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第34話『心ノック』

【祝5000PV!】ありがとうございます!!

感謝の極みです!!

前回のあらすじ


薬学でポーションを作ろうとしたらエリクサーが出来ました。どうやら僕は魔力量とその濃度が環境レベルだそうで。

今日の実践と錬金術の失敗は魔力の調整が下手すぎるからとゼウスに言われたのです。


つまり、調整出来れば僕は強い!!

調整出来れば…!


あれ?そう言えばスピルカ先生遅いな…?


 …


「あーーー!!!ほんっとに怖かったぁ…

アストライオス〜いつもごめんなぁー!」


『?』


「ほら、俺が上に報告しに行く時いつもお供に連れてくだろ?もしお前無しで1人で行けって言われたら俺は絶対ちびる。見たか?あのトップの召喚獣…久し振りに見たぞホントに…。怖かったな…《《クロノス》》。

あれ、ゼウスの父ちゃんらしいぞ。おっかね。

マジでお前のおおぐま座(ウルサ)にずっと抱えてもらいたかった…。」


『…。』


「分かってるよ。エクスの箒の暴走で護った時に使ったからクールタイム中だろ?それにあそこで魔法でも放ってみろ。保身のためと言えど俺とお前は間違いなく時間牢行きだ。

あのクロノスに睨まれ続ける地獄のな。」


『…。』


「報告ついでに、目もつけられちまった。

めんどくさいなー。エクスの事根掘り葉掘り聞いてきやがって…絶対クロノスの私情入ってるよ…。」


『!』


「ん?どったアストライオス。俺に懐中時計見せて……あーー!!やっぱり間に合わなかった!!てかもうすぐ終わるーー!!まずいまずい!でも転移したら俺の魔力空になるーー!…よし、アストライオス、獅子座レグルス出せるか?」


『…(コクリ)』


「よし!乗せてくれ!走るぞ!!」


 …


「…という訳で、ポーションの作り方はこんな感じだ。完成した者はノートに書いとけよー。

…で、エクス。」


ヨガミ先生が僕を見下げる。


「出来たか。」


「…コチラデス。」


僕は結果が分かっている試験管を差し出した。


「金色じゃねぇか!!やり直し!!」


「ひぃっ!!」


ですよねー!!


僕の周りは金色の液体が入った試験管が無造作に転がっている。皆気を遣って壁際まで寄ってくれて僕だけ巨大釜の真ん前で泣く泣く作業をしている。もう30回くらいやってる。


「何で出来ないのぉー!!?」


とボヤくと


「お前が下手くそだからだ。」


「グハッ!」


ヨガミ先生から正論のナイフが飛んできた。


『あまりマスターを虐めるな、アポロンのマスターよ。我がマスターは思った以上に不器用なだけだ!』


「グフゥッ!」


ゼウスも僕にナイフ刺してるからね!?

しかもクリティカルヒット!!


「エリクサー大量生産はありがてぇけどもお前を一生徒として見ると課題をクリア出来ない落ちこぼれとなってるぞ。」


「あい…。」


「ねぇ、ヨシュア君、ローランド君。

オレ達、エクス君に何もしてあげられないのでしょうか。」


「我が麗しき同胞よ。コレばかりは彼の問題さ。

僕達は何も出来ないよ。」


「強いからこそ牙を隠す必要があるなんて…

最っ高にカッコイイじゃん!見守ってあげようよ!まだエクスは1人で頑張ろうとしてるんだから。」


「…そうですね。

まだ、見守っていましょうか。」




「やり直し!」


「ハイッ!」


「もう1回!」


「ヘイッ!」


「次!」


「ヒェッ!」


し、しんど…。も、もう無理…。


「エクス、お前こんなもんか?落ちこぼれになるぞ?成績悪いとこれから苦しむぞ?」


 な、何故そんな将来暗くなるような事を…。


「お前は心が脆い。膨大な魔力の持ち主ならば尚のこと出来ねばならない。お前は恵まれてるのだから。魔力量も、濃度も、召喚獣も。」


恵まれている、なんて前世じゃ考えられないよ。


「最初から才に恵まれているのなら、普通の人の努力の階段を飛んでスルーしたのなら、これから血反吐を吐くくらいの努力をしろ。

直ぐに諦めようとすんな。

それは努力している人への驕りだ。」


驕り…そりゃあリアルが散々だったんだ。

僕はその普通に虐げられられたんだ!

散々苦しんだ!散々我慢した!

