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実は、貧乏人じゃありません。  作者: winten
第1章「出逢い」
14/50

第14話「計画」

 真一は、とうとう自分の正体を告白するタイミングを決めた。それは、梨奈との結婚式の場だと心に決めたのだ。


 これまでの真一のプライベートは、充実していた。特に梨奈との関係が非常に良好で、二人の絆は日に日に強まっていた。自分が実は億万長者であるという秘密を抱えながらも、梨奈はそれを知らずに真一を心から愛してくれている。その愛に応えたいという思いが、彼の中でますます強くなっていった。


 梨奈の誕生日が近づくにつれ、真一は彼女へのサプライズを計画し始めた。それは単なる誕生日のお祝いではなく、もっと特別なもの――結婚のプロポーズだった。梨奈を心から愛し、彼女との未来を本当に描けるようになった今、この瞬間が彼にとって重要なステップだと感じていた。




 真一は高級レストランを予約した。そこは梨奈のお気に入りの一つで、ロマンチックな雰囲気が漂う場所だった。真一は、スタッフにも協力を依頼し、プロポーズのサプライズを完璧に演出する計画を立てた。ディナーが終わった頃、デザートのタイミングで、特別に準備した花束と共にプロポーズをする――それが彼の思い描くシナリオだった。


「真一さん、今日は本当に素敵な夜ですね」


 梨奈は、レストランの優雅な雰囲気にうっとりしながら、微笑んでいた。真一はその笑顔を見て、胸が高鳴るのを感じた。この瞬間、彼女との未来を確信し、覚悟を決めた。


 そして、デザートが運ばれてくるタイミングで、スタッフが合図を送り、花束とともに真一の前に出てきた。梨奈が驚いて目を見開いたその瞬間、真一は席を立ち、彼女の前で跪いた。


「梨奈、君は僕にとって特別な存在だ。ずっと一緒にいたいと思ってる。僕と結婚してくれないか?」


 梨奈は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに嬉し涙を浮かべて、ゆっくりと頷いた。


「はい、真一さん……喜んで!」


 彼女の言葉を聞いた瞬間、真一は心からの安堵と幸福を感じた。自分のプロポーズが成功したことに加え、梨奈が本当に自分を選んでくれたという事実が彼を満たしていた。




 その後、真一は結婚式の計画に取りかかった。だが、彼が考えているのは普通の結婚式ではなかった。彼は、自分の持っている資産を使い、梨奈にとって夢のような結婚式をプレゼントするつもりだった。豪華な会場、華やかな装飾、一流のシェフによる料理、世界的に有名なバンドによる生演奏――全てを最高級に仕立て上げた式を計画していた。


「梨奈には、本当に特別な一日を過ごしてもらいたいんだ……」


 そう真一は心に決めていた。梨奈にはまだ自分の財産のことは告白していないが、この結婚式で全てを明かすつもりだ。そして、その時こそ、彼女に真実を伝える最良のタイミングだと確信していた。


「結婚式の日に、僕の正体を知ったら梨奈はどう思うだろう……」


 真一はそのことを何度も考えた。梨奈がこれまでの自分を信じて愛してくれていたからこそ、全てを打ち明ける瞬間が恐怖でもあり、同時に解放される瞬間でもあった。今までの嘘をすべて清算し、二人の間に隠し事が一切ない関係を築きたい。それこそが、真一が本当に望んでいることだった。




 式場選びも、一流のプランナーと共に進めた。選んだ会場は豪華な歴史的建造物で、ヨーロッパ風の庭園に囲まれた場所だ。梨奈が以前、「こんなところで結婚式を挙げられたら素敵だな」と口にしたことを覚えていた真一は、すぐにその場所を予約した。


「これで梨奈を驚かせることができる……」


 彼は密かに満足感を抱きつつも、同時に心の中で緊張感が高まっていった。結婚式の日、真一はすべてを告白する。梨奈がどんな反応をするか――それが彼にとって最大の不安でもあり、同時に希望でもあった。




 結婚式の準備は進むにつれ、真一は次第に自信を深めていった。梨奈のために最高の結婚式を提供することで、自分の本当の姿を受け入れてもらえると信じていた。


 彼女はきっと驚くだろう。しかし、その驚きの先にあるのは、真一が想像してきた通りの幸せな未来であるはずだった。


「もうすぐだ……もうすぐ全てが明らかになる」


 真一はそう心の中でつぶやきながら、結婚式に向けた最終的な準備に集中した。彼にとって、この結婚式は人生最大のサプライズであり、同時に梨奈との新しい人生をスタートさせるための重要なステップだった。

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