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第47話『おやすみ』

エクス君頑張ります!


「ます!」


エクス君殴られます!


「ま……えっ?」

 前回のあらすじ


 ノートに魔力を吸い取られたモーブ君は見るに堪えない状態になってしまいました。

 召喚士の魔力を得て巨大化したノートに皆が魔法を放って勝ったと思ったら無傷で復活…。

 ゼウスにやれるだけの力を放てと言われたし…ゼウスは何か分かったのかも。


 …


「やれるだけの力って!?」


『普段マスターは魔力を弱める調整をしてきたがその逆だ。強く放て。』


「ぼ、僕じゃなくてゼウスがやれば…」


『マスター、先程ノートへ魔法を撃った者は誰だ?』


「え?えと…プロメテウスとイーリスとロキ…」


『全員召喚獣だよな。』


「うん…え、もしかして召喚獣の魔法が効かないとか!?」


『あぁ、恐らくな。それに…』


 ゼウスの視線はノートへ向けられた。

 静かに佇んでいたノートは狂気の目でこちらを見下げている。


『今、力を取り込んでいる最中だろう。さぁ、やるんだマスター。』


「…うん!」


 ノートを助けてあげたい。

 究極魔法を撃つんだ!

 魔導書は勝手に捲られ、とあるページで止まった。あれ…?これって詠唱省略出来るの?


『マスター?』


「あ、ごめん。じゃあやるよ。念の為皆離れてね。」


 僕は皆の前に立ち杖の先をノートに向けて


「【天帝神雷てんていじんらい天誅てんちゅう】ッ!!」


 と声高らかに(カッコつけて)言い放った。


 するとノートの頭上に真っ黒なこの空間でも目視出来るほどの更に黒い雲がもくもくと集まり、瞬きの間で雷が迸る雷雲と化した。

 強風が吹き荒れ重いゴロゴロという低音が鳴り響き、一瞬辺りが真っ白になった。

 驚いて瞑った目をゆっくり開けると、雷雲から雷の龍の身体が見え隠れしている。

 もう一度、視界が真っ白になって目を瞑った。

 直後に轟音が床を震わし、目を開けたそこにはノートを丸呑みしようと大きく口を開けた雷龍が居た。

 …ごめんね、ノート。苦しかったよね。

 ゆっくり休んでね。


 心の中でそう呟いて杖を振った。

 その合図で雷龍はノートを丸呑みした。

 そのまま雷龍は消え、そこにノートの姿は無かった。


「…。」


「凄いわエクス君…私、言葉失っちゃった…!」


 とメルトちゃんが背中に抱きついてきた。

 ひぇっや、やわらか…っ…!!!!


「ほら、見てよ皆なんて…」


 メルトちゃんに促され皆を見ると…

 皆、ノートが居た所を目を丸くして口が半開きの状態で見ていた。…召喚獣も含め。

 ただ1人普通のゼウスはメルトちゃんが僕から離れた瞬間抱きついてきた。いっった!!男だからゴツゴツしてる!!って別にメルトちゃんが柔らかかったからムフフってしてるとかそんなんじゃないよ!!?


『凄いぞマスター!!究極魔法を詠唱無しとは!流石我がマスター!』


「え?ゼウスのスキルじゃないの?」


『?何の話だ?私はそのようなことした覚えがないぞ。』


「え?」


 どゆこと?普通、究極魔法は詠唱が無いと発動できないんだけど…ゼウスのとんでもスキルで詠唱省いたのかと思ったのに…。え?何で?


 首を傾げた瞬間、夜にバキッと亀裂が走る。


『む、夜明けだ。』


 ガラスが割れる音と同時に元のグラウンドに戻った。


「はぁ〜〜〜…」


 怖かったぁ…。


「…おーまーえーらぁ…」


 夜帷の羽衣が無くなったヨガミ先生が腕を組んで仁王立ちしていた。


「そこに横並びで正座。」


 ノートよりも怖いヨガミ先生に逆らえず僕らはグラウンドの真ん中で正座する。


「まず、これは教育的指導だ。」


 ヨガミ先生はグーを顔の横に見せ、僕らの前に。え、まさか殴…いや、拳骨?

 どうやら思った通りで1人ずつ殴る…じゃなくて拳骨していくようだ。


 スカーレット君に[ポカッ!]

「…痛いわ。(痛くない)」


 ローランド君に[ポカッ!]

「むっ。(痛くない)」


 シャル君に[ポカッ!]

「あう…。(痛くない)」


 ヨシュアに[ポカッ!]

「う…。(痛くない)」


 イデアちゃんに[ポカッ!]

「わー。(痛くない)」


 メルトちゃんに[ポカッ!]

「やーん。(痛くない)」


 僕に[バキッ!]

「いっっっっっつぅ……!!!」


 何で僕だけ…っ!?さっき殴られたばっかなのに…!!


「お前らどれだけ危ねぇことしたと思ってんだ!!教師の言うことも聞かないで!!」


「それは…」


 まぁ確かに危ないこと…だよな。


『まぁまぁアポロンのマスター、それは悪かった。私からも謝る。だが、今はコイツが優先だ。』


 ゼウスが指を鳴らすと緑に輝く蔓が伸びてミイラのようなモーブを絡めて持ってきた。


『魔力だけじゃなくて生命力までもが吸われている。このままじゃ死ぬ。』


 死ぬという言葉に敏感なヨガミ先生は目を見開いてモーブを蔓から離し抱えた。


「っ!!死なせてたまるか…!今すぐ保健室へ…」


「あわわっ!ゼウスお願い!先生を保健室へ!」


『うむ。』


 指を鳴らした瞬間、ヨガミ先生はモーブと消えた。これでモーブ君が助かると良いんだけ


「どぉっ!!?」


 頭、というか背後にズシッと重みが…っ!!

 たんこぶいたぁい!!


「えーくーすーくんっ対価の話、忘れてないわよね?」


「す、スカーレットくぅん…お、おも…」


「んー?まさかこのアタシが重いとぉ?」


 頭に乗せられた手でグリグリされる。


「めめめめめっそうもございませぬ!!」


「そう、なら良いわ。さ、話してちょうだい。」


「あい…。と、取り敢えず離れて頂けると幸いデス。」


 中腰かつ重みで息がしにくいので…。


「凭れがいがあったのに…仕方ないわね。」


 か、解放された…!

 皆哀れみの目を向けていた。その目やめて…!

 スカーレット君に説明をする為に深呼吸した。

 魔獣殺しは避けて堕天アンヘルについてだけを話そう。


「これは僕らだけが知ってることなんだ。だから他の人には話さないで欲しい。」


「アタシ、そんなに口が軽いと思われてるのかしら。」


「滅相もございません!!」


 その威圧何とかなりませんか!?とは言えず。


『それ好きだなマスター。』


「いいからっ!あのね…」


 僕は堕天アンヘルについて話し始めた。

♢ミカウの手記♢


☆イデア=ルークス

召喚獣:ロキ


好きな物:皆と食べるご飯、身体を動かすこと

嫌いな物:勉強、美味しくない食べ物



♢ミカウさんメモ

とっても元気な女の子。純粋なのかとてつもなく素直で召喚獣のロキの嘘を信じまくり、疑うという事を知らない子。毎度毎度騙されているのに毎度毎度疑わずに信じ続けることが出来る普通とは違う恐ろしさを持った子。

だからこそロキの玩具になってるんだろうけどさ。

素直って言うのは良い事だけど疑う事を知らないといつか怖い目に遭うだろうなぁ。

本人が知らないうちに…ね。

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