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第152話『悪魔の興味対象』

この話は…どこに向かっているんでしょうか…

自分の意に反して長くなっていく…(遠い目)


今更ですが、この小説は小さめのスマホを軸にしておりますので改行の場所などがおかしいかと思われます。今更ですが!!!お願い致します!!

前回のあらすじ


ネームレスの悪魔契約の内容次第で姉貴が本当に生き返ったかもしれない。

その可能性を、僅かだろうが信じる。



ネームレスの鏡に吸い込まれたエクス。

真っ白な空間に放り出された彼は怯えながら辺りを見回す。


「ここどこぉ…?」


ふと相棒が居ないことに気付き、声を上げる。


「ぜ、ゼウス!!何処にいるのー!?」


『此処だマスター。』


突如後ろから馴染みある声が聞こえ、


「ゼウス!!」


名前を呼び振り返る。


「えッ」


声はゼウスのはずだった。

しかし、目の前に立っているのはピンク髪の謎の男。

彼には2本の黒い角がある。


「……誰?ロキ?」


消えていた杖を顕現させ、

身を守るように構えるエクスを見て男は


「驚いたな。君、変な子だね。」


と話しかけた。

飄々としているようで何処か恐怖を覚えるエクスは

恐怖心を抑え込み敢えて強気に出る。


「ぼ、僕が聞いているんですけど。」


「あぁ、これは失礼。

僕はロキじゃなくて…えぇと…あ、そうだ。

ディスト。ディスト=マモン。」


「な、何で名前なのに考えたんですか。」


「ごめんねぇ?僕長生きでさ。

誰がどの名前をくれたか忘れちゃうんだ。」


「名前をくれた…?」


「全部言わなきゃ分かんない?」


ディストは左の人差し指で己の耳を指す。


「ピアスがいっぱいで耳が…尖ってる。」


エクスは少し考え、やがて答えに辿り着く。


「ま、まさか悪魔!?」


答えに微笑み、拍手を贈るディスト。


「ぴんぽーん!やっと気付いたね!

アムルちゃんはすぐ気付いたよ〜?」


「そうだアムルさん!!

アムルさんを何処へやった!?」


「此処とは違う鏡の部屋さ。

やっぱり彼女は強いね!」


「彼女を返せ!!」


「嫌だと言ったら?」


「奪う!!」


杖をゼウスの神杖に変え、先をディストに向ける。

エクスの魔力量を直ぐに理解したディストは焦りの表情どころか不敵な笑みを浮かべる。


「おやおや、相棒が居ない君は果たして僕に敵うのかな?」


「!」


「そして君、普通の人間じゃないでしょ。」


「な、一体何を…」


動揺したエクスに間髪入れずに揺さぶる。


「この部屋はね、人の思い出したくない記憶を呼び起こし、再現する部屋なの。

つまり、君のトラウマを追体験するっていうことなんだけど…」


笑みが途絶え、無表情のディストの圧に思わずたじろぐエクス。


「思い出したくない記憶が無い。

記憶の鍵を持ち合わせず全部覚えているんだ。」


「!?」


「強いて言うなら赤ずきんちゃんの死。

君にとっての深い心の傷は最近出来たもの。

覚えてるよね、それは。

でも入学式の日の記憶から始まってそれ以前の幼少期の記憶は全て無い。」


「だ、だから…?」


「君、幼少期どうやって生きてたの?

エクス=アーシェ。」


睨みつけるような鋭い視線に背筋を凍らせるエクス。

しかし全身に力を入れて声を荒らげる。


「こ、答える義理はない!」


「僕が見てきた人間の中で1番変な子だ。

覚えていないとかじゃないもん。

無いんだもん。過去そのものが。」


エクスは見透かされた事で徐々に焦り始める。


(そりゃ僕はエクス=アーシェになったんだもん!!

僕の過去だってあるよ!!

でもそれはエクスじゃないから!!

僕そのものの過去だから無いんだって分かってるよ!!)


