表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6月のピアノ  作者: naomitiara-tica
5/15

非常勤講師としての立場

この物語は創作です。モデルはありません。

智子は急に視力が落ち始めた。



小さい頃から近視と乱視による肩こりに悩まされたが、微妙なところで、メガネ始めたかけずに済んでいた。老けて見えるのも嫌だった。コンタクトはお金が掛かるし面倒くさい・・・



智子は夫がリストラになってから、昼は小学校の非常勤講師、夕方はピアノ教室のダブルワークをする事にした。



夫は知人の紹介で、地元の小さいが1代でのし上がった手堅い建設会社の現場監督に職を得て、今度は打って変わって大切にされ、満足に働いている。



食べて行くだけの生活は出来るだろうが、息子達の高校、大学受験も待ち構えている。お金はいくらでも持っていたい。



小学校での仕事は週3日間、2時まで。時給も普通のパートの約2倍から3倍。破格だし、時間的にも理想だった。が、これまたストレスオンパレードだった。



まず、仕事が思ったよりキツイ。体力勝負だ。何もかも一瞬でやらねばならない。そして、子供達の扱いはピアノ教室で慣れてはいたが、今度は全ての科目に目を通さなければならず、いくら小学校とは言え、ある程度の予習も必要だった。



子供達も、可愛いのと当然憎たらしい子がおり、それは仕方ないとして、それより何より、智子達のような副担任的な非常勤講師の運命の境目は、担任の人間性だった。



智子は最初の2年間は親切なベテランの女性教師の元で仕事をする事が出来、何かと気をかけてくれ、可愛がってくれ、やっぱり私は運がいいんだと安心していた。



しかし少し慣れて来ると、途端に若い女性担任につけられ、歳下だし仲良くやれそうだなんて思っていたらとんでもない曲者だった。いや、智子が知らな過ぎたのかも知れない。世間の荒波を....



確かに表面は普通に感じ良かった。しかし通信簿なるものを担任が智子達の評価を付けるのだが、思っていたより辛口だったらしい。



おしゃべりの別な教師から聞こえた話によると、智子はピアノの講師をやってるとかで、自分より年上だと思って態度がデカイ、非常勤の癖に担任に意見を言う、社会的秩序を分かっていない、公私混同のタメ口をきくと、言う事で、だいぶ学年主任に智子の文句を言ってるらしかった。



智子は久しぶりに傷ついた。



智子は友達は沢山いたが、一人っ子だったので、その担任が年はだいぶ下だが、妹のような身内のような気持ちで自分は接していたからだ。いつも立てていたつもりだし、可愛がって来たつもりだし、口幅ったい事を言ったつもりも無かった。



智子は悔しかったが、その話を例の従姉妹に相談してみた。母親に言ってもヒステリーを起こされるだけだ。下手すると、その学校辞めろとか言い出しかねない。



『その先生と智ちゃんの話のやりとり聞いてないからわかんないけど、自分の大学時代の楽しかった想い出なんて話さなかった?じゃなかったらオトコからモテた話とか。実家の親がある程度経済力有るとか?』



全部話した。



でもそれは勿論担任から最初に聞いて来たし、担任も自分と似たような話をしたので嬉しくて話したのだ。



『だって、その若い先生は自分が自慢したくて話してるんでしょ?智ちゃんが学校では自分より立場が下なのに全く同じ話聞かされたらどう思う?


適当に持ち上げて、自分の話はうまくスルー。徹底的に聞き役に回らないとダメよ。』



智子としては、随分聞き役になったつもりだったのだが....



しかし智子は自分が相談した癖に、その大層らしいコメントをして来た従姉妹に再び腹が立ってならなかった。もう相談するもんか!

非常勤講師で苦労し始めた智子。お金を稼ぐのは家でも外でも大変だぁ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