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第128話『光の柱の道標』

前回のあらすじ


森を変な風にした犯人、ノイズが僕らの前に現れて魔女の夜ヴァルプルギス・ナハトという組織の名前を教えた。

更には彼の相棒がシャル君を花嫁にするというけしからん事を言いました。

絶対許さないからな!!



『うわぁん!全然キリが無いわぁ!』


魔法を当てても、ぐにょって気持ち悪く歪んで元通りに戻っちゃう!

シャルだけ先に行かせて…ダメ、カラスは私なんて無視してシャルの方行くだろうし…。


こんな時パパだったらどうする?

多分指パッチンで雷ドーン!よね。

私そんなこと出来ない…。どうしよう!

うぅうう…っ


『パパ助けてぇええぇえっ!!』


「あっアルテミス!?」


『私、シャルの召喚獣なのに何も出来ないよぉっ!!

そんなのやだよぉ!!』


「そ、そんなことありませんよ!

ほらアルテミスが箒を速くして下さっているから逃げれています!」


『しゃるぅう〜っ!

私に何かあっても貴方だけは逃げてね!

私は召喚獣だから貴方さえ無事なら大丈夫だから!』


「…」


あら、反応無いわ。聞こえていないのかしら。

それとも…


「っ!アルテミス、左!」


『えっ!?』


シャルに言われて左を向いたと同時にカラスの爪が私の左腕を掠める。


『痛っ!』


「きゃあっ!!」


私が集中を乱したせいで箒の運転が悪くなり、シャルは悲鳴をあげて前につんのめった箒から手を離して落ちてしまった。


『シャル!ごめんね!!』


「お、オレは大丈夫です!が…」


後ろからのカラスの大群がもうすぐそこまで迫っているわ!け、結界張らないと!


あ、ダメ…これ、間に合わな…


[ぎゃあァアッ!!]


『え』「え?」


夢かしら。目の前に大きな光の柱が立ち上って全ての攻撃を避けていたカラス達を焼いているわ…。


「これ、アルテミスが?」


『わ、私じゃないわ。それによく見るとこれ…雷だわ。シャル、触れちゃダメよ。』


「は、はい。

近くに居るだけで肌がパチパチします…。」


シャルったら目をきゅって瞑って可愛いっ♡

じゃなくて。雷って事はもしかして…


『パパかなぁ。』


カッコイイなぁ…。シャルも隣で頷いていた。


「ゼウス様なら有り得るかもしれませんね。

アルテミス、追手も居ませんし少し休みませんか?」


『そ、そうね。シャル、怪我したとこ見せて。

治すから。』


シャルは可愛い顔で首を傾げる。


「怪我なんてしてませんよ?」


あ、嘘吐いた!


『私知ってるんだから!

それにまたいつカラスが来るか分からないんだから備えとかないと!』


シャルは良い子だから何も悪くないのに


「…はい、ごめんなさい。」


と謝っちゃうのよね。


『謝らないで。さぁ、手当てするわよ〜!』


そういえば森の動物さん達が居ないわ。

パパのマスターのお陰かしら…。



「なぁトール、本当にこっちか?」


『本当だとも。だが瘴気は濃くなる一方で時間が無い。魔力を惜しまない方が良いかもしれん。』


つまり使えってことか。


「じゃあ箒で…」


『馬鹿者。マスターのスピードでこの森を駆けたらコントロールの悪さのせいで秒速で枯れ木に正面衝突するだろう。』


確かに。


「じゃあどーすんだよ。

さっき空飛べなかったじゃねぇか。」


『それは…』


ドォンッ!!


「な、何だぁ??」


『マスター、アレが見えるか。』


「んぁ?」


トールが指差す方向は少し明るい。

けどダメだ、周りが黒紫色になってて見づらい。


『ゼウスの魔力を感知。道標やもしれん。』


「じゃあ行くぞ。意味も無く立てねぇだろ。」


『了解した。』



周りが見にくくなってきましたね…。


『!』


私へと迫っていた動物にいち早く気付いたラジエルが風の刃で攻撃し、難を逃れた。


「ありがとうございます、ラジエル。」


『♪』


まずいな、奇襲を仕掛けられても対応に遅れる気がする。私がこれならあの子達は…


「いや、それは下に見過ぎか。」


『…?』


「あぁ、こちらの話です。」


ラジエルに微笑んだ瞬間、轟音が響き渡る。


「!」 『!』


何でしょう、今の音。不思議と悪いモノではない気がする。今ならいけるか…?


「ラジエル、この森の上空へ行って欲しいのです。」


『!』


先程、上空を目指したら巨大な蔓が天井となり攻撃はして来ないものの行く手を阻まれましたからね。

ワンチャンあるかもしれない。


ラジエルは羽ばたき空を目指す。


『…』


しかし先程と変わらず空が蔓で塞がってしまった。


「全くどんな感知機能があるのやら。

さ、走って行きましょう。」


『…。』



「プロメテウス、シャルの魔力は?」


『感知出来ねぇよ!

