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第119話『エクス&ゼウスVS他生徒 決着!』

そろそろミカウお兄さんが恋しくなってきました…。

前回のあらすじ


アフロディーテの茨結界に閉じ込められ、アポロンとスカーレット君、武装イーリスと戦うことに。ちょっと困ったなぁ。



僕は出方を伺うべくスカーレット君と睨み合う。最初に目を逸らしたのは彼だ。


「イーリス、アタシは特に指示しないわ。好き放題暴れなさい。」


『畏まりました。』


茨の隙間から射し込む日光がイーリスの杖の宝石を輝かせる。

ゼウスは僕の耳元に顔を寄せた。


『マスター、結界魔法使えるか?』


「え…分からないや。メルトちゃんとかスピルカ先生に任せ切りだから…」


『ならば今使えるようになれ。』


「へっ?」


な、何言ってるんだ??仮に覚えていなかったらそんなすぐ新しい魔法覚えて使えるわけじゃないぞ?


『兎に角マスターは結界を創り出すことと魔法を魔法で相殺する事を考えよ。撃ちすぎると自らアポロンがぶつかりに来るぞ。』


「えぇ!?」


そんなロキみたいな考えを…

ちらりとアポロンを見ると手を頭の後ろで組んで舌を出した。


『バレたかー。』


マジか。

あっ!スカーレット君が杖を構えた!


「もうお話はおしまいよ!」


「!」


彼が深紅の杖を振り上げると僕の足元から巨大なクリスタルが突き出てきた。間一髪でそれを避ける。

足元がぽっこりしたから気付くことが出来たけど連発されたら…!


『イーリス!アポロン!この私に一撃当てて魅せよ!』


ゼウスが召喚獣2人を相手にしようとしてくれている。僕は狙いを定められないように壁際に沿うように兎に角走る。


『ゼウス様、お覚悟!』


イーリスがゼウスの挑発に乗った!アポロンは…


『父上はイーリスに任せるよ。ボクは援護だから…一旦イーリスのマスター君の方に回るよ。』


クソ、冷静だ…。僕はこれから結界魔法見つけなきゃいけないのに!


『【虹楔】!』


イーリスの声が響き、巨大な虹色の杭が素早くゼウスを貫こうと飛んでいく。しかし流石ゼウス。低空飛行で意図も容易く避けている。


「窮地なのに余所見?随分余裕ねエクスちゃん!【クリスタル:クリムゾンローズ】!」


パキパキと後ろから音が聞こえ振り返ると、茨の棘から水晶の薔薇が作られており大きくなっている。綺麗だけど怖!身動き封じられる!


「あらやだ外しちゃった!」


外した?という事は何かを放って薔薇が出来るのか?ダメだ、止まるな。考えようとするとアポロンが矢を放ってくるから。

片手杖であるゼウスの光杖を両手杖であるゼウスの神杖に変えてゼウスと逆の方向へ走る。


そういえば前にゼウスが念じれば魔導書が開くみたいな事言ってたような…?前も同じようなことやったよね…?試す価値はある!


ブックオブゼウスよ!結界魔法のページを開いて!


念が通じたのか魔導書がひとりでにページを高速で捲る。この動作を見たスカーレット君は攻撃を止め杖を構え直し、アポロンも弓を構えていた手を下ろした。


これで結界魔法が使えれば…!


しかし魔導書は捲るページが無くなった後、パタリと閉じて裏表紙を見せたまま動かなくなってしまった。


「あ、あれれ?何で!?」


驚いて魔導書を掴んだ僕を見てアポロンが


『ははーん…さては父上のマスター、魔導書に無い魔法使おうとしたでしょー?』


と僕を嘲笑う表情を浮かべた。

魔導書に…無い魔法!?

じ、じゃあ今からでも会得しないとまずい!?


