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眼球の上の村

作者: ふわふわり 内臓物
掲載日:2022/03/05

薬…


薬を、飲んだ。

暗い部屋の、ベッドの上で瞼を閉じる。


そこに浮かんできたのは、1つの村だった。

村といっても、半壊したレンガ積みの納屋とその破片、牛なんかに食わせる乾いた牧草が散らばっているくらいで。

ただ寂れた道と言っても良い所だった。


ぼくはその村を見、目を瞑りながら、ベッドにあるぬいぐるみを抱き寄せた。ふわふわだ。


「十条」

「十条、十条」

アイロンか何かに頭を乗っ取られたご夫婦が騒いでいる。

上を見ると、いちめんの星空があったのだ。

ミルキー・ウェイも薄っすらと見える好環境。しかし、この村は完全に廃れている。


「ねえっ、あっちの街は栄えてるそうよ」

長くて細い髪の、金髪の女の子だった。赤いチェックの服がなんとも田舎らしい。

ぼくも、隣町にいるやつらが気に食わない。そんな気がする。

「それ、投げちゃいなよ」

レンガの塊で、はじっこ に泥と、そこから芽吹いた命ーー雑草ーーがくっついていた。

「いいわね。オラッ」

女の子がオレンジ色のレンガを投げると、それは高度10000ft付近まで上昇し、その後滑空、隣の街に直撃した。命中の問題はなかった。

いまごろ、ぼくの気に入らない人は爆散しているだろう。ざまあみろと思い、もうそんなものに使うリソースは勿体ない ので、早急に、ぼくは記憶を消した。


そして目を開けると、あの美しい星空も、湿った冷たい空気もすべて消え、おふとんという装置に集約される。私はこれから夢を見て、苦しむ。それを抑えるのがお布団というシステムなのだ。


まどろみの中で、なにかを破壊した。なにかを殺した。

でも最後は、そのまどろみごと、一瞬で霧散する。


儚い村の住民になるには、どうすればいい。

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