく終了するのである。


 その後どうなるのかは、その時にならなければ分からない。


 そういう仕組みなんだから、どうしようもない。


 彼の本体である、真っ青な、伸縮自在な『球体』が、彼に最後の辞令を下すだろう。


『警部2051殿。 辞職を許可し、その職を解く!』


 そうなのだ、いつかは、その『辞令』を受けなければならない。


 すべてが済めば、『球体』は消滅するだろう。


 とは言え、警部には、さらにもう一つ気になることがあった。


 『火星』の大地に葬られた、『ブリューリ』という怪物化した、同僚の事だ。


 このまま、ほっておいていいのだろうか?


 きちんと、その『辞令』を聞かせてやらなければならないに違いない。


 きっと、最後の『辞令』は、発令されていないことは、間違いがない。


 『発令』されれば、直ちに報告が来るはずだからである。


 ところが、不思議なことに、同僚の『本体』が、どこにも見当たらないのだ。


 非常に不可思議な事である。


 必ず、その『本体』が、基本時間の最低単位二つ以内に到達できる場所にいなければならない。


 『火星』ならば、少なくとも、この太陽系内にいるべきである。


 まったく、消息が分からない。


 これもまた、謎だったのだ。


 そうして、当然ながら、『女王』がその真実を知っているのだろうとの想像は、当然可能であり、そうして、それは今、ビュリアがおそらくは、事実を握っているのではないか。


 警部は、まったく自分で思っても、バカみたいに、悩んでいた。のである。


 そうして、こうしたことの相談相手は、『女将さん』と、『金星のママ』以外にはないと、奇妙な判断をした。


 




   ***************   ***************




















   *************** ふろく ***************

  


「おあ~~~。やましんさん。もうやめたのかと思ったら、動き出しましたねぇ!」



「はあ~~~。ふわ~~~~、幸子さん、ちょと、身体が不調ですよお。なんだか、とても、あっちこっち、痛いです。苦しいです。」


「お饅頭不足です。はい、お饅頭、どうぞ。」


「よけい、悪くなりそうな・・・・・・・。」


「そうかなあ。疲れたときは、甘いモノって、常識ですよ。」


「常識が通じないのが、やましんの体なのですから。」


「一個くらい、いいんじゃないですかぁ?」


「どき! 誘惑の甘いわなわなが、・・・・・」


「もう、いらないんですか、なら、幸子が全部食べちゃいますよ。」


「いっこ、くらさい。」




  ***************   ***************













 

   



 




 

 






 








 


 







 










 








 






  

 


 

 


 




























 

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