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第3話 パーティータイム

第3話、投稿しました。


書いてるうちに何故か長くなりました。


それじゃどうぞ。



「ほら、着いたよ二人共」


三人は茂みを抜け出し、先程までいた街とは別の小さな街に到着した。


『ほぅ、こんな所にも街があるのか…』


甲冑は興味深そうに街を見渡す中、リシェルは近くのベンチに座る。


「やっと着きましたのね……いい加減、私は歩き疲れましたわ」


『疲れるんなら付いて来なけりゃ良いのに。その場合、あの連中に捕まって、何か色んな事をされる羽目になるだろうけどさ』


「あんな連中に捕まって、その上慰み者にされるなんて冗談じゃありませんわ。そうなるくらいなら死んだ方がマシよ」


『慰み者、ねぇ…』


「…何ですの? その何処か馬鹿にしてるかのような言い方」


『いんや、失敬。あの連中も、お前の事をちゃんと一人の女の子として見てるんだなぁって』


「その空っぽの頭を弾き飛ばしますわよ!?」


『だぁぁぁぁやめろ!! 一度取れるとどんどん転がっていっちゃうんだよ!! 回収するのが面倒になるんだよ!!』


「もういっその事、あなたも一緒に転がり落ちれば良いですわ!!」


『えっ、俺まで落ちんの!?』


「落ちなさい!! 地の果てまで転がって行きなさい!! そのまま地獄まで落ちてしまいなさい!!」


『いやいや!? それは何処までも落ち過ぎだろ!?』


ギャアギャアと甲冑とリシェルの口喧嘩が続く。シオンはその光景を見て苦笑する。


するとそんな三人の下に、一人の女性が現れる。


「いったい何の騒ぎ……シオン!?」


「あ、セリアさん!」


「皆、シオンが帰って来たわ!!」


彼女の声を聞き、大勢の人達が現れてシオンに駆け寄る。


「シオン、お前今まで何処に行ってたんだ!?」


「怪我は!? 怪我はしてないかい!?」


「いや、ちょ、大丈夫。大丈夫だって」


シオンが慌てて返事を返す中、杖をついた一人の老人が彼の前に現れる。


「おぉシオン、今まで何処に行ってたんじゃ? 皆心配しとったんじゃぞ」


「村長さん……大丈夫、俺は何ともないって」


「むぅ……うむ? そちらの方々は?」


村長は甲冑とリシェルの存在に気付く。ちなみに二人はまだ口喧嘩している。


「あぁ、盗賊の連中に追われてたからさ。奴等振り切ってから、こっちまで案内してきたんだ」


「な、何じゃと!? シオン、まさかまたあの街に向かったのか!?」


「あぁそうだ」


「今あの街には行くなと、あれほど言ったはずじゃぞ!?」


「俺はいつかあいつ等を街から追っ払ってやるんだ」


「いかん、それは駄目じゃ!!」


村長はシオンの肩を掴む。


「奴等に歯向かうのは危険過ぎる!! いつか本当に殺されるかもしれんのだぞ!?」


「だけど!! 村長さんも皆も、悔しく思わないのかよ!? あんな奴等に、皆で住んでた街を乗っ取られたままでいるなんて!!」


「悔しい思いをしてるのは皆一緒じゃ!! じゃが挑んではならん!! お前一人の力でどうにかなる連中じゃない!!」


「あいつ等、たくさんの人を殺したんだよ!? 関係の無い人も、無抵抗だった人も!! 親父とお袋だって…」


「シオン…」


村長は言葉に詰まり、何も言えなくなる。


「とにかく、いつか俺はあいつ等を退治してやる……あの街から追い払ってやる!!」


シオンは村長の手を払い、その場を走り去ってしまう。


「こ、こらシオン!! 待つんじゃ!!」


「シオン君、行っちゃ駄目よ!?」


「戻れ、シオンッ!!」


村長や他の皆は止めようとするが、シオンはそのまま街を出て行ってしまった。


『大体お前は……ん?』


「!」


未だに喧嘩が続いていた甲冑とリシェルも、シオンが走り去って行くのに気付く。


「あら、あの子。いったい何処へ…」


『さぁ……あ! まだ状況説明して貰ってねぇ!!』


「説明なら、私がしましょう」


二人の下に、老人が歩み寄る。


「あなたは…?」


「わしは今まで、あの街の村長を務めていました。そう、数日前までは…」








「おい!! そっちはいたか!?」


「駄目だ、こっちにはいねぇ!!」


「もっと探せ!! そう遠くには行ってねぇはずだ!!」


盗賊達のいる街では、甲冑とリシェルの捜索が続いていた。






「まだ見つけられんのか、この能無し共がぁっ!!!」


酒場にて、ドラングは堪忍袋の緒が切れる寸前のようで、近くのテーブルを素手で叩き壊す。


「ひぃぃぃぃ!! す、すいませんドラングさん!!」


「言い訳なんざ言ってくれるなよ!? もう聞きたくもねぇ!! もう良い、俺が許可を出す!! 周りの家を焼き払え!! そうすりゃ例の二人組も、出てこざるを得ないなずだ!!」









盗賊達が必死に探している一方…


『盗賊に支配された街、ねぇ…』


甲冑とリシェルは、村長から街の事情を聞いているところだった。


「数ヶ月の事ですじゃ。何の事件も無い平和だったあの街は、ある日突然、盗賊達による襲撃を受けましてな…。奴等は金目になる物、食料、衣服と、我々から大切な物を次々と奪い、街その物を乗っ取ってしまったのじゃ…」


