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RALE  作者: たけちる
第一章
10/10

09話 お金が欲しいんだけど...

 宿に戻るとメルが慌てた顔でこっちを向いた。


「いらっしゃいま...レイルちゃん! どこ行ってたの! 私すごい心配したんだから...。」


 そういうとメルは泣きながら俺に抱きついてきた。

 どうやら勝手にいなくなったことでかなり心配をかけていたらしい。申し訳ない限りだ。

 書き置きでも書いておけばよかったな。この世界の文字書けないけど。


「ごめんなさいメルさん。冒険者ギルドに行ってました。早くお仕事見つけなくちゃって思ったので。」

「そ、そうだったの。でも無理に仕事見つけなくてもいいのよ。私が面倒見れたんだから。あれ、でも冒険者ギルドってレイルちゃんの歳じゃ入れないんじゃなかったっけ?」


 待っていても仕事は見つかっていたらしい。おそらくこの宿のお手伝いとかだろうな。それも安定していて悪くはなさそうだ。

 そして俺は冒険者ギルドであったことを話した。まあ予想はしていたがかなり驚いた顔をされた。やはりCランク冒険者はかなり名誉なことなのだそうだ。

 俺が明日からクエストをこなしてみようとしていることを伝えると、何やら複雑そうな顔で「無茶だけはしないでね」と言われた。


 その後特に何ということもなく1日が終わった。何かあったかと言えば食事は宿屋の料金に含まれているという事実を知ったことくらいか。食事代のことをすっかり忘れて冒険者ギルドから戻ってきていたので助かったのだ。



 夜になり街が寝静まる。

 眠くなってきたのでそろそろ寝ることにする。朝はずっと〈飛行〉を使ってたから疲れたしな。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 翌日。

 気分のいい朝だ。涼しい気温に、日が照っている。俺の一番好きな気候だ。何というか清々しいのだ。


 朝起きるとメルが朝食を作ってくれていた。部屋の扉の前に作り置きがあったので遠慮なく頂く。書き置きもあったが文字が読めないのでスルー。

 文字を読めるようにならないと何も始まらない。クエスト内容も知ることができないし。必然的に誰かに聞くことになるだろう。読み書きの練習も今後の課題だな。



 朝食も済ませたことだし冒険者ギルドへ向かう。クエストをこなさないとだしな。文字の勉強はその後だ。お金がないと文字の勉強もできないだろうし。メルに頼む手もあったが、さすがにそこまで頼ってはいられない。


 冒険者ギルドに着くと、椅子に座っていた冒険者達からの好奇の視線に晒された。注目されていて何か嫌な感じだ。

 俺を見ている冒険者のほとんどが俺の胸にあるネックレスに視線を合わせているから、おそらくは俺がCランク冒険者であることを信じられない、といった感じなのであろう。実際にそういった声も聞こえる。


 俺は周りの冒険者を無視して受付へ向かう。本来ならクエストボードへ行くところだが、俺は文字が読めないので受付のお姉さんに受注するクエストを見繕ってもらうためだ。


「すいません、私が受けられるクエストを見繕ってもらいたいんですけど...。できれば難しくても手っ取り早く稼げるのがいいです!」

「は、はい! 少々お待ちくださいね。えーと、レイルさんに推奨できるクエストは今のところありませんね。Dランク冒険者推奨のクエストならたくさんあるんですけど、下のランクのクエストは緊急時以外受注できない規則なんです。他の街に行けばあるかもしれません。ただこの国だとここが一番大きい街なので、他の国に、ってことになりますね。」


 何だそれ。初耳だぞ。てっきり下のランクのクエストも受けられるかと思ってた。結構不便なんだなあ。まあそりゃ上のランクの冒険者が下のランクのクエストをこなしまくって下のランクの人の仕事をなくすことになりかねないか。その事態はギルド的にまずいのだろう。

 そこでCランク冒険者は何をして食いつないでいるのか聞いてみた。すると、CランクやBランクの冒険者の多くは貴族と契約を結び、専属の護衛になるらしい。Aランクの冒険者は国から給金が出るという。Sランクに至っては何をしているか分からないらしい。まあ2人しかいないならそうなるわな。


 受付のお姉さんがふと思い出したかのように口を開く。


「そういえば、二日後に王国主催の剣術大会が開かれるんですよ。これは毎年恒例の行事で出場料は無料です。そしてそこで優勝すれば賞金として大金貨5枚、つまり金額にして500万ジンを手に入れることができるんです。Aランク冒険者の方も何名か出場するみたいですし優勝はかなり難しいと思いますが...。優勝以外では賞金はもらえないのであまりオススメはできないですね。まあ上位4名までは王族の直属騎士になる資格を与えられるので腕に自信がある人は挑戦することが多いです。」


 どうやらこのテスタ王国主催の剣術大会があるそうだ。

 500万ジンというのがどれほどの価値があるのか分からないがお姉さんの様子からして結構な価値があるんだろう。その辺りのことを聞いてみたら、4人家族の家庭がそこそこ贅沢な暮らしをして5年持つくらいらしい。日本円にしておよそ4000万円くらいか。かなりの額だな。

