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第126話『花嫁候補』

優しい評価して下さった方、ブクマして下さった方、ありがとうございます!とても嬉しいです!!

お礼を書くのは既に決めていたのですけれど他に何か書こうと思っていたのに忘れてしまった!!

前回のあらすじ


皆は無事ですか!??



「うっ…いたた…。」


耳と左腕が痛いな…。


『マスター無事だったかァ!?』


「プロメテウス!

さっきは受け止めてくれてありがとう。」


礼を述べると『へへっ』と笑った彼。

彼の周りにはエクスも誰も居ない。


「皆は?」


『はぐれた。俺マスターの事で手一杯だったし気にする余裕無かったんだ。』


「そっか。でもそのお陰で助かったよ?」


『マスター…でも悪ぃ。怪我させちまった。』


怪我?


「別に怪我してないよ?」


『さっき腕を摩ってたろうが。』


「怪我じゃない、打っただけ。」


『…』


何で辛そうな顔をするの?

キミは俺を守ってくれただけなのに。

皆、最近ずっとそう。あの時からずっと…


[おっ?これはこれハ!

我らが王の器ではありませんカ!!]


「っ!?」 『なっ…!?』


どこからともなく聞こえた不気味な甲高い声。

それは目の前に突然現れたカラスから発せられたものだった。


「だ、誰…?」


[名乗る程の者ではありませン。

いやぁこんな奇っ怪な場所でお会い出来るとハ!]


高笑いするカラスと俺の間にプロメテウスが割り込んだ。


『ウチのマスターに何か用ですかー。

つーか何が我らが王の器だよ!

俺様のマスターだっ!!』


「プロメテウス…」


カラスは機械のように首を左右に小さく傾げ続け、

羽ばたく速度を遅くする。


[ンー?

我らが王の器に変わりはありませんがまぁ良いでス。

今日の目的は貴方様では御座いませんのデ!]


目的…?


[女の子を探していまス!御存知でス?]


女の子?もしかして赤ずきんちゃんの事…?

こんな奴に教える訳にはいかないな。


「知らないよ。

少なくともこの森には居ないだろうね。」


[…ふぅン。やはり器になったばかりで我らを認知しておられないご様子ですネ。]


嘘ってバレたか?


『おい、いい加減黙れや燃やすぞ!』


プロメテウスの手から炎が爆ぜるもののカラスは驚く様子もない。


[黙りませン。煮るなり焼くなりご随意ニ。

我らは死にませんのデ。]


死なない?それってまさか…聞き出さないと。

俺が俺であるうちに少しでも皆の役に立たないとね。


「ねぇ、俺は王様の器なんでしょ?

今のうちに媚び売っとけば?」


[…と言うト?]


「質問するから答えて。」


俺の目をつぶらな漆黒が捉え、

少しした後で口を開くカラス。


[良いでしょウ。

答えられるものならば、ですがネ。]


嘘を吐く可能性も有り得る。

たとえ嘘でも情報を掴むんだ。


「ココの動物達が黒い雪の力で不死身になったんだ。

何あれ。」


[ム?それは分かりかねますネ。

何せ我らの主が行いましたのデ。]


「主って?」


[それはですネ]



もう…猪やら鹿やら多いな。

魔力使う訳にはいかないんだけどなぁ。


『レン。』


「なぁにルシファー。」


『嫌な予感がします。』


「…」


俺は走るのを止めた。

ルシファーの勘って当たるから。


「どんな感じ?」


『大量の闇がこちらに向かってくるような何かを感じます。』


「闇、ねぇ。」


もしエクス君が森の主と対峙していて逆鱗に触れたとかだったら相当やばいだろうけど。


「森の主との関係は?」


『…いえ。まだ確証はありませんが元の魔力が違う気がします。ですが…』


「魔力が変になってるとか?」


『はい。元の魔力を核とするのならそれを包む魔力が一緒のような…』


瘴気が目に見えて濃くなっていってるけれど

まだルシファーの魔力感知能力は大丈夫なんだ。


「なら堕天アンヘルかもね。」


『はい。……!レン、私に近づいて!』


「!」


ルシファーは近づいて、と言いながら俺の腕を掴んで引き寄せた。その後、俺ごと残りの6枚の羽根で自身を包んだ。


「いきなりどうしたの!」


『大量のカラスが来ました。闇の正体です。』


赤ずきんちゃんの居場所がもうバレたのか?

