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称号『望まぬ蒐集家』

作者: ParticleCoffee
掲載日:2018/05/26

 気がつくと見覚えのない場所に寝転んでいた。

 あたりは薄暗く、わずかに差し込む光によって岩でできた天井が確認できる。

 背中にも石の地面の硬さを感じる。

 状況を確認しようと起き上がった瞬間――

 ガツンッ!

 と、ヒタイに強力な一撃を受けた。

 起き上がることが出来ずに、また仰向けに倒れてしまう。

 寝た状態に戻ったボクの胸の上に重いものが落ちてきた。

 それは、

「……トロフィー?」

 赤茶色のトロフィーが胸の上に鎮座している。

 頭に当たったのもこれだろうか。

 痛む頭をさすりながらトロフィーを眺める。

 トロフィーの台座には『目覚めの時』と書かれている。

 ――目を覚ましたからトロフィーが手に入った、ということか?

 考え込んでいると、

 ジャラジャラジャラ……

 音を立てていろいろなものが落ちてきた。

 『称号 早起き』と書かれた細長い板。

 シンプルな赤茶色のメダル。

 かわいいフォントで『ビギナー!』と書かれたバッジ。

 『始』という漢字をもとにデザインされたピンズ。

 そして、特徴のない貧相な勲章。

 すべてをかき集めてワキにのけた。

 痛みが治まったのを確認し、今度こそ起き上がる。

 突如、大音量の効果音が鳴り響いた。

 同時に枠付きの半透明の大きな板が眼の前に現れる。

『ザニューチャレンジャー ようこそ新たなる世界へ』

 枠の端には『実績解除ウインドウ』と書かれている。

 恐る恐る手で触れてみると、板は音も立てずに消滅する。

 板が消えて視界がひらけると同時に、どこからともなく男が現れる。

 身の丈ほどの大きな槍を手にした、筋肉質のいかつい男だった。

「目覚めたな、新たなる冒け――

 さえぎるように効果音がふたたび鳴り響く。

 それに加えて、ウインドウが現れ、

『ガイドツアー参加 チュートリアルの開始』

 そう書かれているのを読み終えぬうちにトロフィーの直撃を頭頂部に受け倒れ込む。

 そのまま顔面に『称号』と『勲章』と『バッジ』と『ピンズ』と『メダル』による追撃を受けた。

 それらによってボクが倒れていることを、男は気にもとめず話をし続け、

「――ということだ、もう一回聞いておくか?」

 話を終えて、男が問いかけてくる。

 もちろん何一つ聞こえていなかった。

 眼の前に、『はい』と『いいえ』の文字が書かれた『選択ウインドウ』が現れる。

 右端の方にマイク型のマークも付いているのが見えた。

 ――音声認識もするのだろうか?

「じゃあ……『はい』」

 ウインドウが消滅し、

「ではもう一回説め――」

『はじめてのマイク使用』『楽しい会話』『選択せし者』ほか、各種実績の襲撃を受けてボクの体力はゼロになった。

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