 それに魔法の使用は不可だそうだ。使用が発覚した時点で失格らしい。武器の種類は何でもいいとのことだが。



 面白そうだし出場してみてもいいかもしれない。優勝したら大金を手に入れることができるみたいだし。出場料もないみたいだからデメリットは少ないだろう。

 それにこの機会を逃したらお金を手に入れることが困難になってしまう気がする。Cランク冒険者の仕事も滅多にないみたいだし、専属の護衛とか嫌だし。


 俺はそんな安易な考えで大会に出ることにした。

 俺は非常に愚かだった。この時もう少し先を読むことができていれば面倒なことに巻き込まれずに済んだ、ということに気づいたのは剣術大会が終わった後だった。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 俺は一旦宿に帰ることにした。

 ちょうどお昼時だしお腹もすいてきたのだ。


 宿に戻るとメルが受付に立っていた。


「あ、レイルちゃんおかえりなさーい! 今日は何してたのー?」

「剣術大会のエントリーを済ませてきたんです!」


 メルに驚いた顔をされた。俺がCランク冒険者になったことを伝えた時と同じ表情だ。


「あの剣術大会はやめておいた方がいいかもしれないよ。ルールはちゃんと聞いた? 相手の生死は問わないんだよ。もしかしたらレイルちゃん殺されちゃうかもしれないんだよ? 一応途中で棄権することもできるって話だけど...。」


 なんと。そんな物騒なルールがあったのか。まあでもヤバそうになったら離脱して棄権すればいいだけの話だろう。

 特に気にする必要もない。


「そうなんですか! 危なくなったらやめることにします! ご忠告ありがとうございました!」

「う、うん。本当に気をつけてね。ちゃんとお姉さんのこと頼っていいんだからね。」


 メルは涙目で俺にそう言ってくる。俺が全然メルのことを頼らないから寂しいのだろうか。よくわからん。



 俺は、そういえばメルに聞いてみたいことがあったのを思い出した。

 この国の貨幣制度だ。ギルドの受付のお姉さんがジンとか大金貨とか言ってたけどさっぱり分からなかったのだ。

 ということで早速メルに聞いてみた。


 メルの説明によると、貨幣は全世界共通らしい。地球のユーロの全世界版みたいな感じだ。

 そして貨幣には9種類あり、上からそれぞれ六芒星金貨、星金貨、大金貨、金貨、大銀貨、銀貨、大銅貨、銅貨、黄銅貨があるそうだ。


 そして単位はジンと言って、それぞれ貨幣には何ジンか決まっているのだという。

 それは

 六芒星金貨は100億ジン

 星金貨は1億ジン

 大金貨は100万ジン

 金貨は1万ジン

 大銀貨は1000ジン

 銀貨は100ジン

 大銅貨は50ジン

 銅貨は10ジン

 黄銅貨は1ジン

 といった感じだそうだ。


 普段の生活で用いるのは主に銀貨から黄銅貨とも言っていた。話を聞く限りではこの世界の物価は日本の10分の1ほどらしいし、当然なのだろう。コッペパンのようなパンなんかは銀貨1枚で買えるみたいだし。金貨1枚で約10万円相当だからな。そりゃ持ち歩く人はほとんどいないわけだ。

 ちなみに黄銅貨というのは、銅と亜鉛を一定の割合で混ぜて作った黄銅で鋳造された硬貨なのだそうだ。



 とりあえずは聞きたいこともなくなったし部屋に戻る。メルが「また何かあったら頼ってくれていいからねー」と言っていたので、礼を言いつつ会釈をしておいた。



 部屋に戻るなり俺はベッドに寝転がった。まだお昼だけどだらだらするのは好きだ。


 そういえばメルが言っていたのだが、剣術大会は木製の武器しか認められないらしい。ルールの性質上そこはちゃんと定まっているみたいだ。まあ木製だとしても当たりどころが悪ければ大怪我もするし、下手したら死に至るんだけどね。

 そして大会で使用する武器の持ち込みは許可されているらしい。ただ試合前に審査員のチェックが入るみたいだ。魔力付与(エンチャント)がされているかどうかや、中に金属を忍ばせていないかの検査を行うとのこと。貸し出しもされているみたいだからそっちでもいいかもしれないけど、どうせなら自分で用意したいな。

 ちょっとこれからいい感じの木を探しに行って来ようかな。


 俺は思いついたらすぐ行動したくなる派の人間なので、早速ベッドから飛び起きた。


 実はもういい木のある場所の見当はついている。

 俺は〈空間掌握(ザ・ルーム)〉を使い目的地に瞬間移動する。そう、この魔法は瞬間移動にも使うことができるのだ。距離制限はほとんどないに等しい。自分が指定した場所へならどこへでも移動することができる。ただ行ったことのない場所だと指定するのが難しいんだけどね。この魔法に頼りすぎるのもどうかとは思ったが、今回は場所が場所だし仕方ないだろう。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 目の前には3ヶ月通い続けた鍛錬場が広がっている。

 そう、俺が目をつけた木材とは、神木のことだ。

他の人との関わりが薄い気がします。

まだ序盤なので説明回っぽいのが多くなってしまうのはご容赦ください。

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