それとも誰かが口外した?いや、口外の線はメンバー的に頭の弱いディアレスさんがやらかして喋らなければ有り得ないと言える。

考えながら棒立ちしているままじゃルシファーが直接ダメージを受けてしまう。

何にせよ乗り切らないとまずいよね。


「ルシファー、カラスとの距離は?

俺がすぐに結界を張る。」


『残り100メートルほど。』


100メートルでこの状態は目立つでしょ。

バレてないかもしれないんだから。


「足りる、離して!」


ルシファーの羽根から出て杖を地面に向ける。


「…」


あれ?ちょっと待って、

俺って障壁魔法覚えてたっけ。


『レン?』


やっば。えーと…障壁魔法は…あーダメだ!


「エゼキエル、障壁魔法のページ開いて!」


『…レン??』


エゼキエルはルシファーがくれた俺の魔導書の名前。魔導書エゼキエルは勝手に開き、高速でページを捲る。やばい、蠢く黒い塊がこちらに来ているのがもう分かる。

焦ってエゼキエルを見ると、とあるページで止まった。ん、何か書いてある。【詠唱せよ】?

えーとなになに…?


「光よ…?」


呟き程度の声にも反応した杖の先端が光り、

輝く小さな球を作り出す。それがまるで雫のように

ポタリと地面に落ちると瞬く間に菱形の半透明な結界が張られる。


「うわ凄っ」


驚いているとルシファーから冷ややかな視線を感じる。


『レン、まさか障壁魔法を記憶なさっていなかったのでは?』


「今覚えたから問題無しでーす。

それより構えて。赤ずきんちゃん守るよ。」


『む…承諾。』


俺は杖を通して魔力を障壁に注ぎ強度を上げ、ルシファーは12枚の羽根全てで赤ずきんちゃんを包む。


「わー!すごいすごいっ!」


うん、赤ずきんちゃん楽しそうだ。


『レン、来ますよ。』


「おっけ。」


足と杖に力を込めて目の前にせまるカラスの大群に備えた。


けれど…


「っ…?」


凄まじい勢いで何百と居るであろうカラスは俺達を

気にも留めず結界を避けて通り過ぎていく。

全てが通り過ぎた後でも、戻ってくる気配も無い。


「どういうこと?

狙いは赤ずきんちゃんじゃない?」


『それともまだ知らないだけか。

どちらかでしょうね。』


「…多分狙いは別だ。もしかして…」


普段から女の子と勘違いされている彼の事だったりして?それにこの量…場所が特定された可能性がある。


「追おうかルシファー。」


『承諾。』



『シャル!シャル起きてっ!

ねーえ!マスター!!死なないでぇー!!』


「うっ…うぅ…」


アルテミス…?オレはアルテミスに抱きかかえられている…?耳が痛い…。


『あ、起きたッシャルーっ!!』


「わぁっ!」


目を合わせた瞬間、いきなり熱い抱擁される。


「アルッ…く、くるし…」


『あらごめんなさい!

シャル、お顔をよく見せて。』


解放された次には細くしなやかな両手でオレの頬に触れる。


『シャルの綺麗なお顔に傷が付いたらどうしましょう…謝っても謝りきれないわ。』


「き、気にしないで下さい!

ほら、何処も怪我してませんよ。」


怪我が無いことを証明するためにその場でくるりと

一回転すると、彼女は安堵の表情を浮かべた。


『良かった…本当に良かったわー!

またあの時みたいに護れなかったらどうしようって

思ってたの…』


あの時…それは学校がアビスのせいで騒ぎが起こった時、ですよね。オレが不甲斐ないばかりにローランド君に怪我を負わせ、自分は両足の骨にヒビ。召喚獣アルテミスに上手く指示を出せなかったため連携も取れず…アルテミスを不安にさせてしまった。


「アルテミス。」


『なぁに?マスター。』


「オレが不甲斐ないばかりにすみません。」


『え!?

マスターが謝る必要なんて何処にも無いわよ!』


「いいえ。………いいえ。」


必要がある。

それは自分が一番分かっている。


『マスター…。』


[ムムムッ!!金髪の人間みっケ!!]


「!?」『えっ!?』


目の前に突然現れた1羽のカラス。

何故でしょう。普通のカラスからは考えられない

禍々しさを感じます。


[あーー!!発見発見!!カァーッ!!]


