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RALE  作者: たけちる
第一章
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01話 女の子になっていた!

 俺は目を覚ました。


(ここは...どこだ......。えっと、なんかおっさんに殴られて気絶したんだっけ...。確かヒナと居酒屋で飲んでて...。病院にでも搬送されたのだろうか)


 そう思いつつ状況把握をしようと、体を起こす。

 何か違和感がある。

 しばらくしてその違和感の正体に気づいた。いつもより目線の位置が低いのだ。これでも身長175cmくらいはあったはずだ。座高は90cmくらい。おいそこ、短足とか言うなよ。


 いやまあ、それは置いといて。殴られて背が縮んだのだろうか。それだとしたらおっさんの力がやばいことになる。

 今俺は座った状態で身体をを起こしているが、俺の感覚だと現在の座高はだいたい70cmくらいである。だいぶ低い。本当に何があったのだろうか。おっさんが怪力である可能性は低い。なぜならもしおっさんがそんな怪力なら、俺はきっとすでに死んでいるからだ。


(なんて名推理! 今日からホームズ名乗ろうかな??)


 なんて浮かれたことを考えつつ、周りを一瞥する。


(あれ.........??)


 背中に冷や汗が流れる。

 今俺は、木々が生い茂る森の中にいた。


(おかしい。落ち着いて考えろ。瓶で頭殴られたら森の中に搬送されるんだっけ...。ダメだ頭がこんがらがってきた。気絶して目を覚ましたら森の中ってなんだ?? しかも身長縮んでるし...)


 とりあえず立ってみた。身長は130cmくらいだろうか。だいぶ縮んだようだ。まるで自分の体ではないかのようだ。

 今自分の姿がどうなっているのか、鏡とかがないので確認できない。もしかして頭が潰れているのだろうか、とか思って頭を触ってみても、特にそういったことはないようだ。それでもなんかおかしい。そう、髪が長いのだ。どのくらい長いのかと言うと、肩から4cmほど上くらいまでだ。俺はここまで髪は長くなかったはずである。よくいるショートくらいだったはずだ。

 こんなに長いとなると、かなり時間が経っているのかもしれない。不安になる。


 少し探索することにした。道路でも探して、車に乗せてもらって送り届けてもらおう、と言う作戦だ。

 30分ほど歩いてみても、何も見つからない。いくら進んでも木が生い茂るばかりだ。人影も、動物さえも見えない。そう、森なら絶対いそうな虫すらもだ。異様な空間だった。


 お腹が減ってきた。

 まあ、起きてから何も食べてないし、ちょっと運動したしな。

 それにしても俺は今何も持っていない。どうしたものか。このまま餓死ってなると嫌なものがある。というか、水すらない。人間ってのは3日も水分をとらないと死に至ってしまうそうだ。昔どっかの本で見た。

 焦りが生じる。


 俺はそれから必死になって辺りを探した。すると、洞窟のような場所があった。入ってみることにした。ただの好奇心です。はい。いややっぱ男の子だったら洞窟探検とか憧れるじゃん? 東京生まれ東京育ちだしこんなの見たことないし! いやもしかしたら水とかあるかもしれないし??

 そう自分に言い訳しつつ、俺は洞窟に入っていく。


 洞窟に入り少し進むと、湖のような場所があった。

 ほらやっぱり水あった! たまたまだけど。

 結構歩いたし喉も渇いたので、その水を飲むことにした。

 その水を飲むと、不思議なことに、今まで続いていた空腹感がなくなった。

 面白いなと思いつつまた飲んだら今度は満腹感を感じるようになった。量は大して飲んでいない。栄養価とかがすごい高い水なのだろうか。よくわかんないけど。


 さて、空腹感もなくなったことだし今度はどうしようか、と考えていたところ、少しお花を摘みに行きたくなった。え、男が言うと気持ち悪いって? だまらっしゃい。

 どこでしようか、と考えて見たけど、洞窟でするのは流石にないよな。

 ということで、さっきの森に戻ってきた。まあ下が土なら問題ないだろうと思い、用を足そうとする。

 何かが、おかしい。

 いや、何がおかしいのかは分かっている。分かっているが認めたくない。今まで少し違和感は感じてきていた。だけど気にしないことにしていた。

 俺は現実と向き合うのに数分かかった。なぜ向き合うことができたかというと、我慢できなくなってきたからだ。


 事を済ませた後、洞窟に戻ることにした。

 洞窟に戻った俺は、絶望した。20年間どの女性にも愛されることのなかった俺の息子さんが消えていたからである。

 ただそれと同時に歓喜した。20年間見たこともないものが見れたからである。おいそこ変態とか言うな。


 少し状況を整理しよう。

 ・起きたら森の中にいた

 ・洞窟の中の水を飲んだら空腹感がなくなった

 ・どうやら俺は女性になったらしい


 だいたいこんなところか。

 これからどうしよう。とりあえず洞窟の中でも探索しようかな。食料問題も解決?したし。

 そう思い、洞窟をさらに進むことにした。


 しばらく歩くと、何やら光を放っている場所を見つけた。

 恐る恐る近づいてみる。

 するとそこには、本やら何やらで見たことのある生物がいた。

 ドラゴンだ。


(え、これどうしよう。逃げた方がいいよな? 殺されそうだし。てかドラゴンって実在したんだ。怖すぎ。)


