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妄想短編集

異空間人の非日常と現代人の日常

作者: トロピカルサンド







暖房が消えた

寒い部屋の中で

うごめく一つの影


そのうごめく影

布団の中で

「あたたかい・・・っ!

 やっぱり君が僕を救ってくれるんだ・・・っ!

 もう僕は一生君を離さない・・・っ!」


と 気持ちの悪い敵役のような言葉を

吐き続けるマシーンとなっているのが

俺こと 龍崎りゅうざき はじめ だ



そんな部屋の中に突然


「うわっ!」


という いと儚げで いとうつくしい 

声というわけではなく

俺みたいな男の声が響いた





「は?なんだ?

 お前?」


白黒の服を着ている男

その後ろには

不自然に空間に開いた穴のようなもの


そして その顔は自分の顔にそっくりだった


「なんだ?ここは?

 ここが異世界かぁ?

 汚いところだなぁ?」


なんだこいつ?

俺の部屋を汚いだと?

悪かったな!?


「ってか お前誰だよ!」


「へ? あぁ

 って お前俺の顔にそっくりだな!

 まぁ 汚いけど!」


「あ? 貴様も同じ顔だろうが!?

 あと 名前はなんだよ!?

 あと お前どっから出てきたんだよ!」


「一気に質問すんな!?」


「逆ギレ!?ひどくね?」


「ウルセェ・・・・

 まぁ 俺の名前は一般人型知的生命体

 識別番号 J-115892856だな!

 よろしく!


 あと 俺もどこから出てきたのかはわからん!

 なんか 偉いさんは異空間?に繋がるらしい装置に

 入ったらなんかなった

 今頃 偉いさんは喜んでるだろな」


「は?意味わかんね

 なんでお前そんな実験に付き合ってんの?」


「そりゃ お前

 反抗的意思を持ったからだろ」


「おま そりゃって意味ワカンねぇな

 てか お前 なんで反抗的意思?なんて持ってんだよ」


「働きたくないからだろ?」


「何その 当然だろみたいな態度!?」


「お前も働いてないだろ?

 てか お前そんなんで大丈夫なの?」


「いや・・・それは・・・

 俺も気になるが・・・」


はぁ・・・・

異空間でも俺は俺なのか・・・


「なんだ?お前

 本当に働いてなかったのか!」


そうやって 快活に笑う


「なんで お前そんな感じなんだ?」


「そんな感じってなんだよ」


「いや その・・・

 陽キャっぽいっていうか・・・」


「お前もそうなんじゃないの?」


そう言われて俺は思い出す

小学校時代の俺を

あの頃は今思い出すと

すごく恥ずかしい


なぜ あんなに周囲を信じていたのか

なぜ 俺はあんなに必死だったのか


「・・・・そんなことない」


だから 俺はそう答える


「そうか」


あいつはそれだけ言って黙った


あいつの言った言葉によって思い出される

様々なこと


教室で聞いたあの言葉

引きこもった日のあの声

一年経って諦めた声


そんな感じで思い出していると

体が拒否反応を示し 眠りに誘ってくる

そんな まどろみに身をまかせる


引きこもりになって

いいことは少ない

一日に一回は 昔のことを思いだしてしまう


だが 時間が自由だということはいいことだと思う

やりたいことをすればいいのだ


外に出ないという範囲でだが

















体を起こす


夢か・・・なんか

妙に「おっ」リアルだったな「起きたか」


ん? ん?

夢・・・じゃない?



「起きたな?急に寝たからびっくりしたぞ!

 怠惰だなぁ〜?」


「何を言ってるんだ

 時間を自由に使ってるだけだぞ」


とりあえず返事をしておく


「まぁ いいや

 なんか 面白いことない?」


「・・・・俺にそれ聞くか?」


「だってお前ぐらいとしか会えないじゃん」


「いや お前俺みたいな顔してんだから

 ・・・いや お前なにその手があったかみたいな

 顔してんだ! ドッペルゲンガー状態は嫌だぞ!」


「なに言ってるんだ

 ソンナコトシナイヨ

 てか ドッペルゲンガー状態ってなんだよ」


「いや なんかまぁ

 こんな状態のやつで

 だんだん そいつの居場所を奪っていくっていう

 曲があんだよ・・・」


「そうか」


「興味なさそうだな」


「だって 曲だろ?

 あんなの別に聞きたくねぇよ」


「お前がなに想像してんのか

 知らんが そんなに悪い曲じゃないと思うんだが・・・


 まぁ いいや

 じゃあ まぁ 麻雀でもしてみるか?

 俺も最近ハマってんだ」


「おぉ!そりゃあいい!

 実に反社会的だ!!」


「おい ばかやめろ!

 そんなこと言うな!

 お前の世界じゃどうかしらんが

 こっちの世界じゃ

 健康麻雀っていうのがあるくらいだぞ?」


「お おう

 そうか

 で?どこでやるんだ?

 あと 仲間を呼ばなきゃな!」


「いや 大丈夫

 インターネットだから

 まず 俺が外に出るわけないし

 友達なんていない方がいい」


「そうか

 じゃあ 早くやろうぜ!」


「じゃあ これ

 見といて」


「いや 大体は知ってる

 囚人仲間に知ってるやつがいたからな

 ルールだけは知ってる


 十三不塔とか大車輪とかいっぱい役知ってるぞ」


「・・・・ローカル役だぞ」


「・・・大丈夫だ!」

















「なぁ お前配牌よくね?

 なんで?」


「いや 知らん」


「そのうち 天和とか地和とか出んじゃない?」


「いや 知らん」


「ちょ お前なんでリャンメンじゃなくカンチャン選ぶの?」


「いや 知らん」


「・・・・・・バーーカ」


「いや 知らん」




「おい」


「すまん」


「笑うな」


「イーーーーヒッヒッヒッヒーーーー」


「なんだそれ

 てか お前カンチャン埋まってんじゃん・・・

 なんで?1順先でも見えてんの?」


「次 四の萬子くるから

 そしたら 三巡後にリーチして

 一発自摸できるから

 見といて」


「は?」










「なんで?」


「いや 知らん」


「・・・・・大会出るか」


「いいのか?」


だってなぁ?

こんなのほぼ負けなしだぞ・・・


「外でたい

 外出て雀荘行きてぇ」


「いい・・・・いや だめだ」


俺は外に出たくない・・・

絶対にダメだ



「俺だけでいいから

 金稼いでくるで?」


「まぁ お前だけなら・・・・」


「よし じゃあ 行ってくるわ

 お前は寝といていいで

 こんな時間やし」


「本当だな 寝とくわ

 いってら」



なんか忘れてるような?・・・・


まぁ いいか

引きこもりのいいところは時間が自由に使えるところだからな














「イヒ」


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