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第179話『体術時々購買部』

最近寒暖差がひどいですね…。

体調が崩れそうです。

と言うより体調が良い日など無く酷さのベクトルの違いで生きてこれているくらいなのですが!

お互い、風邪を引かないように生きていきましょう!

前回のあらすじ


セヲ君が僕に謝ったよ…!?

びっくりしました。

けれど数日後、先生達が怪我した状態で教室に入ってきました。



怪我したであろう先生2人に驚きを隠せない生徒達はざわめきだす。

しかし先生は声を荒げず静かに諭すように口を開く。


「はーい、静かに。

俺らが怪我してることに疑問を抱いてるだろう?」


「これは俺らがガチ喧嘩しただけだ。

多少殴り合いに発展したからこうなっただけ。」


ヨガミ先生は淡々と言うけど本当に喧嘩したの?

教室に入ってくる時はいつも通りに感じたけど…。

でも確かに先生達は目を合わせず、必要事項以外全く喋っていなかった。

いつもなら目を合わせながら関係無い話までするのに。

そして必要事項を言い終わってすぐにヨガミ先生は退出した。


「はーい、じゃあ座学からでぇす。

お前ら筆記具と教科書とノートの用意しろよ〜。」


ヨガミ先生、スピルカ先生と喧嘩するんだ。

家族同然みたいなこと言ってたのに。

家族でも喧嘩することあるのかな。

あるのだろうな、僕が知らないだけで。

仲直り出来ると良いけど…。



先生達のこと考えててあまり授業に集中出来なかったなぁ。

次は実技だ。

スピルカ先生とヨガミ先生はいつも通りのまま。あれ?喧嘩したんだよね?


「じゃあ今日も身体を動かすぞ!

テストの時のペアになって〜!」


「ペアごとの間隔はめちゃくちゃ広く取れよ〜。」


ここ最近、実技で体術を学んだ。

何でも召喚獣に頼れない時の護身術の為に。

動きの基本は頭に入れたけど頭と身体がリンクしていないんだ。


ペアなのは毎回で渋々セヲ君の隣へ移動する。


「…。」


僕を一瞥して何も話さない。

良いけどね、それで。


「じゃあ召喚獣出して〜。」


何故?という疑問を持ちながらも相棒を呼び出す。


「ゼウス【summon】」


『私を呼んだな!マスター!』


「【summon】エレボス。」


『…』


ゼウスと正反対に相変わらずエレボスは喋らない。


「ほい、じゃあ紙風船配るぞ〜?

アストライオス。」


スピルカ先生に頷いたアストライオスは指を鳴らした。すると僕達の目の前に畳まれた紙風船何枚かを持った小さな羊が現れた。

かっ可愛い…!


「ありがとう。」


受け取ってお礼を言うと羊は嬉しそうに『めっ!』と小さく鳴いて笑って消えた。


「これを膨らませて召喚獣の頭に付けてもらえ〜」


言われた通り紙風船を膨らませた後、ゼウスに渡した。


「頭に付けてだって。」


『む…私の美しさが損なわれそうだがまぁ良い。ほい。』


何もしてないのにゼウスの艶さら髪にくっついた!?


『静電気を利用している。』


あぁ、化学…。


「召喚獣の紙風船を割るのが目標だ!

勿論魔法禁止!召喚獣は力加減間違えないように!」


『ふむ、なるほどな。』


「ちなみに自分の召喚獣だけとは言っていないからな。」


…つまり僕がエレボスのを狙っていいという事だな。

ちらりと彼を見ると目が合った。

軍帽を深く被っているが長い睫毛から覗く瞳は鋭く、恐怖を覚える。

セヲ君と似てる…。


『さぁ、掛かってくるが良いマスター共よ。』


ゼウスの余裕そうな表情と声に勝ちたい気持ちが芽生える。


「ではゼウス様、お相手願いましょうか。」


「え。」


セヲ君、ゼウスとやるの?

ゼウスはニヤリと笑う。


『加減はしてやるぞ?小童。』


「それは光栄。」


ニッコリと貼り付けた笑みを浮かべた直後、セヲ君は一瞬で距離を詰め長い足で蹴りを繰り出す。狙う先は頭…よりゼウスの顔面あたり。身体を反らすだけでゼウスは避ける。


『おい貴様!

