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第129話『絆に亀裂を』

多忙で中々書けない日々が続きもどかしいです…!

おみくじ大吉だったのに悪いことばかりが起こって萎えております…。よろしくない1年にならないよう祈りながら日々を生きます!

前回のあらすじ


え、何があったんですか?



ゼウリス魔法学校校舎内。

昼休憩になり人気のある廊下にて、

クリム=アルカンシエルは見覚えのある人影を発見し声をかける。


「あ、リリアンさん!」


声を掛けられたリリアン=ナイトイヴは振り返り


「クリムさん!こんにちは。」


と礼儀正しく挨拶をした。

クリムも慌てて頭を下げ、リリアンへ問う。


「こんにちは!

あ、あの1つお話しても良いですか?」


「えぇ、勿論。」


「今日レン君がお休みしてて…リーレイ先生が私にだけ公欠だって教えてくれたのです。」


「公欠ですか。

クリムさんだけにお教えすると言う事は…」


「はい…。

多分会議での事が関わっているのでは無いかと思って…」


「有り得ますね。

神クラスの皆さんはどうなのでしょう。」


「クリムもそう思って兄様にこれから会いに行くのです。リリアンさんも宜しければご一緒にいかがですか?」


「お誘い有難うございます。

その件なのですが…」


とリリアンがアルファクラスの扉をちらりと見やると千草色の少女が手を振ってリリアンの元へ駆けてきた。


「リリアンちゃんお待たせ〜!」


「こちら私の友人、テト=カムイさんです。」


リリアンからの紹介で目を合わせるクリムとテト。

どうすれば良いか分からないクリムを見て


「可愛い子!こんにちは、テト=カムイです!」


と笑顔で接するテト。

クリムも慌てて頭を下げる。


「こ、こんにちは!

クリム=アルカンシエルと申します!」


「クリムさん、彼女とご一緒しても宜しいですか?」


「は、はい!是非!」


ブンブンと頭を上下に振るクリムを見てクスクスと笑うテト。


「っふふふ…動きも可愛い!」


そんなテトにリリアンは話しかける。


「テトさんはアーシェさんとお話されたのですよね。」


「うん、起こしてくれて話をしたの。

オロチが魔導書から出なくなっちゃったのも助けてくれたんだ。」


「く、クリムもです!

ヨフィエルを助けてくれました!」


3人は顔を見合せる。

最初に口を開いたのはリリアンだった。


「アーシェさんとゼウス様、流石ですね。

彼等なら何かあっても大丈夫だと思えます。」


「そうだね。

何だろ、上手く言葉に出来ないけれど任せられるって思えるよね。」


「兄様も信頼してました!

早く会いに行きましょう!」


「そうですね。」 「はーい!」



森の主の蔦の猛攻をかろうじて避ける僕は身体能力高いんじゃないかと錯覚する。

森の主は僕達が避ける場所の地中から素早く蔦を生やしたり、別の場所に生えていた蔓を叩きつけてくる。

それを避けながら森の主が無くしたという生命の核を探すために光の柱の逆方向へと走る。


「うわっ!?」


行動を先読みされ行こうとした場所から鋭く尖った蔦が生えてきた。


『マスター!』


「しっ死ぬって!!」


ゼウスには森の主の足止めをしつつ守ってもらうように伝えた。だからゼウスが攻撃しやすいように下りて自分で走る事にした訳なのだから頑張れ、僕!


『マスター、ヘルメスを呼べ!』


「えっ何で!?」


『彼奴には足を速くする魔法が使える!』


「もっと早く言ってよ!!