なら生まれ変わってこれくらい貰っていいじゃないか!主人公にしてくれたのなら、ゼウスに会えたのなら、貰っていいじゃないか!ならこの世界の普通の人に対して驕って何がわる…


『…!(心臓が一瞬針に刺されたような痛みが…それにマスターの様子が何かおかしい。

黒いオーラが見える。浄化せねば。)』


ゼウスが僕の前に浮きながら移動してきた。


『マスター、いけない。

その気持ちは、我がマスターとしての心意気に反する。己を蝕む。

私が居るのだ。共に頑張ろうぞ。』


光り輝くゼウスが手に乗ったことで黒い気持ちが収まった。


「………うん。」


僕は何てことを考えたんだ…。急に嫌な事を…。

ヨガミ先生は俯く僕と目を合わせるために屈んで頬杖をついた。ついでに溜息も吐いた。


「はぁ…何もお前が妬ましくて言ったわけじゃねぇぞ。ちょっと心を叩いただけだ。

お前の性格を知るためにな。」


「え?」


「お前は-…」


とヨガミ先生が何か言いかけたその時、ドシンドシンと地面が揺れる。音の割に揺れは小さめ。

廊下から錬金術部屋に向かってきている。


「な、何だ?」


音が完全に生徒たちの居る後方ではなく、前方の扉の前で止まった。

ヨガミ先生程では無いが扉を勢いよく開けて駆け込むように


大きなホワイトライオンに跨ったスピルカ先生と、その横でふわふわと浮かんでいるアストライオスが入ってきた。


「びゃーーーっ!!ライオンんんんっ!!」


「よっ!ちゃんと皆、ヨガミの言うこと聞いてたかー…って何でエクスだけそこで周りは壁際に密集してるんだ?しかもエクスの周りの薬品全部エリクサーじゃないか!そうだよな?獅子座レグルス?」


ライオンの鬣をもふもふしながらスピルカ先生が聞くとライオンは頷き、こちらに歩いてきた。


く、食い殺されるーーっ!!!


ライオンの凛々しい顔がすぐ目の前に迫った時、死を覚悟した。が、ライオンは下を向き、周りの蓋をした試験管の匂いを嗅いでいた。

そして「がう」と小さく鳴いた。


「やっぱりそうか!」


「あれ?」


僕を食べないの?


『マスター。今食い殺されると思ったろう?

私がマスターのピンチに何もしない訳無かろう。

その獅子座からは敵意を微塵も感じない。

それに教師が屑過ぎるだろう。』


た、確かに…。


「授業ヨガミに任せっきりで悪かった。

エクスと何かあったんだろ?後は任せろ!」


スピルカ先生がそう微笑んだ直後にチャイムが鳴る。授業が全部終わった。


「じゃあ任せたぞスピルカ、エクスは預かる。」


「え」


 預かる??


「おっけー。じゃあノート書けたら教室に戻ってSTするぞー!」


ライオンに乗ったままスピルカ先生とアストライオスは出て行った。

生徒たちもゾロゾロと前の扉や後ろの扉から出て行った。楽しそうに話しながら。


残ったのはあの5人とヨガミ先生と僕だけ。


「エクスは居残りで特訓だ。ヨシュア、もし錬金術を学びたいのなら今日はスピルカに聞いてみろ。アイツも教師だ。錬金術くらい余裕だろ。」


「!」


「もしかすると半分野郎…じゃなくてシオン=ツキバミ…せんせーに教えてもらえと言われるかもしれねぇけど。」


「シオン=ツキバミ先生って…

白黒頭でオッドアイ、和服の先生ですか?」


ヨガミ先生は嫌そうにヨシュアから視線を外す。


「あぁ。アイツ人に教えるのが上手いんだ。

 ムカつくけど。」


「わかりました!ありがとうございます!」


「エクス君!またお風呂一緒に入りましょうね!18時くらいに待ってます!ね、ローランド君!」


「あぁ!僕の麗しく美しい肉体を君に見せつけたいからね!」


シャル君とローランド君とお風呂…だとすると数時間。それまでに出来るようにしないと。

ローランド君の肉体美は興味無いけどお風呂は皆で入った方が楽しいのは知っている。


「あはは…うん。

それまでには出来るように頑張るよ。」


「エクス君。私達、お風呂一緒は出来ないけれど夜ご飯一緒に食べたいわ!ね、イデアちゃん!」


「うん!皆で食べた方が絶対に美味しいの!」


「という事だからまた皆で食べましょうね!

だから頑張って!エクス君!」


メルトちゃんとイデアちゃんが眩しい笑顔を向けてくれた。これは頑張る他ないな。


「うん!!ありがとう!」


「お前ら、スピルカが待っているはずだ。

急げよ〜」


「はーい」


と返事して5人全員が僕に頑張れと手を振ってくれた。始終を見ていたヨガミ先生はふっと微笑んだ。


「良い友達じゃねぇか。」


「はい…本当に。」


笑ったヨガミ先生を見てるとこう…何か…思ったことがある。2人だし聞いちゃお。


「ヨガミ先生って家族の中でお兄ちゃん、でしたか?」


そう聞いた瞬間、目を見開いた先生の顔から笑顔が消えた。


え?何?もしかして地雷踏んだ?

攻略本、ストーリーにはヨガミ=デイブレイクの事は重苦しい話とか書いてなかった。

なのに地雷が存在するのか?


『父上のマスター、その話は…』


「な、何かまずい事聞いちゃいました?」


珍しく、いや、初めてアポロンの顔から笑顔が無くなったところを見た。

どうやら地雷を踏んだことに間違いはないようだ。でもヨガミ先生は微笑んだ。



とても悲しそうな儚い笑顔だった。

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