称号『望まぬ蒐集家』
気がつくと見覚えのない場所に寝転んでいた。
あたりは薄暗く、わずかに差し込む光によって岩でできた天井が確認できる。
背中にも石の地面の硬さを感じる。
状況を確認しようと起き上がった瞬間――
ガツンッ!
と、ヒタイに強力な一撃を受けた。
起き上がることが出来ずに、また仰向けに倒れてしまう。
寝た状態に戻ったボクの胸の上に重いものが落ちてきた。
それは、
「……トロフィー?」
赤茶色のトロフィーが胸の上に鎮座している。
頭に当たったのもこれだろうか。
痛む頭をさすりながらトロフィーを眺める。
トロフィーの台座には『目覚めの時』と書かれている。
――目を覚ましたからトロフィーが手に入った、ということか?
考え込んでいると、
ジャラジャラジャラ……
音を立てていろいろなものが落ちてきた。
『称号 早起き』と書かれた細長い板。
シンプルな赤茶色のメダル。
かわいいフォントで『ビギナー!』と書かれたバッジ。
『始』という漢字をもとにデザインされたピンズ。
そして、特徴のない貧相な勲章。
すべてをかき集めてワキにのけた。
痛みが治まったのを確認し、今度こそ起き上がる。
突如、大音量の効果音が鳴り響いた。
同時に枠付きの半透明の大きな板が眼の前に現れる。
『ザニューチャレンジャー ようこそ新たなる世界へ』
枠の端には『実績解除ウインドウ』と書かれている。
恐る恐る手で触れてみると、板は音も立てずに消滅する。
板が消えて視界がひらけると同時に、どこからともなく男が現れる。
身の丈ほどの大きな槍を手にした、筋肉質のいかつい男だった。
「目覚めたな、新たなる冒け――
さえぎるように効果音がふたたび鳴り響く。
それに加えて、ウインドウが現れ、
『ガイドツアー参加 チュートリアルの開始』
そう書かれているのを読み終えぬうちにトロフィーの直撃を頭頂部に受け倒れ込む。
そのまま顔面に『称号』と『勲章』と『バッジ』と『ピンズ』と『メダル』による追撃を受けた。
それらによってボクが倒れていることを、男は気にもとめず話をし続け、
「――ということだ、もう一回聞いておくか?」
話を終えて、男が問いかけてくる。
もちろん何一つ聞こえていなかった。
眼の前に、『はい』と『いいえ』の文字が書かれた『選択ウインドウ』が現れる。
右端の方にマイク型のマークも付いているのが見えた。
――音声認識もするのだろうか?
「じゃあ……『はい』」
ウインドウが消滅し、
「ではもう一回説め――」
『はじめてのマイク使用』『楽しい会話』『選択せし者』ほか、各種実績の襲撃を受けてボクの体力はゼロになった。




