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第86話『召喚士メイクアップ』

「こんなに友達とわちゃわちゃしたの初めてです!楽しいですね!」


そうだろうそうだろう。次回からは眉間に皺を寄せるのが増えるだろうからね!


「何でそういう事言うんですか。」

前回のあらすじ


ヨシュアと僕がスカーレット君に扱かれました。僕はまだしもヨシュアが今にも死んでしまいそうです。


 …


城下町の店の中を横並びで歩きながらも、左腕を怪我しているシオンは不満げにヒメリアを見て文句を垂れる。


「何で怪我人の私が化粧品の買い物に付き合わされとるん…ルージュ、化粧品なんて微塵も分からんのやけども。」


「そう言うなよ。手伝ってくれたあの子達からの願いだ。私達2人で行くべきだろう?」


「せやから荷物持ちは致しますけど…別に私はその辺で待っとれば良くないです?態々城下町まで来なくてもあの病院のデパートみたいな売店で十分やない?

しかも私怪我人なんですけど。(2回目)」


「確かにあそこはコスパが良い化粧品を売っているがどれもあの我儘な赤の女王様には合わないようでな。ここに来たんだ。」


「赤の女王様?」


シオンが聞き返すとヒメリアはニヤリと笑う。


「肝が据わってる奴さ。えーと…Royal Sugarがこの棚だな。シオン、右手なら良いだろう。籠持て。」


「はいはい…。」


籠を押し付けられた彼の目にちらりと化粧品が見えた。


「えっ…こんな絵の具みたいなヤツが6色で15,000レアム!?」


 ※レアムとはこの世界の通貨です。


「絵の具みたいって…それはアイシャドウパレットと言う。目に塗るヤツさ。ほら、私も塗ってる。」


目を閉じながら顔を近づけるヒメリア。

彼女の瞼をじっと凝視するシオン。


「ホンマやね…仰山キラキラしとるわ…。

はー…価値観が分からへん…。

この紅でも8,000レアム…ひぇ。」


「確かに高いがコレらは買うと他の化粧品よりも長持ちするんだ。それに仕上がりが綺麗なんだぞ。」


ポイポイと化粧品をシオンの持つ籠へ迷いなく入れていく。


「へー…。赤の女王様はさりげなくお高い物を手に入れる作戦やな。」


「はは、そうだな。メイクに慣れていそうなアイツがあの全員をこのブランド1つでメイクする事など容易だろうに。ちゃんとみんなの事も考えているんだろう。勿論余ったら貰うというちゃっかりさんだろうが。」


「違いない。」


「あ。シオン、ツラ貸せ。」


「は?」


急に言われ首を傾げるもヒメリアは答えず、


「良いから貸せ。目を閉じろ。」


とシオンの顎を掴み、聞く耳を持たない。

彼は仕方なく言われた通りに目を閉じる。


「え、こわ。乱暴しんといてくらはい…

む、目に何塗ったんですか。」


「ふむ、この色の発色良いな。お前に合う。」


テスターから取ったアイシャドウを見て微笑むヒメリアを見て再び首を傾げる。


「お前って私?」


「他に誰がいる。」


「え、いや…おらへんけど。

え、何するんや。私にそれらを塗りたくる気か。」


「じゃないと今回の会議で赤の女王様に言い詰められるぞ。彼が本気で怒ると皆が震え上がるかもなぁ。」


赤の女王…スカーレット=アルカンシエルの怒りを想像したシオンは震え上がる。


「…………お願いします。」


「よし来た。次のブランドはあっちだ。

行くぞシオン。」


「はいはい…。」


 …


「ぜぇー…っ…ぜぇー…っ…

し、死ぬ…臓器が圧迫されてる…。」


やっとコルセットの紐を縛られたヨシュアだけど今、四つん這いになって肩で息を吸ってる。

そんな彼の元へ心配そうにリリアンさんが駆け寄った。


「ヨシュアさんお気を確かに!」


「ありがと…マジ女のコって…凄いね…

し、死にそ…。」


「っふふ。大分締め上げたからね。

あの女を黙らせるくらいにはなってるわよ。」


確かに女の子…よりも細く見える。

何でスカーレット君はアムルさんと敵対しようとしてるんだろ。


「アルカンシエル!」


「ヒメリアせんせ!それにシオンせんせ!」


駆け寄るイデアちゃんに微笑みながら2人が部屋の中に入ってきた。シオン先生の右手にはブランドのロゴが入った紙袋が1つ。ヒメリア先生の手には違うブランドのロゴが入った紙袋が3つあった。


