第92話『責任負います』
前話、ミカウお兄さんがバグって訳分からない事を発していました。すみません、本人に代わって謝ります。前話後書きにはリンネ=コウキョウについて書いてありますのでよろしければご覧下さい!
前回のあらすじ
ニフラムさんの召喚獣クロノスがヨシュアの時を戻してしまい過去ヨシュアが戻ってしまいました。お願い、ユリウスさんの思惑通りに答えないで…!
…
「それは…」
「それは?」
頼むヨシュア!肯定しないで!
祈りながら彼を見るとユリウスさんから目を逸らし
「どうでもよくね。だって俺は人の恐れの声や苦しみの悲鳴を聞ければいいもん。悲鳴なら誰のでもいいし。」
そう言って再びユリウスさんを睨みつけた。まさかの返答にユリウスさんは顔を引き攣らせている。
「ど、どうでも……」
よくないよ…。
「わ、私はエクス君が貴方にとって敵かどうかと聞いています。YesかNoで答えてください。」
「じゃあNo。」
「!」
間違いなくハッキリそう言った。
「別に敵とは思ってないし。それに…アイツ、頭の中で俺に笑ってるんだ。いつの記憶か分からないけど、俺はアイツの敵じゃない。少なくともそれは分かる。それにゼウスに邪魔されたけどアイツは俺に武器を向けなかったからアンタのいう敵対関係じゃないと思う。」
アイツと言いながら僕を指さす。
ヨシュアの今の記憶が混じってるんだ…!!
ユリウスさんは最後の足掻きなのかヨシュアに沢山質問する。
「アビスに何か言われたとか」
「アイツと話したことない。」
「操られていたり…」
「記憶がぐちゃぐちゃでもこうして自分の意思で喋ってる。俺、人に指図されんの大嫌い。」
「アビスが今、君の振りをして話をしたり…」
「俺、あの人の事を知ってるよ。
アムル=オスクルム…俺が恨むべき相手。」
指を向けられたアムルさんはクスクスと笑っている。
「うふふ、ユリウスさん。この子は間違いなく本物のヨシュア=アイスレイン君ですわ。記憶がぐちゃぐちゃならアビスだって読み取ることは厳しいと思いますの。」
アムルさんの証言!やった!これで…!!
「ユーリ、最初から分かってたこと聞けて満足?」
ニフラムさんが目だけをユリウスさんに向けた。ユリウスさんも眉を下げて
「…えぇ、非常に残念ながら。」
と言った。うわ…分かっててやったんだ…趣味悪っ。
「うーん、彼には絶対に何かあると思ったのですがねぇ…。」
そう呟いた彼の横で手を挙げるアムルさん。
「少々お待ちを。わたくし、ヨシュア君を監視した方が宜しいと思いますの。」
か、監視だって…?
「どうしてだい、アムル。」
「だってこの子おかしいじゃありませんこと?聞いていた他の堕天被害者よりも症状が明らかに違いますわ!時間を戻したとはいえ召喚獣は消えてしまいましたし普通に喋ってますしね。これって彼が特別な事を意味付ける事ではなくて?」
アビスの目論見唯一の成功者。ゼウスが言っていた事だ。ずっと気になっていたんだ。アビスのその言葉の意味を。
「自我を持った召喚士がおかしくなれば良い。」
ヨシュアがそう言った。それはアビスの言葉だ。
「何処かでそんな言葉を聞いたよ。その言葉が急に思い浮かんだ。」
急に何で…今、それを言ったら…
「おかしくなれば良い…普通に考えるとそれは堕天を作ったアビスのセリフだと思って良いでしょうね。君も居たわけですし。」
と、リンネさんが思考を巡らせ始めた。
「では今のヨシュア君はアビスの何らかの実験の成功者…?」
!!