「あ!もしくは悪魔にすら読ませないスキルとかあるのかな?」


「…」


「僕的には…

過去を経験していないんじゃないかなって思うんだよねぇ?」


「ッ!!」


仄かに赤く光る目に思わず息を呑んでしまったエクス。


「ありえないとか思ったけど案外図星かにゃー?」


ディストが急に目の前に現れ、

半ば反射的に杖を構える。


「違う!!…っ【天帝神雷・天誅】!!」


いきなりの至近距離攻撃魔法にも関わらずディストはひらりと避ける。

息を荒らげるエクスを見たディスト。

彼は新しい玩具を与えられた子供のように笑みを浮かべる。


「面白ーい!!

そんな人間いるんだぁ!!

ねねね、君何処から来たの!?」


「う、うるさいうるさい!!

僕は!!エクス=アーシェなんだ!!」


「それは知ってるよぉ。(お?彼の精神干渉の糸はまだ切れていないな。ラッキー♪)」


「【王の凱旋(ロスト・アトレーテス)】ッ!!」


杖から発せられた眩い光が辺りを包む。

その後聞こえた音は鏡が砕ける音だった。

ディストはジャケットのポケットに手を突っ込んでエクスへ嫌そうに微笑む。


「光属性魔法、ね。エクス君強いねぇ。

やだなぁ。痛い思いしたくないなぁ。」


「っ…(全て避けられてる!)」


「じゃあ僕の番ね!

さっきの魔法のおかげで君の力と魔力量をコピーした鏡像を作れちゃうよ!」


ディストが指を鳴らした途端、虚無からエクスの影が立体化する。


「ぼく…!?」


「これは見た目だけで攻撃出来ないんだ。

本命はこっち。」


彼が手を伸ばした途端、先程の鏡像が砕けた。


「ッ!?」


理由を理解したディストは思わず息を呑む。


「………マジか。(僕が出会った人間の魔力量最大値で設定してあるのにそれを簡単に…)

思ったよりかなり化け物だなぁ。

君、こっち寄りだね。」


「お前なんかと一緒にするなッ!!」


「きゃーこわぁい!

(なんて、精神攻撃して動揺させて魔力量と攻撃威力を落とさせてから鏡像を作るか。)」


笑みを浮かべたディストの企みが動き始める。

汗が止まらないエクスは神杖を握りしめる。

エクス自身、何故こんなにも動揺しているかは不明なのに止まらない汗に多少の恐怖を抱いているのを悪魔は見逃さない。


「君、人間なんかじゃないんだね。

僕と同じ匂いがする。化け物って奴のね。」


「…」


「あらら、だんまり?お話しよーよー。

僕は彼と契約してこの世界に留まれているから時間って案外限られてるんだよねぇ。」


「…」


「悪魔って契約無しに現界しても実態が無いというか普通の人間に干渉出来ないからさ、レアなんだよ?

お互いにとっても。」


「……」


「気にならない?どんな契約をしたのかとか。

代償は何か〜とか。」


「!」


僅かな反応を見せたエクス。

ディストは好機と捉え餌をまく。


「今、契約内容を知れれば彼の目的が分かるとか思った?」


「そ、それは…」


「いいよ、話してあげようか?

契約内容をバラすなとは言われてないしさ。」


「え。」


「その代わり、君の事教えてよ。

気になって気になって仕方がないんだ!」


エクスの返答を待たず、

悪魔は楽しそうに話し始める。


「僕ね、彼と契約してるんだけどさ?

その契約は彼が赤ちゃんの時からなんだよ!」


「あか…ちゃん?」


「そう!赤ちゃん!

