第43話『深淵捜索』
エクス今日は出番無し!
「えっ!?前回のあらすじも!?」
前回のあらすじ
どうも、ヨシュア=アイスレインです。
エクスの代わりに俺が喋りますね。
えー…と、ローランドとイデアと3人で歩いていると赤髪のイケメンオネエさんに会ったんだ。
彼はスカーレット=アルカンシエルっていう人で同じ神クラスだった。覚えがないけど。
そしてイデアが攫われちゃった。本人も嫌そうじゃなかったしまぁいいかと思ってたらスカーレットの妹であるクリム=アルカンシエルが謝りに来てアビスを知ってると言ったんです。
良い情報でしょ?
…
「何処に居た?」
「確か図書館にいらっしゃいましたよ。クリムが兄様と一緒にいた時に居ました!」
「じゃああまり時間は経ってないのかい?」
「15分くらいしか経ってないかと。」
15分…微妙だな。
「ありがとうクリム。行こう、ローランド。」
「うむ!」
1歩踏み出そうとした時、袖がくんっと引かれる。
「まっ待って下さい!」
「どしたの?」
「く、クリムも一緒に行きたいです!」
「どうしてだい?図書館は兄上と行ったのだろう?」
ローランドが首を傾げるとクリムは俯いた。
「そ、そうなのですが…その…誰かと一緒に居たいのです。ルームメイトの子は別行動してまして…。寂しいのです。」
大きな瞳が潤み、雫が零れ始めた。
「わ、泣かないで。うん、俺らと行こう。」
「女性の涙は嬉し涙が1番さ。」
ローランドはハンカチを手渡した。
何か慣れてる…?
「う…ありがとうございますぅ…っ!洗って返しますぅ…っ!」
「別に良いさ。そのままで。」
「ダメですぅ…洗って返しますぅ…。」
「……じゃあ行こっか。」
俺たちは図書館へ向かった。
…
俺そういえば図書館初めてだ。
昨日行けてなかったからな。
と思いつつ図書館の引き戸を開ける。
「うわぁ…!」
本が宙に浮いてる!!
すっげぇー!!
というか広ーーい!!
「どうしたんだいヨシュア君。口を開けて固まって。」
ローランドの声でハッと我に返った。
「あ、ごめん。ここに来るの初めてだったから驚いちゃってね。凄いね此処って。」
「初めて来た時クリムも驚きました!兄様は通常運転でしたけど…。」
「僕も驚いたね。僕が此処に立つだけで絵になりそうだ!そうだろう?アフロディーテ!」
『♡』
皆さんお忘れじゃないでしょうか。
あまりにも静かな召喚獣がローランドの頭に座っていたことを。
黙っていたのは彼女なりの気遣いでしょうね。
スカーレットはバッチリ見てたけど。
「わぁ、美人さんですね!こんばんは!クリムです!」
『♡』
アフロディーテはクリムの差し出された手に乗って笑顔を見せた。
微笑ましいけど今はそれどころじゃない。
「さ、アビスを探そうか。」
残念なことにまだ図書館の中には今目に映るだけでも10人以上居る。
怪しまれないようにしないと。
「手分けするかい?」
「いや、単独行動は避けよう。既に……かもしれないしね。」
クリムが聞いていたので意味深に少し目線を逸らしてもう一度ローランドを見る。
彼は閃きの電球を光らせ頷いた。
「成程、分かったよ!」
「??」
「クリムは気にしないで。男同士のってやつだから。」
「あ、ならクリムは入れませんねっ。分かりました気にしませんっ。」
「ごめんね、ありがとう。」
沢山の本棚の間を見ながら歩いていく。
まず向こう側に着くのも大変だ。
図書館でアイツは何を企んでるんだ?
…いや、そもそもクリムが見たのはアビスなのか?
疑問に思いちらっとクリムを見ると
「?」
と首を傾げたのでニコッと微笑んで向きを戻した。嘘を吐いているようには見えないな。
余計な詮索はやめよう。それこそ怪しまれる。
今はアビスを見つけるのが先決。
アビスなら何をする?本を読むか?
いや、授業中寝てたとシオン先生が言っていた。此処は静かだからもしかすると…
自分の考えを確かめるべく、俺は駆け足で向こうの壁まで進んだ。
多分どっちかに……居た!!
