異世界転生に目覚めたのは年金生活者(76)になってからでした
縁側で隣の米屋からもらった玄米茶を啜っていたある日、突然自分が異世界転生者であることに気がついた。
これがテンプレ通りなら、前世の知識とか、突然身につけたチートでハーレムとか色々あるんだろうが、なんの能力も目覚めなかったし、運命的な出会いもなく、空から可愛い女の子も降ってこなかった。
さて、どうしたもんだかと考えてはみたが、よくよく考えれば、前世の知識はなかったけど、それなりに計算が得意だったので、学校ではいい成績を収め、チートは身に付かなかったけど、教授のコネを使って反則的な取引から一発当てたし、そのおかげでハーレムはなんとなく出来て、その中でも一等可愛い子を嫁に迎えてプライベートも順風満帆。
大財閥を築き上げ、孫に運営は任せて嫁と二人で悠々自適の老後。
あれ、別に前世の知識とかいらなくね?
でもこの事実を誰かに伝えたい。
「婆さん!実は俺は転生者だったんだ!」
「はいはい、それは昨日も聞きましたよ。
大体、あなたが転生者ってことは私と会ったときに聞きましたよ。また忘れたんですか?
そろそろ寒くなるから家に入りましょうね」
俺は今日も明日も幸せだ。
なぜなら毎日新しい気持ちで転生に目覚めるからな!
よろしければポイント評価、感想をいただけると嬉しいです。