わたしの永遠の故郷をさがして 第3部 第2章 第11回
パル君の意思は、パル君のものである。
ビュリアのものでも、ウナのものでもない。
もちろん、ヘレナ女王のものであるわけがない。
にも拘らず、パル君は国王になることを、なぜだか迫られていたのだ。
タルレジャ王国なんていうものは、火星にも、それこそ金星にもなかったものだし、誰も知らないものだ。
その王国・・・・・王国ということ自体がパル君には腑に落ちないが・・・・・の、国民になるというのならば、まだ、地球に移住したばかりだから、そうしたこともあるに違いないが、突然、国王なんということがあるわけがない。
それは、ビュリア、あるいは、ヘレナたちが勝手に考えたことだ。
母は、明確な意思を示してはいなかった。
ただ、母には、そもそも表情というものがあまり見られない。
パル君は、ウナが「光人間」だということが、まだ、理解できない。
いや、理解できないだろう、と、回りは考えていたのだ。
しかし、ビュリアは、パル君以外に国王になるものはいない、と明確に分かっていたのだ。
才能が違うのだ。
パル君には、火星の女王、ヘレナの意思が、あるいは能力が、明確に引き継がれているからだ。ただし、まだ、発現しては、いなかったが。
「あなたが、決断しなさい。」
母は、そういい残して、消えていってしまった。
行き先は言わないままに。
パル君は、だから、自ら決断しなくてはならなかったのだ。