ゼウスと似たような事を言ったユリウスさんに全員の視線が集まる。ヴァルハラ側が話し始める。
「でもおかしくなるってどういう事だ?」
「記憶がぐちゃぐちゃになるとか?」
「それだけか?確かにコイツ、さっきよりかはおかしいが記憶がぐちゃぐちゃになっただけが全生徒を混乱させようとした奴の思惑通り?俺はそうは思わないが。」
「…でもねディア、彼は…狂人化…と似たような…ものがあったから…今は静かなだけで…時間が経つと暴れるかも…?」
シュヴァルツさんの言葉はストンと落ちた。確かに、と僕まで思ってしまった。
ヴァルハラ側から被害が出る前に捕まえるかという言葉が聞こえた時、
「「もう我慢出来ん!!」」
と机を叩きながら立ち上がったスピルカ先生とヨガミ先生。
「さっきから黙って聞いてりゃ…ヨシュアを戻したのはアンタらだろ!!ゼウスが治していたからさっきまでプロメテウスと共に普通だったじゃねぇか!なのに苦しませて戻した挙句捕まえるだぁ?自分勝手も程々にしろ!!」
「ヨガミ、言葉には気をつけろ。失礼しました。しかし私も同じ気持ちです。ヨシュアは我々の不手際で被害を被ってしまった生徒です。私達は彼に償う必要がある。しかしゼウスのお陰で収まっていたのです。こちらには抑える力がある。害が無い今、そちらに捕まえさせたりはしない。」
2人に続くようにシオン先生、リーレイ先生が立ち上がる。
「ヨシュア=アイスレインに何かあれば私ら教師が責任をとります。誰1人殺させやしない。」
「大切な生徒がそちらに捕まって保身のために暴れて殺されちゃっても困りますしね〜。
監視なら私達とこの子達で事足ります。それに神クラスにメタトロン置けば問題ありませんよ〜。ほら、おめめいっぱいですから〜♪」
オペラ先生はぬいぐるみを手につけれてないため立ち上がってリーレイさんの発言にコクコクと首を縦に振っていた。
「ラブラビも直ぐに駆けつけられるようにするー!」
「姐さんを御守りついでに生徒を守ってやんよ!」
ラブラビ先生もルプス先生も立ち上がる。
そして最後にヒメリア先生が立ち上がった。
「我々教師陣はヨシュア=アイスレインの保護、監視を徹底的に務めます。ヴァルハラに寄越してやる気は毛頭無い。」
頬杖をついていたシュヴァルツさんが背筋を伸ばした。
「…姉さん、もし…ヨシュア=アイスレインが暴れて…人が死んじゃったら…?」
「そんな事は絶対にさせないが…もしそうなったらやれる事をして私の命で償おう。」
「…死ぬってこと?それって逃げじゃない…?」
「そう思うのならヴァルハラの言う通りに、王の言う通りに従おう。どんな命令でも受けてやる。」
「シオン=ツキバミ、右に同じ。ヒメリア1人にそないな事させへん。そうなってもうたら私も同罪、一緒に地獄へ逝きましょう。」
「………やだ。」
シュヴァルツさんが顔を下に向けてしまった。な、何だ?もしかしてブチ切れたり…?
「死んじゃやだ!死なないでぇ……っ!」
まさかの号泣。
それを見て全員が固まった。
…まぁお医者さんの前で命を無くすような台詞はアレだよな…。いや、でも泣くかな…成人男性がそれだけで…。
「死なずに責任とってよぉ!ふぇえ…っ!」
責任は迫るんだ。ボロボロと零れ落ちる雫を手で拭うシュヴァルツさんはまるで子供…。リンネさんが彼の傍に駆け寄りハンカチを渡す。
「シュヴァルツ、まずそうならないように動くから。私は死なない。他の人も死なない。だから大丈夫だ。」
ヒメリア先生の声で落ち着いたのか涙が少しだけ収まったようだ。
「うぅ…」
『む、薬の時間だ。マスターこれを飲め。』
アスクレピオスが錠剤を取り出しシュヴァルツさんに渡そうとするが駄々をこねるように手で拒んでいる。
「いやぁっ!」
『嫌じゃない。口に捩じ込むぞ。…後で好きな物食べられるから。な?』
「んぅ…」
渋々口に入れて噛み砕くシュヴァルツさん。急に何だ…?どうしたんだ?
ヒメリア先生はそんな彼を心配そうに数秒見てからニフラムさんに視線を向ける。
「お願い致します。ニフラム殿。」
ヒメリア先生が頭を下げ、後に続いて先生達が頭を下げた。ニフラムさんはリンネさんとアスクレピオスに背中を摩られながら息を整えるシュヴァルツさんを見てから頷いた。
「…シュヴァルツがあぁ言ったからね。死なないように最後まで頼むよ。」
「ありがとうございます。そしてシュヴァルツがいつもすみません。」
「んーにゃ、彼はとても優秀でこっちが助かってるよ。じゃあヨシュア=アイスレインは時を戻すからその後、学校内で監視するように。異変に気付いたら被害が出る前に我々に報告を。君達も手伝ってね?」
ニフラムさんの優しい視線を受けて僕らは頷いた。
「じゃあクロノス、頼むよ。」
指示によってクロノスが再び手を翳し、時計盤を顕現させ、針がしっかりと時を刻む方へ回転し始めた。
「うぐぅっ…!」
胸を押さえふらつくヨシュアをラブラビ先生の指示で動いたルプスさんが受け止めた。
「彼の回復よろしくねー。で、エクス君とレン君。話が逸れちゃったけど君達は本題だ。アビスと会った時の事を教えてくれるかな。」
ヨシュアは余興だと言いたげなのが少しムカつくけど仕方ない。早く伝えてさっさと終わらせないとヨシュアが心配だ。
♢ミカウの手記♢
☆アーヴァン=クシャトリヤ
召喚獣:シヴァ
♢ミカウさんメモ
この辺じゃ珍しい褐色肌の青年。童顔で少年にも見える。誰にでもフランクで壁を作らない。目上にも目下にもアーヴァンと呼ばせる強さがあるんだよねー。
笑顔が素敵で天真爛漫、ヴァルハラのムードメーカーなんだ。でも破壊神シヴァの召喚士なだけあってめっちゃ強いんだよ!笑って人殺すタイプだね。
それと、前話のバグ(言い訳)について謝れと言われたので書いておきます。ごめんなさい。
…小生のせいじゃないけどね。




