第73話『医院長現る』
エクス君、そっちに医院長行った!
「えぇ!?医院長が来るんですか??お偉いさん怖そうやだぁ…」
前回のあらすじ
ホテルのような病院でセクシーな女医さんのフェリア=クレール先生に診てもらって僕が元気なことが分かりました。ヨシュアの事を聞くとこの病院の医院長であり学校の上層部かつ国を束ねる機関所属の人が診てるとか。
そんな人と会わなきゃならないの?やだやだやだ無理無理無理!
…
ナースさんに連れられて部屋に入ると…
「エクス君!」
聞き覚えのある声!パッと見ると何と…
学校で話していた皆が居た。そう言えば部屋割りは教師が決めるって言ってたっけ。
僕の目にはメルトちゃん、イデアちゃん、リリアンさん、スカーレット君、レンが見えていた。…え、女の子達と同室!??
驚きながらベッドへ案内してもらった。
僕は真ん中、右にレン、左にスカーレット君、目の前にメルトちゃんが居た。
あれ?スカーレット君の奥にもまだベッドが…。
「エクス様、教師の方々から勝手な行動は慎むように、緊急事態以外は部屋から出るな。と言伝を預かりました。またお夕飯の時間に伺います。では、失礼致します。」
必要なこと喋ったらもう行っちゃったぞ…。
「エクスちゃん大丈夫だった?」
「うん、元気だって。ねぇ、スカーレット君の隣って…」
「ローランドとヨシュアちゃんよ。その対に並んでいるのがクリムと…シャルちゃんよ。4人とも意識は戻ってないみたい。」
あらまシャル君女性列に並べられてるんだ…。
ん?てかヨシュアだって??
僕はローランド君のベッドを覗き込んでヨシュアのベッドも覗き込んだ。
色白がもっと血色悪く見えるし呼吸も浅いのか布団の膨らみが目立たない。死んだように眠るとはこの事では。
「よしゅあ〜…エクスだよー…起きてますか〜?」
と小声で言っても反応無し。
ローランド君にも試してみよう。
「ろーらんどくーん…エクスだよー…起きてる?」
反応無し。普段煩い人が静かになると何とも言えない時あるよね。
シャル君は…両足がギプスで固定されてる。あの綺麗な御御足が…。
「しゃーろっとくーん…エクスだよー…。」
反応無し。うぅん…寂しいなぁ…。
クリムさんは…
近づこうとした瞬間、身震いするくらい鋭い視線を感じそちらを向くと、スカーレット君の睨みだと気づく。
「クリムに手を出したら殺す…四肢をもいで頭をエントランスの真ん中に放置してあげる…。」
僕は素早く自分のベッドの上で正座した。
心臓がこの上ないくらいに脈打ってる。
こっ…こここ怖かったぁ…!!
クリムさんとお話出来たらあらゆる事に気を付けないと殺されかねない…!!
「ヨシュア君、大丈夫かなー。」
イデアちゃんがベッドから降りてスリッパも履かずに裸足でヨシュアが眠るベッドに近づいた。皆も不安そうにそちらを見る。
気がつけばもう外が真っ暗だ。そりゃそうか。授業終えてからあぁなったんだから…。
不思議とお腹減ってないな…。ちゃんと全員が起きて一緒に食べられる日が1日でも早く来ますように。
そう思っていると扉が開いた。
中に入ってきたのは黒髪に赤メッシュ、2つの赤い宝石のピアス、引き締まった身体を魅せるピッチリとしたノースリーブの黒インナーに黒いスラックス、ちゃんと着ないで袖に手を通しただけの白衣、足元はサンダルという不思議な格好の僕達とあまり歳が離れてなさそうなイケメン。
誰…?
彼はペタペタと音を鳴らしながらヨシュアに近付く。イデアちゃんはそれによって少し移動する。
医者であろうその人はヨシュアを見下ろし徐に口を開いた。
「…シャーロット=アルカディア、ローランド=ローゼン、クリム=アルカンシエルは意識不明でも軽度の怪我と診て君たちと同じ部屋にした。…でもヨシュア=アイスレインを同じにするつもりは無かった。
…ただ…1人にするデメリットがあった為、個室は止めた。」
急に何だ…?凄い静かにというかのんびりに話す人だな。お医者さんはこちらを、というか僕を見て
「…起きて暴れたら連絡して?」
と言った。暴れる…?何で??
「あの、何故ヨシュアさんが暴れると…」
リリアンさんが小さく手を挙げ発言するとお医者さんは
「…初めて診る症状だったから。…たまに魔物の魔法で狂人化する人を診るけどそれと似たような成分を発見したんだよ。
…他にも色々ね。
…君たち相手なら暴れても多少自我が残るかもしれないし…だから一緒に居てあげて欲しい。…お願い、頼むね。また来る。ふぁあ…」
と欠伸しながら言うだけ言って帰ってしまった。またか。呆気に取られる僕達だったが扉が閉まる直前、
「医院長!勝手にどちらへ行かれてたのですか!」
「…ごめんなさい。」
と怒る女性の声と謝る声が。…うん?医院長?