『なるほどねぇ…』


「……」


リシェルの表情が険しくなり、傘を持つ手がかすかに震える。甲冑はそれを見て疑問を抱く。


「当然、中には立ち向かう者もおりましたわい。しかし奴等は人数が多く、多勢に無勢じゃった。結局、多くの住民の命が失われてしまったのじゃ。彼、シオンの両親も…」


「…何という連中ですの」


それを聞いたリシェルは表情が険しくなる。


「我々は何とか、この隣街まで逃げ延びる事が出来ました」


『道理で、あの街は盗賊共でいっぱいなわけだよ…』


「……」


甲冑がため息をつくが、リシェルは傘を持つ手が僅かに震えている。


「奴等は、目障りと判断した者に対しては容赦をしません。シオンまで、あんな連中に殺されるわけにはいかん。絶対に、彼を失ってはいかんのじゃ…」


村長の目から一筋の涙が流れる。


「……」


リシェルはベンチから立ち上がり、畳んでいた傘を差す。


『ん、何処に行く気だ?』


「…彼に」


『あ?』


「…シオンに、少し用がありますの」


それだけ言って、リシェルはその場を立ち去って行く。


『…やれやれ』


甲冑も同じく立ち上がり、彼女の跡をついて行った。








一方、シオンは盗賊達に見つからないよう、自分が働いていた武器屋へと向かっていた。


「村長さんも皆も、何で誰も立ち向かおうとしないんだ……こうなったら、何としてでも俺の手であいつ等を…!!」


シオンは一度その場で立ち止まり、懐から一枚の写真を取り出す。


写真には幼い頃のシオンと、彼の両親と思われる見た目の若い男女が写っていた。


「親父……お袋……俺が絶対、仇を取るから…」


シオンは写真を懐にしまい、武器屋へ向かおうとするが…


「? 何だ、煙が……ッ!!?」









「ギャハハハハハッ!! 燃やせ燃やせええええええっ!!」


街の至るところで、盗賊達は街中の建物に火をつけ始めていた。


「どんどん燃やせ!! 奴等が出てきたところを仕留めろ!!」


「「「へいっ!!!」」」


ドラングの命令で、手下達は手に持った松明でまた一軒の建物を焼き払おうとする。


「よし、火をつけろ!!」


盗賊達が松明で火をつけようとしたその時…


「やめろっ!!!」


-ガァンッ-


「あだぁっ!?」


一人の盗賊を、駆けつけたシオンが金槌で殴り倒す。


「な、何だこのガキ!?」


「取り押さえろ!!」


盗賊達はシオンを捕まえようとするが、シオンは素早く動き回って盗賊達を錯乱する。


「お前達なんかに……この街を好きにはさせない!!」


「こ、このガキャアアアアアッ!!」


盗賊が斧を振り下ろすが…


「でりゃあっ!!」


「な…はべぇっ!?」


攻撃をかわしたシオンによって、顔面を金槌で殴られる。


「チッ、どいつもこいつも使えねぇなぁ…!!」


ドラングは首をゴキゴキ鳴らし、シオンに素早く接近する。


「え…うわぁっ!?」


「大人しくするんだな、ガキが」


ドラングによって、とうとうシオンは取り押さえられてしまう。


「放せ、放せぇっ!!」


「そう言われて放す馬鹿がいるか。おいお前等ぁっ!! さっさと焼き払え!!」


「は、はい!!」


手下の盗賊達は松明で建物に火をつけようとする。


「!! お、おい、やめろ!!」


盗賊達が火をつけようとしている建物を見た途端、シオンは焦り出す。


その建物は、シオンとその両親が経営していた武器屋だった。


「やめろ!! 火なんかつけたら許さねぇぞ!!」


「どう許さないってんだ? おい、早くやれ」


「へい!!」


盗賊達は武器屋に近づく。


「やめろ、お願いだから!!」


どれだけ叫んでも、盗賊達は聞く耳を持たない。


