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6月のピアノ  作者: naomitiara-tica
14/15

息子達の歩く道

この物語は創作です。モデルはありません。

長男が嫁の実家に住む事になった。



長男が手伝う事になった先輩の会計事務所は、最初から大手の顧客をだいぶ掴んでおり、不景気に関わらず、智子の心配をよそに安定して羽振りが良いようで、長男はあっと言う間に元の会社の給料に追いついてみせた。



しかし、大会社に比べれば、何かと総合すると決して安心してもいられまい。そんな時、その話がニューヨークの嫁から提案があったらしい。



話はこうだ。



嫁の実家は兄姉達全員が転勤族、もしくは跡取りに嫁いでいる。都内の外れに老夫婦2人で暮らして元気な頃は何も問題なかったが、嫁の父親が腰の手術をしてからあまり調子が良くなく、決して活動的では無い母親が、重い買い物など、何かと不自由している。



長男が同じ都内の狭いアパートに1人で暮らしているんだったら、一緒に住んでは貰えまいか?そうすれば両親も自分も安心してられる。長男1人の生活費も入れなくて良いと言っている....



結婚してるのにニューヨークと東京で離れて、長男に何も出来ない嫁と実家の、せめてもの長男への労いであったろう。確かに長男にすれば、多少の気詰まりはあろうが食事、風呂付の光熱費、家賃も無しとなれば悪い条件ではあるまい。



嫁がどうやら実家に小遣いを定期的に送ってくるから、お金は気にしないで欲しいとの事らしい。変な話、嫁としては本能的な長男の浮気への牽制にもなろう。



それを聞いて智子話また複雑だった。実質的な婿さんになるって事だよね??私達だって、地方に2人きりで住んでるのに....,私だって定期的に具合悪くて、しょっちゅう病気してるのに....



そんな智子の不満をよそに、長男はさっさと嫁の実家に新居を構え、通勤に時間かかるのだけが難点なんだなぁ?と、またまた智子達夫婦の存在など頭にも無いようだった。俺、長男なのにゴメンな?の一言も無い。そんな嫁のようにお小遣いだって実家に送ってくる訳でも無い。



そして、しばらくすると、今度は次男が嫁の実家の仕事の跡継ぎをする事になった。



川崎で手堅い経営をしてバブルを乗り切ってきた不動産屋だ。まぁ、貸アパートも賃貸マンションも、相模原に土地も持っているし、そもそも次男夫婦は結婚と同時に、同じ川崎にマンションも買って貰ってる訳だし、生活には困ら無いだろう。



智子は唖然とせざるを得なかった。



これではどちらの息子も婿さんにやったようなものでは無いか?私があんなにダブルワークで仕事して来たのは、2人とも苗字こそ嫁の実家を継いで無いが、実際、優秀な婿さんにさせるために2人を育てたようなもんでは無いか?



その時も次男は、お袋ごめんなぁ。兄貴が婿さんみたいになっちゃったのに。俺まで。でも、俺の場合は嫁の実家は妹が一緒に住むから、俺達のマンションにいつ来て来れてもいいからね!と、言ってくれたのだ。



その話を、知人の葬式で、半年ぶりに会った従姉妹にブツブツ文句を言った。するといつものようにのんびりと、

『いいじゃ無い?何が面白く無いの?2人ともりっぱなご縁で何の心配も無いし、智ちゃんはこっちで自由に遊んでればいいじゃ無いの?』っと。



そう言う問題では無いのだ。っと、智子は内心反発した。私は寂しいのだ。手塩にかけた息子2人を取られてしまったようで。この手に次男の子供達を好きな時に抱けなくて....



こんな気持ちは経験したものしか分かるまい。近くに娘夫婦がいるものには一生分かるまい。



智子はその日ピアノを弾きながら、ひっそりと泣いた。

長男も次男も自分の手を離れて、完全に嫁のペースに。寂しい智子。でも結婚ってなんだかんだそんなもんだよね?

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