私のイケメンフェイスを狙ったな!?』


「違いますよ。頭の通過点だっただけです。」


『よく言うわ。』


2人は目に見えないほどの速さで攻防を繰り広げている。つい見ていると肩を優しく叩かれる。振り向くとエレボスがやる?と言うような形で首を傾げていた。カッコイイ軍帽には紙風船がくっついている。


「じ、じゃあお相手お願いします!」


僕が言うとエレボスは頷き、足を少し開いた。

一応先生にふっとばされながら体術は学んできたから多少は動けるだろう。


「いきます!」


僕の攻撃は容易く露を払うようにさばかれる。ダメだ、衣服を掴むことすら出来ない。

手を出しながら打開策を考えているとエレボスが途端に距離を詰めてきた。

そしてすぐ、僕は後ろに倒れた。


「!?」


『…(ニコッ)』


いや笑顔向けられても…。

あ、分かった。さっき足払いされたんだな…。


「貴方のマスター雑魚ですね!」


『そう言う貴様は私に1度たりとも触れられておらぬなぁ!』


僕とエレボスは2人を見ていた。

相変わらずのセヲ君は攻撃をやめない。

ゼウスも反撃はしていないし触れさせない。

スキル物理軽減EXが発動してセヲ君が触れたら反撃を行ってしまうから。


「逃がしませんよ…!」


何とセヲ君がゼウスの腕を掴んだ。


『あ。』


ギリッと力を込められた事が攻撃と認知してしまったのかゼウスは腕を掴んでいたセヲ君を容易く持ち上げ地に叩きつけた。

掴まれていた腕を振り上げて叩きつけた…。

セヲ君別に軽い訳じゃないはずなのに…片手で…。


「ぐっ…」


流石のセヲ君も背中を強打したようですぐには起き上がれない。


『すまぬ小童!これでも加減はしたんだ!』


あれで?ちょっと地面ひび割れしてる気がするんだけど。


『私への攻撃が強ければ反撃の加減も難しくてな。お主、握力強すぎるぞ。』


ゼウスにも握力ゴリラ判定されてる。

でも召喚士が吹っ飛んだけどエレボス、静かだな。


『…(スン)』


めっちゃ真顔でスンとしてる。

仮にもセヲ君は契約者だけどな…。


「くそ腹立つ…!」


文句を言いながら起き上がるセヲ君。

召喚獣に吹っ飛ばされているのはどうやら僕達だけではないらしく、たった今ローランド君が宙を舞ったのが見えた。

あ、ヨシュアも吹っ飛んだ。

色んな人がぽんぽん吹っ飛んでいる。


「ゼウス!もう一度です。」


『何度でも来るが良い小童。

心をへし折ってやろうぞ。』


セヲ君の負けず嫌いが発動し、再戦が始まった。僕もエレボスから1本取らないと。


「エレボス、僕もお願い。」


『…(コクリ)』


その後、先生の合図が出るまで僕達が何度も吹っ飛ばされまくったのは言うまでもない。


「はぁ…はぁ…いっ、1本も取れなかった…。」


エレボスの衣服、1回しか掴めなかった。

最後の1回で掴んだら背負い投げされたから背中がジンジンと痛む。


『ふむ、こんなものか。まだまだだな。』


「チッ!」


セヲ君は不機嫌極まりない舌打ちをかまし、ゼウスを睨みつけた。


「ありがとう、エレボス。

今度は負けないからね。」


『…(ニコッ)』


笑ってくれたからどうやら受けて立つと言ってくれているようだ。


「は〜い、しゅ〜ご〜。」


スピルカ先生は僕達を集め、見回した。


「うん、流石に召喚獣の紙風船割れてないな。」


確かに、皆付いてる。


「殆どがタイマン仕掛けてただろうしな。」


ヨガミ先生は僕やセヲ君を見てそう言う。


「1人で召喚獣を相手にするのは流石に至難の業だ。」


まるで協力しろと言いたげだ。

僕はセヲ君と協力なんて出来ない。


「まぁまだ時間は有るから着実に学んで行こー!」


スピルカ先生に頷いた時、チャイムが鳴り響いた。



お昼休みは皆と食堂でご飯。

僕はハンバーガーとポテトのメニューにして席に着いた。すると左隣から声が聞こえた。


「隣、良い?」


「はい、どうぞ…」


げ。

返事をしてから気付いた。

声を掛けてきたのはレンだった。


「わ〜嫌そうな顔。

でも許可もらったもーん。」


席に着いたレン君は温玉のせのカルボナーラのパスタを乗せたトレイを置いた。

しかしそれには手を付けず僕の顔を覗き込む。


「エクス君、背中どうしたの?」


「どうってどうもしてないけど…。」


「痛めたでしょ。」


ギクッと身体が小さく跳ねる。

何で分かったんだ…?