「やめろ…」


盗賊達が松明を武器屋に近づける。


「…やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」








『は~い、そこまでだ』


-シュパパパパァンッ!!-


「「「!?」」」


火をつけようとしていた盗賊達が、突然血飛沫を上げて倒れ伏した。


「な、何だぁ!?」


「いきなり斬られ…ぐぇぇっ!?」


他の盗賊達も次々と斬られていく。


「お、おい、お前等!!」


突然の事態に、流石のドラングも慌て出す。


「そこのあなた」


「あ!?」


後ろからの声に、ドラングが振り返った瞬間…


「―――邪魔ですわ!!!」


-バキィッ!!-


「ほぐぁっ!?」


首元にリシェルの回し蹴りが炸裂し、ドラングは大きく転倒する。


「…え、え?」


何が起こったかまだ理解し切れてないシオンの下にリシェルが近付き、彼の前でしゃがみ込む。


「何でもかんでも、一人で解決出来ると思ったら大間違いですわ。もし死んでしまったら、そこで全部終わってしまうのですから」


「ッ……だけど!!」


「でも」


リシェルはシオンの頭に手を置く。


「え…?」


「大切な物を必死で守ろうとするその覚悟、とても立派でしたわ」


「あ…」


シオンの頭を、リシェルの手が優しく撫でる。シオンはこの時、自分の中で安心感という物が出来ていた。


「くそぉ……てめぇかぁっ!! 例の生意気な小娘は!!」


ドラングが起き上がり、リシェルを睨み付ける。


「あら、私だけじゃありませんわよ?」


「何だと―――」


『そういう事だ』


ドラングの真後ろから、甲冑が姿を現す。


「な……ごほぁっ!!?」


今度は甲冑の蹴りが腹に炸裂し、ドラングは大きく吹き飛ばされる。


『全く、俺達が首を突っ込む義理も無いでしょうに』


「元々、私達を捕まえようとしてこうなったんですもの。私達にも責任がありますわ。それに…」


リシェルは再びシオンの方を向く。


「…このまま街を離れても、後味が悪いですもの」


『…あ、そう』


甲冑は盗賊達の方に振り返る。


「くそ、あいつ等!! 二度もドラングさんを蹴りやがって!!」


「なめやがって、ぶっ殺してやる!!」


残っていたメンバーも集まり、盗賊達はかなりの人数になる。


『お~お~、また凄い人数になってきた』


ヒーフーミーと、甲冑は盗賊の人数を数え始める。


「そういえばあなた」


『ん?』


「あなたは何故ここに?」


『……』


甲冑はほんの少し沈黙する。


『…そうだな。まぁ、ただの暇潰しって事で』


「…そう」


リシェルはクスリと笑う。


『…何がおかしい』


「あら失礼。文字通り、あなたは頭が空っぽだなと思っただけですわ」


『本当に失礼だな。傷つくぞ、そういうの』


「どうかしら」


『お前…いや、もう良い』


甲冑は途中で会話を切る。





「全員かかれぇぇぇっ!!!」


「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」


再び復活したドラングの命令で、盗賊達は一斉に襲い掛かる。


『さて、目的は違えど…』


甲冑は剣を抜く。


「やりたい事はどちらも同じ」


リシェルも傘を構える。






『始めるぞ。パーティータイムだ』


「華麗に美しく、踊りましょう」


そして二人は、ほぼ同時に駆け出した。



次回くらいで盗賊退治は簡単に片付くと思います。


それじゃ感想、お待ちしてます。



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