わたしの永遠の故郷をさがして 第3部 第2章 第15回
「さて、いったい、何を探すべきかなあ?」
ダレルは、広大な居間を見渡したのである。
豪華な家具類が並ぶ。それは現実的なものだ。つまり、幻覚などではないし、ホログラムとかでもあり得ない。
しかし、豪華絢爛というような風情でもなかった。もっと、ごく当たり前の光景である。
ヘレナは、・・・母は、だが、母なんて考えることは、ほぼなかったのだがな・・・・・、たしかに人類だった。
それは間違いないが、しかし、母は人食い人類だった。その最盛期にあっては、長くそうだったわけだ。
そんなこと、容認できるわけがない。
絶対にできない。できないのだ。
しかし、火星人類の支配者は、食べる側だったのだ。
食べられる側は、養殖された食用人類である。
彼らには、食糧としての価値しかない。
それが、火星社会の常識になっていたから、ダレルのように食用人類を食べない存在は、タブーなのだったが、ダレルはヘレナの息子である。
それは、圧倒的な力があったから、最後までそれを押し通していた。
ダレルが強力な不感応者だったからの事でしかないのだが。
「でも、はるかな昔は、そうではなかったわけさ。」
なぜ、火星人類は、食人類種族に変貌したのか?
いまは、すでにすべて、わかっているようで、核心部は隠されたままである。
火星文明が滅亡の危機に達してしまったときに、ダレルやリリカは、ようやく、火星人類を元の、当たり前の食習慣に戻し、元凶だった宇宙怪物を封じることに成功したわけである。
怪物ブリューリと、母に、何があったのかについては、流石のあの母が丹精込めて書いた「経典」も明記を避けている。
それは、追及してはならない部分だろうけれど、しかし、火星人類を食人類に変えてしまった原点がそこにあることだけは間違いがないわけだ。
ここは、つまり、その原点だった可能性が高いと、ダレルは推測していたのだった。
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