びっくりするよねぇ!」


あははと人間を嗤う悪魔の声をよく分からない感情のまま聞くことしか出来ないエクス。

その顔が好きだと言うような顔で悪魔は話す。


「彼自身儀式の材料の1つだったんだ。

僕は人間の肉や臓器が好きでね。

肉で良かったんだけどまさかのナマモノ。

皆、律儀に儀式方法守るから流石に初めてで驚いたさ!」


「ぁ…ぇ…」


「儀式はカルト教団が行ってさ。

そのリーダーが彼の母親だったよ。」


「!」


「彼女は、悪魔の僕に生まれたばかりの自分の子供を簡単に捧げたのさ。

“新鮮な方が良いかと思って”だってさ!」


悪魔の言う事は真実かは不明。

しかし嘘かも不明。

ゲームや漫画の話で見る悪の人物。

それがこの世界で現実として存在しているかもしれない。


「酷い…」


勝手に零れた言葉は話し方によってか、

エクスがディストの話を信じ始めていた証拠だった。


「そう?悪魔達と契約を結ぶ輩なんてこんなもんだよみーんな。私利私欲の為に同族殺すよ?」


「それは…」


「契約内容は…あ!そうだ。

追体験した方が早いな。

おいで、エクス君!」


手を伸ばしてきたディスト。

ネームレスの過去を知ることが出来れば

魔女の(ヴァルプルギス・)(ナハト)について分かることがあるかもしれないと手を取ろうか迷うエクスに精神干渉を試みる。


「僕は、君との戦いを望んでいないよ。」


真実か嘘か知る術の無いエクスは精神干渉もあり、

無意識に疑う事をやめてしまい甘い誘いに手を伸ばそうとした。


「良い子だね。(精神干渉の糸が張り詰めているのが分かる。あともう少しで…)」


お互いの指先が触れる寸前


『我がマスターに触れるな下衆が!

【天帝神雷・天誅】!』


「うわぁっ!?」


天から降ってきた声と雷龍。

慌ててエクスから飛び退くディストとエクスの間に、神々しく降臨する者が1人。


『マスターと私を離した重罪。

貴様は万死に値する。

死して輪廻の輪から外れよ。』


我に返ったエクスは相棒の名を呼んだ。


「ゼウス!!」


「元々外れてるって。知らないけどさ。

…よく此処が分かったね、最高神ゼウス。」


『ふん、我はマスターの召喚獣ぞ。

分からぬ訳が無い。』


「とか言って魔法使わなきゃ分からなかったくせに。」


『雷の糸を無数に紡いだだけでこんな造作もない事は魔法ではない!』


「(何でムキになってるんだろ…。)」


エクスは思いを飲み込み、ゼウスの横に立つ。


「僕は戦うことは望んでないんだけどなぁ」


言っていることとは裏腹に手を伸ばし、

金色の縁がある鏡を顕現させ、ゼウスを映す。

映されたゼウスは眉間に皺を寄せつつ、

迂闊に手を出さずディストを睨む。


『我の美しさについては己が1番理解しているが?』


「アー…ウン。シッテルシッテル。

さっきの天帝神雷凄かったからさ。

召喚獣の鏡像ならいけると思って。」


「…?

(召喚獣の鏡像?言い方が何か引っかかる。)」


「目には目を、歯には歯を、

最高神には最高神をってね!」


目の前の鏡が勝手に砕け散り、

破片が意志を持ったようにひとつの形を作り始め、

とある人型を創り上げた刹那


破片は粉々に砕け散り、

粉と化した破片は辺りに散漫する。


「…………。」


この出来事が予想外だったのか、

ディストは目を見開き停止する。

ゼウスは腕を組み、悪魔を嘲笑した。


『どうした?

腕が捥がれたような顔をして。』


「(例えが惨いな。)」


「………いやはや驚いた。

2人揃って鏡像の上限を超えるとは。」


「鏡像の…」


『上限…?』


2人揃って首を傾げるのを見て、

呆れ顔になるディストは

やれやれと両手を挙げた。


「こっちの話。やっぱ戦いはやだねぇ。

手っ取り早いし、こうしようか。」


また新たに鏡を顕現させ、

ゼウスとエクスの前に向ける。


『邪魔くさいだけだろう。』


ゼウスが指を鳴らした直後、鏡は砕け散る。

ゼウスが前に立った事により、

エクスに破片が飛ぶことは無かった。


が。



「砕いたね、それ。」


『何?』

「え?」


ディストの笑みが最後、

真っ白だった一面が突如真っ黒に変わる。


『私から離れるなマスター。』


「う、うん…。」


ぎゅっと抱き締められたエクスだったが、

ゼウスの腕の中で突如微睡んでしまう。


『マスター?おい?マスター?』


「ん……」


『マスター!?エクス!?』





「ふふっ…夢で悪魔ぼくと会おう?エクス君。」

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