「ほら、ご所望の物だ。」


とスカーレット君にヒメリア先生が持っていた紙袋を全て渡した。


「あら、流石先生達。思った以上に早かったですわ。ショッパーを見るあたり全部お願いしたブランドね。どれ…」


あのブランドの紙袋?手提げ?は、ショッパーと言うのか。ショッパーに手を突っ込んで紙袋を開けて中身を見ていくスカーレット君。

彼が手に取る物は全て高そうなデザインの箱ばかり。同じ箱のように見えるけど中を見なくてもわかるんだな。箱の大きさとか?


「……うん、さっすがヒメリア先生!

頼んで正解だったわ!

アタシが欲しいもの全部ある!」


「赤の女王様のお気に召したようで何より。

ではついでに1つ報告をば。

会議は明後日に開かれる。夜に、城でな。」



明後日、夜の城…!



「今の君達の服装なら大丈夫や。

明後日、アストレイとデイブレイクが君達を迎えに来る手筈になっとる。せやからもし準備に時間が掛かるのなら昼から動くこと。ええな?」


「はい!」


全員が緊張気味に返事をした。


「では私たちはこれで…」


「ヒメリア先生。」


スカーレット君がヒメリア先生を呼び止めた。


「何だ?」


「先生が施すメイクが変だったら文句言うからね。」


彼はちらりと部屋の外に出る寸前のシオン先生を見た。ヒメリア先生もそれに気付きくすっと笑う。


「お手柔らかに。」


「それはどうかしら。」


ふっと微笑み、ヒメリア先生も退出した。


「あさっ明後日…今日じゃないんだ…。」


あぁ…ヨシュアが絶望してる…。


「慣れるためにも今日1日付けてたらどうかしら。」


でも止めさせない鬼、スカーレット君。


「スカーレット、キミって人間の皮をかぶった悪魔か何かかな?」


笑いながらも少し、いや、結構目に見えて苛立っているヨシュアを見てもスカーレット君は笑みを絶やさない。


「あら、先生公認のただの我儘な赤の女王様よ。

さて、エクスちゃんもプロメテウスもやっとマシになったわね。女の子達!うんと可愛くなる時間よ!

さぁ、誰からやる?」


これ以上皆が可愛くなるのか…。ちょっとドキドキする。しかも最初は…あ、メルトちゃんなんだ…!


「じゃあメルトちゃん、ベッドに座って。」


「はーい!」


「前髪ヘアピンで止めるわよ。」


ヒメリア先生、ヘアピンも買ってたんだ。

メルトちゃんの白くて綺麗な肌…もうそれだけで可愛い。


「貴女を綺麗な大人っぽくしてあげるわ。」


「お願いします!」


慣れた手つきでメルトちゃんにメイクを施していくスカーレット君。凄い、魔法かけてるみたい…!


「…うん、良いわ。こんなものね!

ほら、鏡を見てみなさい。」


手鏡を渡されたメルトちゃんは初めて魔法を見た少女のような顔をしていた。


「凄いわぁ…!これ私なの?」


「貴女以外に誰がいるの。髪もいい感じに出来たわ。ほら、エクスちゃんの方を向いて。お姫様。」


 えっ!!?ま、まだ心の準備が!!


声に出していないからメルトちゃんは振り向きざまに僕と目を合わせてくれる。

その瞬間がスローモーションに見えたんだ。


「どう?エクス君!」


普段と違って髪がまとめてあって…大人っぽくて本当に可愛い…なんて言おう。

この言葉そのままが1番だよね。よし!


「だって、メルトちゃん。良かったわね!」


「うん!ありがとう、スカーレット君!」


ん?何故か2人が喜んでる。


「え?僕まだ何も言ってないよ?」


「本当に可愛い…って声に出てたよ?

