表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全知全能のドジっ子女神、天界会議でパチンコを打つ 〜効率厨のエリート神々に不合理の美学を教えてやる〜  作者: はくもじゃ
現世降臨編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/18

第12話:最高神ゼウスと、歪みの魔鏡(プリクラ) 〜警察署への花道(ランウェイ)〜

渋谷、某ゲームセンターの地下階。

時刻は、マルスがパチンコ台を破壊し、パトカーで連行された直後。


「……ここが、人間界の『変身の儀』を行う神殿か」


ゼウスは、重厚なバリトンボイスで呟いた。

隣には、先ほどハチ公前で彼をナンパしたギャル・リナがいる。


「そーそー! ここ最新機種あるから、マジ盛れるよ! おじさん、顔イイから絶対ヤバいことになるって!」


リナが指差したのは、『キラメキ★革命』と書かれた巨大な箱(プリクラ機)。

ゼウスは、その箱から漏れ出る強烈な光量に目を細めた。


「……光の量が、通常の物理法則を超えている。魂を抽出し、再構築する装置か。……ふむ、興味深い」


(うっひょおおお! プリクラきたこれ! 早く! 早くその狭い箱で、俺の神性を加工して!)


「じゃあ入ろっか! 400円ね!」


カーテンをくぐり、狭い撮影ブースへ。

ゼウスには狭すぎるその空間は、彼にとって「告解室」のような密室感を漂わせていた。


「……近いな。人間よ、余のパーソナルスペースは銀河一個分なのだが」


「えー、ウケるw じゃあ『ぎゅっ』てしよ! ピースしてピース!」


機械の音声が響く。


『3、2、1、カシャッ!』


ゼウスは、リナの指示に従い、しかし神としての威厳を保つために、指先からわずかにプラズマを放ちながら「裏ピース」を決めた。


(やべ、今のポーズ、絶対盛れた! 角度45度、顎引いて上目遣い! これ、全知全能の計算済みだから! リナちゃんより小顔効果狙っちゃってるから!)


撮影が進むにつれ、ゼウスのテンション(内面)は最高潮に達する。


『次は、変顔してみてね!』


「……変顔だと? 余の顔は常に完璧な黄金比だ。崩すことなど不可能」


と言いつつ、ゼウスは白目を剥き、舌を出す「アヘ顔ダブルピース」を、神速の早業で披露した。

シャッターが切られた瞬間、彼は瞬時に真顔に戻る。


(あー! やっちゃった! ついに禁断の扉開けちゃった! 神のアヘ顔とか、これ流出したら天界崩壊するレベル! でも、この背徳感が……たまらん! 映え散らかしてる!)


撮影が終わり、次は「落書きコーナー」へ。

画面に映し出された自分たちの顔を見て、ゼウスは絶句した。


「……な、なんだこれは」


そこには、目が顔の半分を占め、肌が陶器のように白く発光し、顎が鋭利な刃物のように尖った……『異形の美少年ゼウス』が映っていた。


「やっば! おじさん、加工かかりすぎて宇宙人みたいになってるじゃん! ウケるwww」


リナが爆笑しながら、タッチペンでゼウスの頬に「すきぴ♡」と書き込む。

ゼウスは、震える手でタッチペンを握った。


「……これが、余の真の姿……? いや、これは『可愛さ』という概念が暴走し、神性をも飲み込んだ結果か……」


(え、待って。これ……アリじゃね? むしろ、今の俺より進化してね? 目デカい=正義っしょ? この透明感、まじクリスタル・クリア。やばい、自分の顔に恋しそう。推せる。俺、推せる!)


「……認めよう。この『盛る』という行為。それは、現実リアルという不完全な素材を、理想イデアへと昇華させる錬金術だ」


ゼウスは、覚醒した。

彼は全知全能の指さばきで、タッチペンを高速操作し始めた。

スタンプ、手書き文字、美肌補正。

画面の中のゼウスの周りに、星、ハート、そして「我、降臨」「マジ卍」「尊み秀吉」といったギャル語が、神聖なルーン文字のように刻まれていく。


『プリントしています……』


機械が唸りを上げる。

しかし、神の「盛りすぎたデータ量」と、ゼウスから漏れ出る「自己愛エネルギー」に、プリクラ機のCPUが耐えきれなかった。

バチバチバチッ!


「えっ、なんか焦げ臭くない?」


『エラー! エラー! カワイイ容量が限界突破しました!』


ドォォォォォン!!

プリクラ機が、ピンク色の煙を吐いて爆発した。

騒然とするゲームセンター。

煙の中から、一枚のシールシートを持って、ゼウスが悠然と現れた。

そこには、機械の爆発熱で奇跡的に焼き付けられた、『目がギョロギョロで、背景が後光で白飛びし、スタンプが呪いのように張り付いたゼウス』の姿があった。

その時、ゼウスのスマホが震えた。

アストラからの通知だ。


【緊急:マルス様、パチンコ台破壊で渋谷署に連行されました。至急、身元引受人として来てください】


ゼウスは、そのメッセージを見て、ニヤリと笑った(内面で)。


(は? マジ? マルス逮捕とか、ネタすぎるでしょ! これは迎えに行って、鉄格子越しのあいつを動画に収めるしかない! 絶対バズる! 『獄中の軍神』ってタイトルで決まりっしょ!)


ゼウスは、そのシールをリナに手渡した。


「……持っておけ。これは、余とお前の『契約のプリ』だ。……余は行かねばならん。友が、鉄の檻の中で待っているゆえ」


リナは、爆発でアフロヘアーになりながら、シールを受け取って呟いた。


「……おじさん、マジ何者? てか、これ魔除け?」


ゼウスはスーツの襟を正し、威厳たっぷりに、しかし足取りは軽く、出口へと向かった。


(さあ待ってろよマルス! 今、お前の叔父貴が、最高に映えるアングルで迎えに行ってやるからな! アストラ、カメラ回す準備しとけよ!)


こうして最高神は、意気揚々と渋谷警察署へ向かい、第10話のラストシーン――「よう、マルス! 檻のプリズン映えしてるー?」へと繋がるのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