金髪?発見?カラスはどう見てもオレを…。

でも金髪ならディアレスさんだって…


「い、いきなり何ですか!?」


[見つけタ見つけタ!俺当たりダ!!

我らの主ノイズ様とライアー様が喜ぶゾ!]


全く話を聞かない!


『マスター下がって!狙われてるから私の後ろに!』


「アルテミス!」


[ライアー様が見初めた女の子!

女の子発見!!カァッ!!]


……見初めた女の子…?


「あの人違いですよ、オレは男です。」


[そんな手に乗らなイ!隠しても無駄!]


隠してないのですが!?

寧ろさらけ出したのですが!?


「そ、それにライアー様なる方にもお会いしたことなぞありません!」


[会ってル!ライアー様、

空でピカピカとお前を見ていタ!]


空でピカピカとオレ…?

病院でも殿方に声を掛けられはしましたが全て屋内。

となると学校の中ですが…ん?空?カラス…


「あの、ライアー様ってもしかしてカラスでは…」


[正解正解!お前フリフリ可愛いって言ってたゾ!]


フリフリ……ハッ!まさかそれってミカウさんに

課せられた女装の写真の!?

となると空で見たピカピカはレフ板!


「オレ男なので!ライアー様にお伝えを!」


[嘘言えなイ!]


「嘘じゃありません!」


『そーよ!シャルは男の子よ!可愛い男の娘!』


「アルテミスの発言何かおかしいです!」


[大丈夫、大丈夫。もうすぐ迎エ、来ル!]


迎え…?

首を傾げると遠くから沢山羽ばたく音が聞こえてきた。


「…?」


[迎エ!皆で来タ!]


『キャーッ!!?マスター逃げるわよ!!

木の隙間からすんごい量のカラスが迫ってきたわ!!』


オレからは何も見えないのですがアルテミスは

弓を扱う神様ですし目が良いのでしょう。


「行きましょうアルテミス!」


『えぇ!マスター箒に乗って!』


「えっこの森の中でですか!?」


『大丈夫!私が助ける!』


「信じます!」


魔導書を開きアルテミスから頂いた箒を取り出す。

いつ見ても女の子が使いそうな箒に跨ってアルテミスと目を合わせる。


「っ…」


いけない、ふらついてしまう!集中…


『行くわよマスター!』


「はい!」


あの禍々しいカラスがオレを狙うという事はライアー様も彼等も味方ではない。森の主と関係があるのかも分からない。それに今はオレ狙いでもエクス君達にまで被害が及ぶかもしれない。


それなら狙われてるオレが全て引き受ける…!


[逃がさない逃がさなイ!ライアー様の花嫁!!]


『マスターを絶対守ってみせるんだから!』


「守られてばかりでは居られません。

オレの事も信じて、アルテミス。」


『はうっ今キューンッて来たわ!

男らしいシャルも素敵っ♡』


「嬉しいです…!」


アルテミスが天の川のような綺麗な帯を箒に巻くと

速度が桁違いに上がる。


「うっ…!」


体勢を低くして箒にしがみつく。

アルテミスの操作のお陰で木の枝や苗木に当たることは無い。このままエクス君から注意を逸らさせる!



「主の名前がライアーとノイズ…ね。」


[えェ!漆黒が似合う方々ですヨ!]


全く聞いたことがない。

嘘吐きと雑音…多分偽名だろう。


「キミらが言う女の子って誰のこと?」


[金髪の美女だそうでス。

学び舎で貴方様と居た所をライアー様が空から見ておりますヨ。]


学び舎?学校の事か。それに俺と居た金髪の美女?

そんな人知らな…知らない人が見た金髪?美女?

学校の空から?つまり中庭…まさか…


「シャル…!?」


[シャル!可愛らしいお名前ですネ!]


「プロメテウスッ!!コイツを殺せ!!」


『おうよマスター!!派手に燃え散れ!!』


プロメテウスが紅い弾丸の雨をカラスに降らせる。

シャルに手出しはさせない!


[ギャーッ!!]


悲鳴とは裏腹に穴が空いた体がみるみるうちに戻っていく。


『は!?』


「っ…シャルが危ない!!

カラスほっといて行くよプロメテウス!」


『お、おう!!』


無事で居てシャル…!!

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