来てヘルメス、【summon】!」


僕と並行して浮いている魔導書が勝手に開いて輝き、ヘルメスを呼び出す。


『お呼びですか?』


「僕にっ足が速くなる魔法かけて!!」


『は。【揺籃からの脱走】』


素っ気ない返事の直後、僕の身体がふわりと軽くなるように感じる。

50メートル10秒だった前世では考えられない速度が出た。


『では戻ります。』


「え?」


ヘルメスは自分で魔導書に戻ってしまった。


『怒らないでやってくれマスター。

アイツはあぁいう奴なのだ。』


「はぁ…はぁ…っ分かってるよっ」


でもこのまま逃げ続けるのは無理だ。

生命の核をこの広い森でゼウスと2人で探さないといけないのに、追いかけられながらじゃ…それに、核がどんな物か知らない僕らはまともに探せない。


『ふっ』


ゼウスがいきなり雷を森の主に当てた。

痛々しい悲鳴を上げながら倒れる森の主。


『雑な時間稼ぎだ。

今のうちに行くぞマスター!』


「う、うんっ!でもっ何処に!?」


『追跡を逃れ、一旦身を隠す。』


「分かった!」


ゼウスに導かれ、僕は草木をかき分け右に逸れた。

暫く走り続け、ヘルメスの魔法が解けると同時に僕の体力は底を尽きた。


「はぁっ…はぁっ…も、もう暫く走れない…。」


『よく走ったなマスター、偉いぞ!』


「もう死にたくないからね…!」


『…うむ…。』


ゼウスは僕の息が整うまで待っててくれた。


「お待たせゼウス…ってどうしたの。」


ゼウスが訝しげに僕を見ていた。

そして何か考えるように僕を呼ぶ。


『エクス。』


「な、何?急に。」


『私は決してエクスを1人にしない。

何があろうと、絶対にその手を掴む。』


「…?うん、一緒にいてよ。」


急にどうしたんだろ?変なゼウス。


『ノイズの時のマスターは精神干渉としても見るからにおかしかった。』


「!」


あれは…前世の僕は周りに嫌気が差しても直接的な復讐はせずに独りで死んだから…なんて言っても誰も信じてくれないだろうし…


信じてもらっても困るし。



『なぁマスター、1つ尋ねたい。』


「何を?」


ゼウスは僕を真っ直ぐに捉え、徐に口を開いた。


『マスターは1度死んだような発言を複数回した。

それは誠か?』


「はぁッ!?」


な、何でゼウスがそう聞くんだ?!

急いで取り繕っておかないと!


「し、死んでたら此処にいる僕は何なのさ?

ゼウスが許さない死者蘇生とか言うの?」


『いや…ハデス兄様が何も言っていなかった所を見るにそれは無いな。』


上手く誤魔化せたかな…?

もっと言おう。


「僕は、エクス=アーシェは今をちゃんと生きてる。

それはゼウスが1番分かってくれてるでしょ?」


ゼウスは僕から目を逸らし、納得いかない顔で頷いた。


『……すまない、変な事を聞いた。

忘れてくれマスター。』


「いいよ。あの時のビンタでチャラね。」


『それは悪かったと思っている…。』


僕達は気配を消しながら、足音に気をつけながら歩き始めた。



ゼウス、絶対に疑ってる。

もし前世の事を伝えてゼウスなら信じてくれるかな。

でも話したから何だ。マスターがおかしくなったと思わせるだけだろう。


それに信じてくれて、だから何だ。

前世の僕は死んだ。

でも今こうしてエクス=アーシェとしているんだ。

死んでない、生きてる。


『マスター。』


「っ?」


横並びではなく、僕の少し後ろを浮いていたゼウスに呼びかけられ振り向く。

ゼウスの顔は寂しそうだった。


『隠し事なんて悲しいではないか。』


その言葉に口から心臓が出そうになる。


「うぇっ?」


な、何でわかった?


「隠し事なんか…」


でも口から勝手に出る嘘をゼウスは見下げる。


『お主の感情など手に取るようにわかる。

私は最高神である前にマスターの召喚獣だぞ。』


「ぁ」


見抜かれた事により僕の頭は真っ白になって言葉が出なくなった。

こんな僕を見て、大きく細長い手で僕の頭を撫でるゼウス。


『良い、マスターが話をしようと思った時に話してくれ。』


「…。」


ゼウス、声優しいけど怒ってる…。

あ…僕が嘘吐いてるって思ったのこんな感じだったのかな。

でも僕は意気地無しで謝ることも、ゼウスを見る事も、気まずくて出来なかった。


ごめん、いつか話すから…。

今じゃないんだ。


でも、僕がちゃんと答えないせいでゼウスとの間に気まずさを作ってしまった。

どうしよう、僕のせいだ。

僕がまた人を不快にさせた。また、また…!