何処に居るのかもわからねぇ!』


「…」


有耶無耶に走ったって体力と魔力を減らすだけ。

でも場所が分からないんじゃどうしようも…


『…なぁマスター。アレ何だ?』


プロメテウスが指を差す場所には明るく光る拳程の大きさの白い玉が浮いていた。

白い玉の外側には瘴気のようなものがまとわりついているように見える。


「何コレ。」


『分かんね。ただ無数にあるぞ。』


「え?」


確かにバラバラの位置に結構浮いているような…


「壊した方がいい感じ?」


『うーん…やってみっか。』


プロメテウスは銃で白い玉を撃ち抜いた。

呆気なく穴の空いた玉はパリンと硝子が割れるような音と共に消えた。


『消えたぞ。』


「消えたね。」


壊して良いものなのかな。

もし森の大事な何かだとしたら…



まぁいっか。


どうせこの森ダメになるし。

って言ったらエクスは怒るかな。悲しむかな。

でも謝れば許してくれるよね。



「全て壊そうプロメテウス。」


『いいのか?』


「大丈夫でしょ。皆が何とかしてくれる。」


『他人任せかよ。ま、同感だけどな。

っしゃ!やるぜマスター!』


「うん、俺もやる。」


杖を銃へと変えた直後、突然大きな音が辺りに響き渡った。


「…?」


『…オイ、マスター。アレ見えるか?』


プロメテウスが指差した場所には光の柱のようなものが地面から出ていた。


「うん、見えるよ。」


『アレからゼウスの野郎の魔力を感じる。』


「マジか…!エクス達が何か示しているんだ!

急いで向かおう!」


『おうよ!ただ…』


「玉を全部壊してから、ね!」


『分かってんなら何も言わねぇ!!』



「ルシファー、これ今どんな状況?」


『レン、その質問に必要性を感じませんよ。』


可愛げ無いなぁ。

確かにその通りなんだけど。

まさかカラスの次は不死身の動物部隊に囲まれるとはね。


「どうせモテるなら人間が良いなぁ。」


『どうしますか。』


「うーん…不死身じゃなきゃ相手するんだけど。」


『不死身ですね。』


「不死身だね。」


困ったな。こっちには赤ずきんちゃんが居るってのに。何処か一方の道を切り開いて走るのが最善か?でもカラスを見失ったのにシャル君の方向なんて…


その時、近くで雷鳴が轟いた。


「わっ!吃驚した…」


『レン、あれです!』


俺らの後ろを指差すルシファー。

少し遠いそこには光の柱が現れていた。


『ゼウス様の魔力、感知。

あちらへ向かう事を推奨致します。』


「エクス君が居るのかな。シャル君もそこに居るかもしれないし…何にせよ行くべきだね。」


「凄い音…!おにーちゃん大丈夫?」


ルシファーの翼の中から赤ずきんちゃんの声がする。


「大丈夫だよ。

俺達の味方が頑張っている音だから!」


「そうなんだ…!」


向かう先は分かった。

だから必要最低限戦って光の柱へ向かう!


「行くよルシ」


杖を構えながらルシファーの名前を呼ぶと、目の前の鹿が苦しそうな呻きを上げて倒れ込んだ。まだ何もしてないのに。


その鹿を始まりに次々に倒れる動物達。

倒れた彼らは起き上がることもなく、動きを停止させていた。


「どういう事…?」


ルシファーが鹿に近づいて観察し始めた。


『生命活動停止、確認。死んでいます。』


「は…?」


不死身だぞ…?何で死んでいる?


「ルシファー、冗談だったらやめてよね?」


『レンは私が冗談を言える天使だとお思いで?』


「それはないね。ごめん。」


『…』


何でちょっとムスッとしてるんだろ。

本当の事なのに。


『倒れている全ての動物は皆、生命活動が停止。

もう起き上がることは無いでしょう。』


「何でまた…

まさか不死身が嘘だったとか?」


『いえ、これまで退けてきた魔物達は確かに不死身でした。細胞が死亡している所を見るとどうやら生命の核が壊れたようです。』


生命の核?


「その事、光の柱に向かいながら教えて!」


『承諾。』


俺とルシファーが踵を返した時、ルシファーの翼から赤ずきんちゃんが飛び出した。


『!』


「赤ずきんちゃん!」


「…」


赤ずきんちゃんは倒れて動かなくなった動物達を絶望した顔で見ていた。

こういう時、何て言えばいいんだろう。

何も言わない方が正解なのかな。


「…みんなぁ…」


彼女は大きく息を吸い両手を強く握りしめた。


「たくさん遊んでくれてありがとう!

いっぱい、いっぱい優しくしてくれてありがとう!

楽しかった!嬉しかった!寂しくなかった!」


あぁ、この子は強いな。大粒の涙を零しながら、嗚咽しながら別れとお礼を告げている。


「皆のこと、ずーっと大好きだよ!」


言い終わったのか俺の方へ向く赤ずきんちゃん。

弱々しく笑った後、直ぐに泣き顔へと変わる。


「偉いね。」


「うぅう…ふぇえ…っ」


子供の泣き止ませ方なんて分からない。

だからシャル君のように彼女を抱き寄せ、優しく背中を摩った。


「頑張ったね、偉いよ。」


『レン…』


ルシファーは時間が無いと言わんばかりに俺を呼ぶ。


「分かってるよ。」


『…』


赤ずきんちゃんは早く泣き止もうと必死に涙を拭った。


「ご、ごめんなさ…っ」


「何で謝るの。良いんだよ、

こういう時は泣けばさ。ね、ルシファー?」


『はい。人間の幼子は泣き、強くなる者です。』


「な、泣かないもん…!もう泣かないもん…っ」


涙零しながら言ってもなぁ。


「じゃあルシファーのフワフワに戻って動物の皆を助けてあげようね。出来るかい?」


「で、出来る!」


「よく言った。ルシファーお願い。」


『承諾。こちらへ。』


ルシファーの翼に包まれた赤ずきんちゃんを確認して俺も走り出す。


「っ…」


足の痛みが酷くなってきたな。


『レン、貴方やはり足を…』


「これくらい平気!生命の核の話して!」


『…承諾。』


俺は光の柱を目指しながら生命の核について話を聞いた。

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