パーリーピーポーに転生したたい焼きくん
「へいへいへーい!!今日もぉ!!もーりあがっていこうぜぇいっ!!!」
♪〜*・゜゜・*:.。..。.:*♪〜'・*:.。. .。.:*・゜゜♪・*〜
俺はたい焼き。
ノリノリの音楽に合わせて、ベレー帽をかぶったイケメンのバイト君に焼かれる俺。
バイト君の目の前には1度で5匹焼ける金型が3つ並んでいる。同時に15匹のたい焼きが焼けるのさ。
ずらりと並んだ金型に、バイト君がリズムに乗ってツイーーーッとタネを流し込む。
世間では俺たちのことを「養殖」と言うそうだ。
つまり俺にはたくさんの兄妹がいる。そうさ俺は1人じゃない。
俺たちはただのたい焼きではない。
「たい焼きパフェ」と言って普通の金型とは違う、専用の金型で焼かれるんだ。
普通と異なるたいの形。
大きく開けた口はカップのようになって、そこにクリームやアイスクリーム、フルーツなどをトッピングする。いわゆる「映え」に特化したたい焼きなんだ。
もちろん味だって最高にうまい!
俺は兄妹に向かって叫ぶ!
「従来の○んこだか○んこだかわからないものが入った、クソみたいなたい焼きとは同じにしないで欲しいぜ!な?兄妹たち!」
「「「イェーーーー!!!」」」
いつだって仲間に囲まれている。
その仲間たちと今日も楽しくパーリーするぜ!
バイトのにいちゃんも毎日ノリノリだ。
「っしゃぃっせぇーーー」
(訳)いらっしゃいませ。
「ぇいっ!だぃ なごんっあんこトッピング!ぉーダーー!ぃり、したー!!」
(訳)はい。大納言あんこトッピングオーダーはいりました。
それに合わせ俺らもパーリー気分だ。
♪「エブリデーエブリデー!俺らはてっぺんの上でヤーっ!!彼ってyayになっちゃうぜぇイっっ!!」
俺たちは物珍しさから、若者のSNSで瞬く間に広まった。
特に女子高生に大人気だった。
客の半分は女子高生だろう。
「きゃー♡バイト君やばい♡」「めっちゃ好みなんだけど♡」「うける」
インスタやエックスに次々と投稿される俺ファミリー。
イケメンのバイト君にはモザイクがかけられているのに、俺たちは無修正。
扱いに差があるのはプライバシーポリシーだ。
たぶん。
忙しそうに動くバイト君。
だが、別にそう忙しいわけでもない。バイト君の動きが全体的に雑なせいで、忙しそうに見えるだけ。金型に生地を落とし込む時も体を左右に揺らしているし、焼いてるあいだは使っていない金型を無駄にパカパカしている。
その無駄な動きのせいで繁盛してるように見えるだけ。
「っしゃぃっせぇーーー!!」
今日一番目のお客は、母親とやんちゃそうな男の子だ。
男の子は母親に引きずられるのが楽しくて、わざと歩くのをやめていた。
「もうっ!ちゃんと歩きなさい!」なんて怒られながらもゲラゲラと笑っている。
半分くらいガチで般若の顔をした母親がバイト君にたい焼きを注文する。
「っしゃぃっせぇーーー!!ぇいっ!だっぶるチョコえぃとぅ〜バナァナ白玉トッピング ぉーダーー!ぃり、したー!!」
慣れた手つきでトッピングしていくバイト君。
「ぁいっ!あーとしたぁああっー!!」
バイト君が、出来立てほやほやの俺を母親に手渡そうとしたその時
「ゴおウフッッ!!!!」
俺は腹に強烈なボディーアタックを食らった。
やんちゃな男の子がジャンプして母親から俺を奪おうとして失敗。
俺はバイト君の手から離れ、母親の手に渡る事もなく地面に落下した。
びったーーーんっ!!!
ガタガタと震える手足。
なんとか立ちあがろうと手足を着いて四つ這いになる。
「だ…ダメだ。この角度はマズイ…口から中身が落ちちまう…」
口からトッピングが零れ落ちてはビジュアルが…
「なんとか…」
なんとか体勢を整えなければという思いとは裏腹に…俺は意識を手放した…
バタリ。
次に気づいた時、俺はふわふわした雲のように空に浮かんでいた。
ぼんやりする頭…俺はどうして…(※お察しください)
そうだ、子どもにボディーアタックされて…
「はっ!?トッピングは!?」
思わず口に手を当てトッピングを確認した。
てんこ盛りされたトッピングは無事らしい。
「良かった…」
ふと地上を見下ろすと、草原を嬉しそうに走り回るたい焼きが一匹。
「あはは!女っ子高生!女っ子高生!俺は女子高生に食べられたい焼き!あはは!!」
謎の叫び声をあげながら走り回るたい焼きがいた。
「なんだありゃ…」
あれは…
噂に聞く天然…○んこだか○んこだかわからないものが入った、クソみたいなたい焼き…
「あれが天然パワー…」
たい焼きが進むその先に、一人のお爺さんがしゃがみ込んでいた。
お爺さんに気づいた天然たい焼きが、お爺さんに近づき何やら悩んだ挙げ句、何とケツ方向からあんこを絞り出した。
お爺さんがドン引きしているのがわからないのか、ケツ方向から出たあんこをお爺さんに見せつける天然たい焼き。
「食べて欲しい気持ちはわかるがありゃダメだ。ケツ方向から出たあんこはある意味○んこだ」天然にも程がある。
俺はケツ方向に色々詰まっていなくて良かったとほっとする。
俺のビジュアルは守られている。
しかし天然たい焼きは挫けない。
次に出会った幼い女の子にもあんこを食べさせていた。
だが…
だれも奴に感謝する人はいなかった。
1週間後、腹のあんこはなくなり、皮はカビだらけになった天然のことを俺は笑う事が出来なかった。
「明日は我が身…」
バイトのにいちゃんのところに戻ったら。今までのパーリーピーポーのたい焼きは卒業しよう。
もっと本気でパーリーピーポーやればいつか報われるはずだ。
俺は俺のやり方でみんなを笑顔にしようと思った。
今日もバイトのにいちゃんはノリノリで、映えに特化したたい焼きを焼いている。
翌日。
オーナーから閉店を告げられ驚くバイト君でした。