右側の隅に頭の後ろで手を組み目を閉じているアビス=アポクリファを見つけた。
「あ、この人です。クリムが見たのは。
お探しの人でした?」
「うん。ビンゴさ。ローランドはクリムと一緒に離れた所にいて。何されるか分からないから。」
「…分かったよ。さ、こっちだ。」
「え?あ、はいっ」
こういう時ローランドは頼りになるんだな。
覚えておこう。
「ふふ…そんなに身構えなくてもいいよォ♪」
「!」
アビスは目を開けた。起きていたか…。
「そんな怖い顔してどぉしたのォ?誰だっけ…えーと…ロシアン君?」
「ヨシュアね。」
腹立つけど平常心を心がけよう。
「ねぇ。単刀直入に聞くけどエクスを陥れたいって本当?」
「驚いたァ。何でそんな事聞くのォ?」
「エクスの友としてさ。」
言い切った俺を丸くなった目で見たあと、口角をゆっくりと上げ、牙を見せる。
「へぇえ〜!知らなァい。あの子は面白いけど別にどぉでもいい。」
鋭くなった瞳で睨まれて背筋が凍りつく。
「っ…」
「あはァ!おもしろぉい!
そんなに怖がらないでよォ♪
直ぐには食べないよ。君はァ、後でのお楽しみに取っておくんだァ♪」
口角をつり上げ不気味に笑うアビスがとてつもない化け物に見えた。な、何なんだコイツは…っ!
「それを聞くためにここまでわざわざ来たのォ?」
不気味な雰囲気が消えたものの、薄ら笑いを浮かべるアビスにムカつくが、両手を握り締めることで我慢する。
「…お前、何企んでやがる。」
「あっ!言葉遣いが悪くなったー!本当はそっちだねぇ♪いい子ちゃん振るの大変でしょー?」
怒りの感情がフツフツと湧いてくる。
あれ、何で我慢してんだっけ?何でいい子にしてんだっけ?
気付くと俺はアビスの顔スレスレで壁を蹴った。それでもアビスは笑みを絶やさない。
「あはァ…こわぁい。
こういうの壁ドンって言うんだよねェ。でも僕が知ってるのは足じゃなくて手なんだけどォ?」
「しらばっくれんなよ…?お前…人を何だと思ってる?」
「特に何にもォ。つーかさぁ、僕回りくどいのってきらぁい。要件さっさと言えよ。」
我慢を解いたからかアビスの睨みにも竦まなくなった。
「黒いカプセルについてと言えば足りねぇ頭でも分かんのか。」
「…それが何?」
「とある生徒がお前から小遣い稼ぎとしてこのカプセルをエクスを標的にして使わせていると聞いた。」
「で?」
「今すぐ残りのそれを出せ。やべぇもんだと分かってんだよ。先生に伝えてお前を追放する。」
「え、ある生徒の言葉だけで僕が犯人って?何それ酷くなーい?僕は知らないよォ。何なら探ってみる?絶対に持ってないから僕じゃないと言い切るよォ♪」
「そんなはずない。」
「しょーがないなぁヨシュア君は。」
アビスはジャケットとベストを脱いで俺に手渡してきた。
「好きに調べればァ?」
「…」
言われて動くのは癪だが全てのポケットを探った。それである訳が無いと思いつつ。
………本当に無かった。
「無かったでしょー?ほら僕じゃなぼへっ」
ムカついてジャケットとベストを丸めて顔面にぶつけた。
「うわーん暴力反対ぃ!」
「ズボンと靴。」
「え?えっち。」
「殺すぞ。」
「怖っ!ホントに無いってばぁ!しつこーい。」
そう言いつつ靴を脱ぐアビス。
「…」
靴の中…無い。
ズボンは脱がれても目が汚れるだけだから俺が叩いて確認した。
「あっ!いたっ!えっそんな強く叩くぅ!?」
「…るっせぇ黙ってろ。」
「え、マジで怖。」
…チッ何もなかった。
「もー…これで満足したァ?僕を疑うなら現行犯逮捕が1番だよね。知らないけどさァ。また証拠を集めてから来なよ。ばぁい♪」
追いかける理由が無くなった為、俺はアビスを見逃した。
「よ、ヨシュア君!アビスが出ていってしまったよ!良いのかい!?」
ローランドがクリムを連れて焦った顔でこちらに戻ってきた。聞かれてないよね、さっきの。
「しー…。ダメだ、探したんだけど証拠を持っていなかった。追う理由がない。」
「…そうか。」
「??」
首を傾げるクリムに少しでも危険が及ばないように言っておく必要があるな。アビスでは無い脅威の存在を。
「聞いてクリム、これは俺達からの忠告だ。
君のクラス代表のレン=フォーダン。
本当に彼には気をつけ」
「俺がどうかした?ヨシュア君♪」
…嘘だろ。後ろから、奴の声が聞こえた。
♢ミカウの手記♢
☆メルト=ガーディア
召喚獣:アテナ
好きな物:お菓子、おしゃれ
嫌いな物:苦いもの、乗り物
♢ミカウさんメモ
おめめがくりくりな可愛い子。
思ったことを正直に言うので偶に無意識で人を傷付けてしまうことも。
優しく正義感があり、皆を守ろうと勉学に勤しむ姿が良いね。結界など人を護る支援魔法が得意。
うん、あの明るい感じ…看板娘に良いな。




