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放課後の図書室

放課後の図書室。

図書室を利用する生徒はほとんど居なくて、いるのは利用者の2~3人と図書委員の三嶋と空音だけである。

図書委員の2人はカウンターで隣合って座り、本の整理や本の貸出の手続きなどをしてるが基本的には暇だ。

この時、三嶋はこう思った。

(めちゃくちゃ気まずい......)

普段から自分と話す時だけ表情が険しくなる空音と2人きりに近い状況で、三嶋が窮屈さを感じるのは必至だった。

「ねぇ」

「ひゃ?!」

「......なに?」

突然声をかけられて声が裏返ってしまった。

「ごめん、なんでもない。どうかした?」

「これお願い」

空音はそう短く言って、何冊かの本を差し出した。

恐らく、棚に戻して欲しいということらしい。

「分かった」

「......ありがと」

空音は少し俯いてボソッと呟いたのを聞くと、三嶋は本を持って、本棚へ返却へ向かった。

(うぅ......今のもきっと感じ悪かったよね?なんでこんなキツイ言い方しか出来ないのかな)

カウンターで1人になった瞬間、空音は頭の中で1人反省会を始めた。

自分でも素っ気なく接するのが良くないとは思っているが、なかなか直すことが出来ないでいる。

一人反省会も自分なりに解決策を見つけられないかの試行錯誤によるものだ。

(でも、三嶋くんのひゃっ?!て声可愛かったな)

「お疲れ〜空音。何にやにやしてるのぉ?」

三嶋の事を考えていると、図書室にからかうような表情を浮かべた石川がいた。

「べ、別ににやにやなんてしてないよ?」

「そう〜?それならいいけど」

「それよりどうしたの?図書室にくるのめずらしいよね」

「いや、空音が委員会終わるまで図書室で待ってようかなぁって。」

石川は健気な言葉を口にしたが、その表情はにんまりと笑っていた。

「三嶋と2人きりなんて面白そうだし」

「絶対それが本音だよね」

空音は少しだけ恥ずかしそうに俯いた。

「あれ、石川さん。どうしたの?」

本の返却を終えた三嶋がカウンターへ戻ってきた。

「いや、空音の仕事が終わるのを図書室で待ってようかな〜って。迷惑だった?」

「全然、人も少ないから大丈夫だよ」

(むしろ、笹川さんと2人きりだと間が持てないから助かります......)

三嶋は人知れず安堵しながら、カウンターの席に座った。

「いやぁ、図書室に入ると空音がニヤニヤしててさぁ、なにか楽しいことでもあったのかなぁ?」

「ちょっ!?あきちゃん?!」

空音は顔を赤く染めながら抗議の視線を送るが、それをみた石川はイタズラそうにニンマリとした表情を浮かべる。

「笹川さん、何かいい事でもあったの?」

「別に」

「ご、ごめん」

三嶋は空音が眉間にシワを寄せてるのを見て、思わず謝ってしまった。

「あきちゃん、ちょっと来て」

「え?ちょっ空音?待って〜」

空音は石川の腕をつかんで図書室の外へ出ていってしまった。

図書室の扉をバタンと閉めると、空音はその場でしゃがみこんだ。

「ううぅぅぅ......どうしよう......」

「えっと......ごめん」

「ごめんじゃないよ!三嶋くんの前であんなこと言わなくてもいいじゃん〜......」

空音は泣き言を次々と口にした。

「すっごく恥ずかしかったんだよ?しかも突然三嶋くんに話しかけられたから焦っちゃって眉間にシワも寄っちゃったし。もうどうしよう〜......」

「空音、よく聞いて。」

石川は真剣な表情で空音を見据えた。

「な、なに?」

空音は急な石川の態度の変わりように驚いて、泣き言を止めた。

「空音はね、怒っている顔も可愛いよ」

「へ?」

石川は真剣な表情を一瞬で戯けた表情に変えた。

「あ......」

「あ?」

「あきちゃんの、ばかぁぁぁ!!」


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