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6月のピアノ  作者: naomitiara-tica
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ピアノ教室開始!

この物語は創作です。モデルはありません。

智子一家は県庁所在地のある、大きな病院が中心になって街が発展した住宅地区に家を買った。



智子の夫は小心者特有の見栄っ張りで自分の出身地であるド田舎を嫌悪しており、そのショッピングモールに家を買うか?って話に舞い上がった。



智子と夫は一見全くそのように見えないが、妙に他人に対して腐れプライドが高く、そもそもそこが2人の気の合ったところだった。



その大きなショッピングモールに併設した土地を買う時、智子の母親、智子、夫の見栄っ張り3人組は意気投合した。



智子の父親だけが、隣の市の自分達の住む近くに家を建てた方がお互い助かるんじゃないか?との意見は全く無視された。一番のスポンサーでもあったに関わらず....まぁ、そんなものだろう。



子供達が幼稚園に通い始めて、智子は自宅でピアノ教室を始めた。最初に折り込みの広告を入れると、当時、生徒は山の様に連なり入会はお断りするようなぐらい盛況だった。



市の高級住宅地に家を建て、そこで断るほどのピアノの生徒が入ったと言う事で、付き合いの少ない母親はそれでもあちこちに自慢話しを吹聴し、特にいけ好かない姪っ子....智子の従姉妹に会うたびに、智子の自慢をしまくり、チクリチクリと嫌味を言ってのけた。



貧しく育った智子の夫は、自宅にピアノ室....アブライトとグランドピアノに電子オルガン....そんな部屋を自分名義の家に持てるなんて、大昔は自分でも想像もしていなかったろう。嬉しくて嬉しくて、家に来る全ての人にその部屋を披露して見せた。



そんなレベルの自慢をすればする程、自分達は田舎ものなんだ....と、他人から思われてるなんて夢にも思わなかったろう。



ピアノ教室は順調だったが、同時にストレスの宝庫だった。基礎が出来てない、音楽センスの無い子供達に教えるのがこんなにも苦痛とは思わなかった。いつも優しく笑っていなくてはならず、我が子が少しは才能があるのかも知れない?と勘違いしている愚かな親達にも営業スマイルをしていなくてはならない。



残念ながら音楽センスのある子は、最初から知名度の高いピアノ教室に通うのだった。智子だって、小さい時は地元1有名な先生についていたでは無いか‼️



自宅ではあるが、レッスン開始は午後からだったので、智子の子供達も幼稚園から帰ってくる時間だ。仕方なく実家の両親に来てもらい、おやつや、子供達のお稽古の送り迎えや夕飯を頼るようになる。



夜は夜で、世話になった両親を労わねばならず、当然夫も帰って来る。大人しい人とは言え、決して毎回機嫌良い顔をしてるわけでも無い。両親と夫の両方の顔を見ながら、適当に持ち上げながら、智子も父親や夫と一緒に毎度缶ビールを飲んだ。



自宅で仕事するのがこんなにも大変だなんて?



智子は疲れ始めた。


思ったより苦労が多い自宅でのピアノ教室。現実は何やっても大変だよね?

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