わたしの永遠の故郷をさがして 第3部 第2章 第12回
マヤコは、ウナさんになんとか接触しようとしていたが、この未だに未開の地球でさえ、なかなか果たせないでいた。
相手は光人間である。地球の開発には干渉しないと約束はされていたものの、火星での教訓からも、人類とは一線を画すと言われていたのだ。
ヘレナならいざしらず、ビュリアはあまりウナから信頼されていなかったようなのだ。
マヤコは、大臣に就任するようにビュリアから依頼されていたくらいだから、できないはずもないのだが。
一方、リリカとダレルは火星の後始末に追われる日々だったが、細々と存続していた火星情報局から、危ない知らせがやって来ていた。
かつての「青い絆」から別れた過激派集団のひとつ、「ネオ青い絆」が、地球でのテロを計画しているという情報だ。
ダレルは、すぐに、ビュリアに取り次いだのである。
「目標は、つまり、あなた、ビュリアさまですが、パル新国王も標的のようです。」
新しい局長は、カイロス火星文化庁主任が昇進していた。
事実上は、ビュリアのスパイであったが、その正体はあまり知られていない、影の人物である。出身は金星だったし、マヤコとは幼なじみである。
「 「ネオ青い絆は」、極めて暴力的な理想を持っていますからね、火星文明の浄化、とか言ってますが、早い話しが、単に権力が欲しいだけですが、リーダーのババヌッキは、ババヌッキ社長の甥に当たります。意味のわからない新宗教を立ち上げていて、ヘレナさまの、タルレジャ教会に反対しています。」
「ありふれているね。」
「ええ、そうなのですが、ちょっと気になるのは、この、ババヌッキは、光人間との接触があるらしいのです。」
「らしい? 証拠はあるのかな?」
「いえ。相手はもしも光人間ならば、証拠は残しませんからねぇ。ただ、あの、アレクシスとレイミは、真の都に追放されたのですよね。」
「そのはずですよ。ただ、真の都については、ヘレナさまからの情報が少ないのです。一度入ったら永遠に出られないはずですが、ヘレナさまが、解放しない限りはね。情報の出入りもできません。だから、アレクシスとレイミについては、もはや伝説ですからね、あり得ないわね。ただし、その名を借りた何者かならば、話しは違います。」
「光人間でさえ、真の都からは出られないのですよね。」
「そのはずですよ。物理学が正しいのならば。」
「しかし、アレクシスとレイミは、第10 惑星にいるとの情報があります。しかも、かなり、確度は高いかと。」
「誰からの情報ですか?」
「宇宙海賊マオ・マからです。」
「一番信頼しにくいわね。マオ・マ自体が、いま、太陽系にはいないでしょう。」
「はあ。しかし、‘’ぶっちぎり号‘ ’が、太陽系辺境にいたという情報もあります。それは、宇宙くじらの商船が、太陽系の近傍を通過した際に、観察されたということです。」
「どうせ、委託商船でしょう。」
「まあ、そうです。しかし、ババヌッキ社とも付き合いがあります。」
「ふうん。ま、わたしは、いつも危険ですが、パル君を危険にさらしてはなりません。警備を強めなさい。」
「分かりました。」
だが、パル君は、そのあと、すぐに襲われたのである。
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マヤコは、パル君からの信頼が厚い。
なにしろ、マヤコとウナは一番の親友だったのだから。
だから、その時も、マヤコはパル君といっしょにいたのだ。
まだ、出来たばかりの新しい都。
二億五千万年あとにも、そこは地球上に島として存在していて、「タルレジャ王国」の首都である。
ただ、地質学では、それは長く証明されていない。王国がなかなか調査を認めないからだが。
パル君の警護は万全のはずだった。
正面は広い海であり、地球上には、まだ、そこ以外には文明はない。
背後は、高い山々が連なっていた。
火星文明から受け継いだ優秀な警備挺や航空機が、すべての空間をくまなく警戒しているから、襲撃できる余地はないはずである。
ヘレナ以外にはあり得ないわけだ。
もちろん、ブリューリや、宇宙警部なら分からないが、いまはどちらも、地球には存在しない。
しかも、宇宙警部が襲ってくる理由はない。
パル君は、新しい宮殿のバルコニーに立っていた。
マヤコは、その一歩だけ、後ろにいた。
なにかが、パル君の傍らを飛んだ。
ふと、パル君が屈んだと同時に、なんらかのエネルギー波が通過したのだ。
マヤコが駆け寄ったが、ことは、済んだあとだったのだ。
パル君の被っていた帽子が消滅した。
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