“ココの医院長でゼウリス魔法学校の上層部であり国を束ねる機関の一員。
召喚獣はアスクレピオス。”
フェリア先生の言葉…ココの医院長!!
あの人が…!?まさかこのタイミングでお会いするとは…!!
「エクス君どうしたの、1人で口に手を当ててさ。」
レンがそう言うから皆が僕を見る。
「あの人…ココの医院長だ…それに学校の上層部であって国を束ねる組織の1人らしいよ…。」
と告げると皆驚いていた。
「あらやだ超お偉いさんじゃないの。まぁアタシは別にだから何?だけど。」
スカーレット君は相変わらずだ。
「でも、良かったのでは?そんなお偉い方がヨシュアさんを見て下さって。」
リリアンさんの言うことは最もだ。
医院長かつ上層部なら絶対すごい人に決まってるし。でもそんな凄い人でも初めて見る症状だったって…不安になる…。
するとレンが口を開いた。
「ねぇ、疑問なんだけどさ。この部屋は何でこのメンバーなんだろうね。」
「どういうこと?」
「だってさ、君たちは兎も角クリムちゃんがお兄さんと一緒だし俺とリリアンちゃんは別クラスかつクラス代表だよ。
エクス君含めると全クラス代表がこの部屋に居るのって不思議に思うんだけど?普通クラスで部屋割りするよね。カーテンあるとはいえ男女混合部屋だし。ヨシュア君だって俺らに任されてるし…たまたまではないよね。先生達何考えてんだか。」
…1人でよく喋るなぁ。まぁ確かにレンの言う通りだ。病院に送られたのが最後だからっていう可能性もあるけど普通ならクラスで分けていいと思う。何かあんのかな。
「確かにその通りだけど今のアタシ達じゃ何も出来ないし別に面子に不満が無いなら良いじゃない。ホテルのつもりでゆっくりしましょ。」
と横になるスカーレット君。
すると3回ノックが聞こえドアが開いた。そしてまた髪や服が黒い人。ヨガミ先生だ。
「ようてめぇら。起きてる奴らは異常無いと聞いたぞ。良かった良かった。お前らにも不便かけたな。協力、感謝する。それで晩飯だけど…皆食えそうか?」
皆うんうん頷いた。ご飯の話を聞くとさっきまで平気だったお腹が減ったように感じた。
「本当に元気そうだな。残念ながら医院長の命令でお前らは今日病院飯だ。味気無いが我慢してくれとのことだ。極力部屋から出ないように。また何かあったらその電話で呼んでくれ。じゃあな。」
壁に掛かっていた電話を指差しまたまた言うだけ言って去ってしまった。
ヨガミ先生ならもう少し話すと思ってたけど…。変なの。やる事ないなぁ、どうしよう。
するとまた扉が開いた。来客多いな!
開けた人は医院長だった。うへ…。
「…匿って…。」
「え?」
何故かしら僕のベッドの布団に潜り込むお偉いさん。え?今どんな状態??
疑問に思っていると看護婦さんが怒りながら扉を開けてきた。
「あの!医院長見てませんか!?」
「えっと…」
つい視線を向けると人差し指を口に付けてシーッとジェスチャーされたので
「ミテマセン。」
と答えた。看護婦さんは訝しげに僕を見たが頷いて「分かりました、ありがとうございます。」と言って扉を閉めた。閉まる直前に「もうっ!本当にあの人は…」という大変さが伝わる言葉が耳に刺さった。看護婦さんの気配が消えたと思ったのかのそりと出てくるお偉いさん。
「…ありがとう。…助かったよ。」
「良いのですか…医院長さんが…」
「…ぼくのこと知ってるの?」
「あ、えっと詳しくは知らないのですけど怒られている場面を聞いたので…」
「…はずかし。」
と無表情で言いながらベッドを降りた。
「…ぼくの名前はシュヴァルツ=ルージュ。」
…ん?ルージュ…?ルージュって確かヒメリア先生のファミリーネームだったような。
「…いつも姉がお世話になってます…。ご飯もうすぐだから…ちゃんと食べてね…また話しにくるね…お大事に。」
フラフラと出ていっちゃった…。
あの人ヒメリア先生の弟さんなんだな。
アレでお偉いさんなんだもんな。人は見かけによらないっていうし何だか不思議な人だなぁ。
そんな人が抜け出して怒られてるんだけどこの病院大丈夫なのかな。
ミカウお兄さんだよー!
シュヴァルツ君が登場したね。
彼は医院長であり国を束ねる機関の1人。
ヒメリアちゃんとの年の差は2つなんだって。
忙しくてずっと眠たいらしいよ。またメモっておかないと!