『っ!』


ゼウスの息を飲む音が聞こえたその時、


「痛っ!!」


僕はゼウスに強く突き飛ばされた。



「んぁっ!?」


「えっ!?」


オレの目の前に驚いたお顔のディアレスさんがいきなり現れました!

彼の後ろからオレンジ髪のトール様が顔を覗かせます。


『む、アルテミス…だったか。』


『あら、トール様!』


「ディアレスさん!」


「おぉ!えー…あー…エシャロット!」


「それはお野菜です!

オレはシャーロットです!」


「悪い悪い。」


「ディアレスにしては惜しかったと思いますよ。」


右前から大人びた声…この声は…


「ユリウスさん!」


「シャーロット君。

お元気そうで何よりです。」


中指で眼鏡を押し上げたユリウスさんは横に居たラジエルと微笑みを交わしていた。

そんな中、ディアレスさんがユリウスさんに問いかける。


「なぁユリウス。」


「はい?」


「これ何?」


これ、と仰いながら指差すのは光の柱。

アルテミスが言うにゼウス様の雷らしいですが…


『マスター、言ったろう。

ゼウスの魔力を感知したと。これは雷の柱だ。』


ユリウスさんの代わりにトール様が説明なさるとディアレスさんは首を傾げる。


「そうだっけ?」


『はぁ…。』


あぁ…頭を抱えてしまいました。

ユリウスさんはクスクスと小さく笑ってからオレを見ます。


「レン君とヨシュア君も此方を目指していると思います。なのでその間にお互い先程の事を話しませんか?」


「は、はい!」


「おー…俺は喋るカラスに会ったぞ。」


え、ディアレスさんも…?


「おや、奇遇ですね。私もです。」


「ユリウスさんも…?」


「その感じだとシャーロット君もですね?」


「は、はい。

オレも喋るカラスの大群に追われました。」


「「大群…?」」


その反応を見るに皆さんは1羽ずつだったのでしょうか。


「オレの事を女性と見間違い、ライアー様の花嫁と呼ばれました。」


「花嫁ねぇ…俺は女を探してるって話だったぜ。」


「私もです。まさか君の事だったとは。」


薄ら笑いを浮かべたユリウスさんの目は面白がっているように見えます。


「オレ男なのに…。」


まだまだ鍛え方が足りないようですね…。


「ま、こうして合流出来た訳ですし結果オーライですね。」


『ねぇねぇラジエルのマスター。1つ良いかしら。』


アルテミス?


「えぇ、答えられるものならば何なりと。」


『この光の…雷の柱はパパのなんだけどパパは近くに居なかったの。どういう事かしら。』


ユリウスさんは顎に手を当て目線を下げる。


「ふむ…」


そして数秒後に顔を上げ


「何でもありですからねあの最高神様は。

女神アルテミス、貴女の姿が見えたのかも。」


『えー?

私からパパは見えなかったけどなぁ。』


そういえばアルテミスがパパ助けてと言ってすぐに柱が出来た気がします。


「アルテミスの声がゼウス様に届いたのかもしれませんよ。」


『そうなの?シャル。』


「確証はありませんがタイミング的にはありえるかと。」


『パパ…!』


アルテミス、とても嬉しそうです。

本当に凄いですね、ゼウス様。

ゼウス様と言えば…


「エクス君とゼウス様は結局どちらに居るのでしょう?」


オレが問いかけるとトール様が口を開く。


『私の感知能力の範囲が狭まってしまったことにより現在の位置を探ることが不可能になった。』


そんな…じゃあエクス君達を探せない?


『ただ、この柱に向かう直前…最後に感知したのは真逆…つまり私達の逆方向だ。』


「おや、柱を立てたのに己が離れるとは。

森の主に追われているかもしれませんね。」


「もしかしてオレ達の方へ向かわせないために…?」


オレの呟きに頷くユリウスさん。


「えぇ、エクス君ならやると思いますよ。」


「そうですね…。」


絶対に助けますから…エクス君、ゼウス様、どうかご無事で!


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