「分かるよ、立ち方や座り方でね。」


何と恐ろしい観察眼だこと。


「よく見てるね…。

実技でちょっと。」


望まれた解答をしたはずなのに興味なさげに


「ふぅん…やっぱ神クラスも体術やらされてる感じ?」


と言う。

ちょっと腹立つ。


「その言い方だと天使クラスも?」


「うん。リーレイ先生ってのほほんとしてるけど普通に強いんだよね。」


ゼウスが強いって言ってたもんな…。

オペラ先生はワタワタしてそうだけど…。


「オペラ先生の代わりにミカエルがやってくれるんだけどまぁ力が強くて皆吹っ飛んでくんだよね。」


「あぁ…」


やっぱり召喚獣相手だと召喚士って簡単に吹っ飛ぶんだな…。


「レン君も吹っ飛ばされたの?」


「いや、俺実は足痛めててさ。

見学なんだ。」


レン君が足を…?


「やっぱり。」


僕の右隣のヨシュアが焼き魚の切り身を口にしてから横目にレンを見た。


「げ、休日任務一緒だったから分かった?」


珍しく嫌そうな感じを前面に出すレンにヨシュアは特に感情も無く口を開く。


「祈りの森の時からでしょ。」


「うげっマジで最初からバレてる!」


祈りの森って…結構前からって事になるぞ?

しかもヨシュアは気付いていたんだ。


「手当てしてないの?」


「湿布とかって匂いでバレるでしょ?

嫌だから放置してたら割と痛くなってきてさ。」


何でバレたくないんだろ。

それに…


「休日任務で聞き込みしたんでしょ?

歩いたんじゃないの?」


「うん、割と痛かった。」


よく平気な顔してたな。今も痛いだろうに。

あ、そうだ。


「購買部にミカウさんお手製の塗る痛み止めあるよ。勿論無臭の。」


「え?ホント?

エクス君後でちょっと付き合ってよ。」


え、普通にやだ。


「お願い!」


「しょうがないな…。」


お願いという言葉に気が付けば口から出ていた。


「やったぁ。じゃあ放課後よろしく〜。」


あぁ…約束してしまった。

まぁ売店くらいいっか。



錬金術が終わり、死にかけのヨシュアを引きずって教室に戻ってきた所で今日の授業は全て終了となった。


「エクスくんいるー?」


教室のドアからひょっこりと顔を出すイケメンに女子達がざわつく。

騒ぎになりそうだったから慌てて彼の元へ行って顔を引っ込ませる。

前世だったらアイドルになる為に生まれてきた顔面国宝って言われている人なんだろうな。腹立つ〜!!


「痛い痛い顔押さえないで〜。」


「煩い顔面国宝!!早く売店行くよ!」


「えっ?急に褒めてく…痛い痛い足痛いよ〜!

引っ張らないで〜!」



購買部に着くとレンが辺りを興味深そうに見回していた。


「わぁ…!あまり来てないから新鮮だなぁ。」


早く帰りたいから目的を果たさないと。


「痛み止めって何処だろうね。」


「え〜?折角だし他のも見ようよ〜。」


「僕は君に痛み止めの事を教えただけなんだけど」


「おや、宣伝してくれるとはありがたいね!」


いつの間にか目の前に購買部の店主、ミカウさんが居た。今日の狐の仮面は白色に金の模様が入っている。


「ミカウさん!」


「わぁ、いつの間に。」


「わぁとか言いながら顔は驚いていないね、レン=フォーダン君。」


「!」


名前を言われ、真顔になるレン。

ミカウさんへの警戒度が上がったようだ。

僕は気にせず用件を伝えて帰ろう。


「前に塗ってくれた痛み止めが欲しいんですけど。」


「あぁ、アレね。

ちょっと待っててねぇ。」


ミカウさんは背を向けぽてぽてと歩いていった。


「あの人って全然気配無いね。」


「いつも突然出てきて驚かせてくるんだ。」


「ふぅん…。」


「お待たせ〜。

はい、ミカウさんお手製痛み止め。」


ぽす、とレンの手にあの糊のようなスティックを置いた。


「糊?」


前の僕と同じような顔で同じ反応をしている。僕の感性がおかしい訳ではなさそうで安心。


「塗ってからのお楽しみさ!

ちなみに試し塗りのサイズもあるけど。」


「試し塗り…そっちにしようかな。」


「おっけー、じゃあ小生についてきて!」


あれ?これもしかして…


嫌な予感は的中し、ミカウさんが再び僕達に背を向け1歩足を踏み出した瞬間に周りが和の建物へと姿を変えた。


「え!?何これ転移魔法?!」


「僕、早く帰りたいんですけどぉ!?」

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