「アポロンの言う事に図星みたいね。畳み掛けるわよ!」


スカーレット君は容赦なく僕に向かって魔法を放つ。それは避けられるけれど場所が狭くてゼウスを巻き込まないかとか、体力が無くなってきてそろそろヤバい。どうにか結界魔法を…


『【アイリスオース】!!』


イーリスが思考を巡らせていた僕に杖を向けた。


『マスターッ!』


考えている暇無い!僕も杖をイーリスに向け


「【天帝神雷・天誅】ッ!」


杖の先から雷の龍を放つ。イーリスの攻撃、茨ごと消し飛べ!


龍はイーリスの攻撃を喰らってイーリスに向かって突撃した。が…


『ご無事ですか主様!』


「えぇ、ありがとねイーリス。」


イーリスが虹色に光る半透明な球体のバリアで守ったのか!彼らが無傷なのは良いけど…茨まで無事だなんて…攻撃を吸収された?


『マスター!無事か!?』


ゼウスが焦って隣へ来てくれる。


「う、うん。大丈夫。」


『さてどうしたものか…。っ!?』


ゼウスが突然僕を抱きしめた。

えぇええっ!??な、なに!?


「今更気付いても遅いわよゼウス!斃りなさい!!」


スカーレット君が手を挙げた直後、ゼウスに引き寄せられる僅かな時間の記憶を思い出す。茨の隙間から沢山の召喚獣の手や召喚士の杖が見えた気がする。

という事はその時既に包囲されていた!


ヤバいと思ったその時、周囲がスローモーションに見えた。動きが遅くなった世界で僕が見たのは茨に出来た傷。穴が空いているアレはスカーレット君の薔薇のクリスタルが咲いた場所?その証拠に小さなクリスタルが何個か付いている。


天帝神雷の攻撃は吸収された。

でもクリスタルの場所には穴が空いた。

つまり茨の場所によって強度が違うのかも。


「ゼウス!僕を離して!」


『ぬっ!?』


半ばゼウスを突き飛ばすようにして自由になった僕は杖を振るった。


「おらぁっ!!」


詠唱忘れた!!けれど杖は分かってくれていて強力な雷の球を茨に向けて放った。


「なっ…!?エクスちゃんったら何を…」


皆が驚いて攻撃を仕掛けてこないことを良い事に僕は雷を当てた場所に目を向ける。


ビンゴ…!穴が空いている!


「ゼウス早く!」


『う、うむ…!』


「あ、待ちなさい!」


ごめんねスカーレット君!僕は負けたくないんだ!


「いらっしゃいエクス。」


茨の結界を抜けた先には…

ヨシュアが笑っていた。僕はヨシュアと生徒達に囲まれていた。


「ヨシュア…。」


アルテミスやシャル君、ヨガミ先生が弓を構え、アフロディーテとローランド君が杖を構えているのも見える。後ろにはスカーレット君やアポロン、イーリス。


「本当は茨の隙間から攻撃を通して潰すつもりだったんだけど…エクスなら結界から出てくると思ったよ。」


『なら飛ぶことも想定内だろう?』


ゼウスが飛ぼうとした瞬間、視界が真っ黒に染まる。


「っ!?何!?」


『これは…夜?!』


夜!?さっきまで明るかったせいで目が慣れない!


『攻撃が来る、避けるぞマスター!』


手を引かれ足が地から離れる。


『くそっ…何故攻撃の軌道が的確なのだ!』


珍しくゼウスが焦り始めている。するとシャル君の声が下から聞こえる。


「エクス君とゼウス様が空中で戦っている時にオレとアルテミスが皆さんに夜に命中率が上がる魔法を掛けていたのです!」


夜バフを予め仕込んでいたのか…!


『チッ…だから弓が武器のアルテミスが動かなかったのだな…!』


「でも流石ですね、攻撃が全く当たりません。ふふっ!」


『あらーシャルったら楽しそうねぇ!パパもそのマスターも凄いもんね!よぉーし、ノートちゃん!パパ達潰しましょ!』


『♪』


くそ!周りが見えていないの僕だけか!?攻撃も光って見えるから目がチカチカする!