 そんなこと思いつつ俺は逃げようとする。すると、


『待てい!!!』


 直接俺の頭の中に声が入ってきた。


(待って待って誰だ? まさかあのドラゴンか? 待てって言われたけど、待つわけないじゃん、怖すぎる。)


 とか思いながら足を進める。


『待てって言ってんのが聞こえんのか、このどアホウめ! 今外なんかに出ようとしたら、時空の狭間に取り残されるぞ! せっかく親切心で言っておると言うのに...』


(時空の狭間? どういうことだ? そんなもの存在するのか? そもそもこの声の主はあのドラゴンで合ってるのか?)


 とか俺が考えていると、


『そうじゃ! このどアホウめ! ワシの忠告も聞かずに逃げ出そうなど...。せっかく久々に話せそうな奴が来たと言うのに死んでしまってはもったいないではないか!』


(あれ、なんか会話が成立してる。まさか思考を読み取られているのか。そんな気がする。)


『その通りだ。ワシの名はイグニス。巷では灼熱竜とかとも呼ばれておるな。あとは炎の悪魔とかか。全く、悪魔なんて心外だわい。ちなみに、お主の名はなんと言うのだ?』


 やっぱりか。あとなんか妙に暑苦しいとか思ったらコイツ灼熱竜とか呼ばれてんのか。そりゃそうだわな。それにしてもコイツ、なんかこいつ妙にフレンドリーだな。仕方ない。挨拶してやるか。


「俺の名前は齋藤健吾です。こんなナリをしてますが、一応男でした。信じてもらえるかわかりませんが...。」

『ほう? なるほど貴様、転生者か。転生者は何度か目にすることがあったが、性別が変わっているのは見たことがないな。お主も大変だな。それにしても貴様は妙に魔力量が高いな。ふむ、転生時に性別が変わると魔力量が増えるのか。』

「転生? ってことは、もしかしてここは地球じゃなかったり...? ていうか、魔力量ってなんですか?! 魔法とかあったりするんですか?!」

『地球...聞いた事のない名だな。どこの地名だ? 魔力量は魔力量だ。そんなことも知らんのか? 自分が保有する魔力の総量のことだ。魔法があるのは常識だろう。今更何を言っている?」


 あれ、おかしいぞ。このドラゴンが言ってることから察するに、ここは地球ではなさそうだ。まあそもそも地球にドラゴンはいないか。ていうか、魔法があるのか。少し楽しみだ。そう思いつつ、ドラゴンに返答する。


「どうやら俺は違う世界に転生したみたいで、前は地球ってところにいたんです。そこには魔法の概念がないからわかりませんでした。」

『なるほどのう。異世界からの転生者か。それだけでも珍しいというのに、さらに性別が変わっている、と。なんか面白うなことが起きる予感がして来たわい! フハハ! いいだろう。ならばこのワシが貴様に直々に魔法を教えてやろうじゃないか! どうせあと一年はこの洞窟を出られんだろうしのう! あとそのかたっ苦しい喋り方はやめんか。虫唾が走るわい。ワシのこともイグニスって呼び捨てにして良いのだぞ。』


 待てよコイツ、今なんて言った。あと一年はこの洞窟から出られないだと? どういうことだ。

 ていうか本当にフレンドリーだな。コイツ寂しかったのか? 友達少ないのかな。


「じゃあフランクに行く。あと一年はこの洞窟を出られないってどういうこと? さすがにきつくない?」

『いきなりそこまで言葉をくだかれるとなんかアレなのだが...まあいいだろう。ワシが言い始めたことじゃ! フハハ! 一年も出れないというのはな、ワシがここに封印されているからじゃ。昔散々暴れておったらのう、封印されてもうた! フハハ! いやあ、あいつは強かったのう。まあそこでだ。その封印はワシをこの洞窟から出れなくするものなんだが、この洞窟が地上に現れるのは一年に一回でのう。それも場所もランダムときた。結構すごいだろ? ちなみに、その一年に一回来る日以外はずっと時空の狭間をさまよっている。ワシが外に出られたらすぐ解除できるんじゃが、どうにもそれができなくてのう。1000年近くここにいるわけなのだ。だから一年くらい諦めてワシと遊ぼうじゃないか! ええ?」


 マジかよ。嫌なタイミングでこの洞窟に入っちまったな。どうしたものか...。

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