我がライバルよ。」


ローランド君が声真似しながら教えてくれた。真似は全然似てない!(と、思う。)というより…


「声に出てたの…!?」


「えぇ。あら、まさかの無意識かしら。かーわいっ!まぁアタシがメイクしたもの。

メルトちゃんが可愛いのは当然だわ!」


は、は、恥ずかしいぃい…っ!


『ふふ、マスターもまだ若いなぁ。愛い愛い。』


「ゼウス黙って!」


女の子達がスカーレット君の手によって次々に可愛くなっていってる間、僕は羞恥に悶えていた。


「さて、後は男性陣よ!

シャルちゃんは何がいいかしら…。」


「オレ、女装の時はピンクや紫ばかり使われてましたのでそれ以外で男らしくなる感じが良いです!」


珍しくシャル君が自分の希望を言った。

過去に余程やられたんだろうな…。


「男らしく…じゃあ思い切ってモノトーンでやってみましょう。」


「はいっ!」


太陽のように眩しい笑顔のシャル君。

彼を見て僕は羞恥が薄れ……

わぁ。メルトちゃんが凄くこっちを見ている。

さっきの思い出して顔がまた熱くなってきた!

メルトちゃんは何を思っているんだろう…!

まさかメイク後のカッコいい感じを期待されてる!?


「(むむ…エクス君は何色が似合うのかしら。うーん…難しいなぁ。やっぱスカーレット君って凄いなぁ。

服をデザイン出来ちゃうし、それを着た皆を見て直ぐにメイクの色を決められるんだもの。

よし、私も頑張って可愛くなるぞ!)」


あ、両手を頑張れ!みたいにグッてした!

やっぱ僕に惹かれてくれてる!?(※違います。)


「うん、完璧!ほら、どう?」


「わぁ……あ?メイク薄くないですか?」


「女の子の振りする訳じゃないでしょ?貴方は元が綺麗だから薄くて十分よ。シャルちゃんはぁ…まさか女の子?って疑問持たれるくらいが丁度いいわ。」


「えぇー…。」


落胆しているシャル君だけど普通にカッコよく見える。やっぱ凄いなぁ。


「エクスちゃん、次はアンタよ。ツラ貸せ。」


あれ?言い方怖くない?


「アンタはメイクを知らないみたいだからね。

本気出してあげるわ。」


怖い顔のスカーレット君の左手が僕の顎を強く掴む。


「いだだだだっ」


「動くんじゃないわよ…失敗されたいの?」


低めの声で言わないで!!怖いよ!!


その後ほぼ説明も無しに顔に色々塗られた。

最後なのかスカーレット君がにっと口角を上げる。


「っふふふ…ホントにアタシって器用ね!

ほら、皆見なさい!」


スカーレット君がズレて皆に見られる。

すると皆は驚いていた。


「わぁ…流石スカーレット君…

エクス君がカッコよく見えるわ!」


め、メルトちゃんにカッコいいって言われた!!

クリムさんもイデアちゃんもリリアンさんも褒めてくれた。恋愛ゲームだったらもうハーレムルート確定くらい舞い上がっちゃう!


「ほら、鏡よ。」


貰った鏡で顔を見るとゲームの主人公エクスがキリッとカッコよくなって映っていた。目元がキラキラしてる…!

す、凄い…めっちゃカッコよくなってる…!


その後スカーレット君は全員にヘアメイクを施した。皆、彼の凄さに舌を巻く。


「ざっとこんなものよ!アンタ達、アタシが綺麗にしたんだから自信持ちなさい!アンタらは綺麗よ!

明後日、これでお偉いさんをギャフンと言わせたりましょう!」


「おー!!」


って趣旨が違う!!


この後、スピルカ先生、ヨガミ先生が入ってきて格好に驚かれつつ談笑して、天使クラス担任のリーレイ先生とオペラ先生が見に来てくれて。更に保健の先生のラブラビ先生とルプス先生が来てくれた。


実はこれ以来シュヴァルツさん以外のヴァルハラの人が来なくなって平和でした。

本当に何も無い、休日を友人と過ごしているような時間を過ごした。


そう、だからこそあっという間に…



ヴァルハラとの会議の日になった。

次回、ヴァルハラと立食パーティーが始まる…。

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