『アルテミス頑張っちゃう!【ガラクシアース】!』


楽しそうで綺麗な声と同時に天の川が現れ僕達を捕らえんと伸びてくる。


『アルテミスか!!くっ…』


「残り1分!」


スピルカ先生が残り1分と言った!


あと1分もあるのか…!

僕が結界魔法さえ使えれば!!

思い出せ前世の記憶を、使えた魔法を!


…やばい!記憶が霧がかってるようになってて上手く思い出せない!思い出せ思い出せ!レンと戦った時に酷使したろ!!名前、名前は…


「ひ、光の…」


『マスター!?』


光の〜…っ!!違う何だっけ!!確か響きがカッコよかった気がする…あ、思い出した!


「【王の凱旋(ロストアトレーテス)】!!」


『あっ!?マスターその魔法は』


「へ?」


焦ったゼウスの声が耳に入った時には既に神杖が光ってしまった。

そして光は段々と増して夜を払う。


「わぁー…あ?わっ!」


杖はまだまだ輝き、目を瞑るほどになった。

下の皆も悲鳴を上げている。


『ぐ…っ』


ゼウスまで苦しそうな声が!


杖の光が弱まったのを感じ目を開ける。



と、



「…あれ?」


アルテミスを始め沢山の召喚獣が…消えていた。後ろを振り向くとイーリスやアポロンなど無事な召喚獣が多い。


「な…にが起こったんだ?エクス、一体何を…」


ヨシュアも皆困惑している。

僕も分からない。


『ま、マスター…その魔法は何処で覚えたのだ?』


ゼウスが震え声で尋ねてきた。前世の記憶だなんて信じれないだろうし…


「何かポンッて頭の中に浮かんだ言葉を口にしただけなんだけど…。」


そう誤魔化した。


『それでよくあの魔法を放てたものだな。

アレは光の使者を呼び出して攻撃させる究極に限りなく近い上級光魔法だ。』


今、攻撃って言った?


「ぜーうすっ!今、何つった?」


『だーからぁー光の使者を呼び出して攻撃をだな……あ。』


スピルカ先生に気付かず喋ったゼウス。気付いた時には時すでに遅し。先生はそれを聞いて満面の笑みを浮かべた。


「じゃあエクスとゼウスの反則負けって事だな!」


「あ…」

『あぁあ…』


『「が、頑張ったのにぃいいぃぃっ!!」』


僕とゼウスの悲痛な叫びとチャイムが同時に響き渡る。そして僕は地面に倒れた。


「お疲れ様エクス。」


ヨシュアや皆が僕を覗き込む。


「まさかアンタがあんなに走るとは思わなかったわ。折角イーリス武装したのに。」


スカーレット君には殺されかけた…。

メルトちゃんは死にかけの僕に微笑んでくれる。


「凄いわエクス君!ゼウス!あんなに沢山の魔法を魔法使わず避けるだなんて!」


相殺はしたけどね…。相殺…そういえば僕の魔法でちゃんと相殺だけ出来てたよな。相手以上でも以下でもない魔法を出せてたんだ。

それだけでも成長したかな。


「ねーねーエクス君、最後どうやったの!?」


「ぐふっ!!」


イデアちゃんが胸に飛び乗ってきた…!この状態は色々とヤバい…!


「僕も目を瞑っちゃって分からないんだ!

光の使者が何とかってゼウスが言ってた!」


力を振り絞ってイデアちゃんを退かし立ち上がってゼウスへ体を向ける。


『アルテミスとノートが皆に掛けた夜の魔法…あれは光に弱い。それにこの私が目を瞑ったのだ。即ち誰しも目を瞑ったろう?そのスキをついて光の使者が攻撃したのだ。』


光の使者かぁ見てみたかったな。

…何で前世の記憶が思い出せなくなってきてるんだろ。結界魔法、そのうち使えるといいけどな。


「皆!お昼ご飯食べましょ!」


メルトちゃんに頷いて皆でお昼ご飯を食べることにした。

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