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第115話『不調?の僕』

前回のあらすじ


授業が再開して薬学から!…なんですけど、僕の魔力調整が雑魚過ぎてやばいです!!



「エクス、頑張って…。」


ヨシュアを始め6人の応援を受けながら頑張ってはいるのに中々出来ない。瓶は大破するし皆は作り終わって終わっていくししんどい…!


「エクス君、ファイト!」


メルトちゃんに応援され再度頑張ろうと思い水に向けて杖を振った。そして夜光石投入…すると今までの中で1番手応えあり!ちゃんと光った!これでもう1回魔力を注ぎ込む!


「よい…しょっ!」


次の瞬間真っ白に発光!辺りを包むほど眩しくて目を閉じた。ゆっくりと光が収まってきたのを感じて目を開けると瓶の中に白色に輝く何かが入っていた。や、やった…!!作れた!!


「皆作れたよ!!」


皆に見せると笑顔のまま固まってしまった。…ん?何か変なこと言ったっけ。あまりに皆が喋らないから不安になっているとスカーレット君が口を開いた。


「エクスちゃん、それ…何?」


「え?何ってクリスタルだよ?」


「えぇ?でもアタシのと違くない?ほら…」


彼は自分の作ったクリスタルと並べて比較した。…あれ、僕のクリスタル変だな。水色感ないし、紫感がない。透明とか白だぞ。

クリスタルを見ていたら他の生徒の様子を見に回っていたヨガミ先生が戻ってきた。


「よぉエクス。後はお前だ…け…ってお前それどうしたんだよ!!」


「えっクリスタルの手順で作っただけです!」


目を見開いて驚いているヨガミ先生に瓶を渡すと、中から物を取り出して色々な角度から覗いていた。そして目線を僕に戻した。


「やはりこれは…貴重な石だぞ!レインボークリスタルと呼ばれるものだ!」


れ、レインボークリスタル??


「クリスタルの上位互換だよ。奥深くの洞窟特有の魔力の中で何百年と魔力を貯めた巨石からごく1部しか取れないと言われているレア物の石だ…。まさか本物を見れるとは…」


あれ、待てよ。レインボークリスタルって確かレアな装備品じゃなかったっけ。特定の召喚獣に装備するとめっちゃステータス上がるっていう。レインボー…虹…あ。思い当たる人が1人。


「これ、スカーレット君にあげる。」


「えっアタシ!?何でよ綺麗なんだからメルトちゃんにあげなさい?」


やっぱりスカーレット君は自分のことよりって感じだ。だから僕は首を横に振った。


「あげたいんだけどスカーレット君に円卓会議の時にメイクしてくれたお礼まだ出来てないし、イーリスって虹の女神でしょ?多分役に立ってくれると思うんだ。」


「えぇ、そうよスカーレット君。エクス君が作った物だからエクス君の思いを受け取ってあげて。」


メルトちゃんがそう言ってくれた事もあってヨガミ先生からクリスタルを受け取りスカーレット君に渡した。その瞬間、クリスタルが虹色に光り輝いた。


「っ!」


僕達はその輝きに目を閉じ、再び開けるとクリスタルは勝手に現れた彼の魔導書の表紙に埋め込まれるように収まっていた。…え?魔導書に同化した?


「な、何かしらコレ…い、イーリス?呼ぶわよ…【summon】!」


魔導書の中から光と共に虹の女神が現れた。


『主様…このイーリス、武装の準備が出来ました。いつでも可能です。』


「ぶ、武装の準備?」


『はい、私の魔力強化確認。武装してもある程度魔法を放ち、持ちこたえられる程に魔力が増えました。』


私の、って事はスカーレット君自身は魔力量増えてないのかな。聞かないと。


「ねぇイーリス、スカーレット君の魔力は増えてないの?」


僕の疑問に少し寂しそうな顔をしたイーリスはこくりと頷いた。


『はい、ゼウス様のマスター。主様の魔力増量は確認出来ておりません。』


「そっか…ごめん。」


「は?」


謝ったら「は?」って…スカーレット君が怖い…。


「勘違いしないでよ。イーリスがエクスちゃんのおかげで強化出来たのよ。それ以上何を望めと?」


「それに、俺が持っても何も反応無かったのにスカーレットが持った瞬間輝いたんだ。こりゃお前が選ばれたとかしか考えられねぇよ。」


ヨガミ先生の言葉は確かにその通りだ。ヨガミ先生もスカーレット君も同じ黒い手袋してるのにスカーレット君が持ったら輝いたんだからなぁ。何にせよ、役に立てたみたいで良かった!


「安堵の表情してるがエクス君よぉ、忘れてねぇか?お前、クリスタル作れてねぇぞ。」


え?作れてない?何で…


「あーっ!!!」


そうか課題は出来てないんだ僕!!やばいやばい時間的に次で最後くらいだよな!?


「ヨガミ先生泣きの1回です!!」


「おうよ、ほら!」


水の入った瓶と夜光石を投げ渡され、焦ってキャッチし手順通りにやっていく。夜光石が輝くまではおっけ…。つ、次!慎重に慎重に!!これが出来なかったら地獄に行くと思え!!


「せいっ!」


その後クリスタルはヨガミ先生の手の中で呆気なく壊れ、僕だけ補習じごく行きが決定した。



「はぁ…」


寮に戻って次の授業である実技の為、ジャージに着替えていた。補習が決まったことで僕のテンションはだだ下がりだ。


「しょ、しょうがないよエクス…でも上位互換でしょあれ。十分凄いよ!」


「気を遣わせてごめんね…。」


ヨシュアに気を遣わせてしまっている始末。自分の魔力調整の雑魚さが嫌になるーー!


「次の実技何するんだろうね。俺、楽しみだよ。」


「箒に乗るのは勘弁して欲しい…。」


あの箒に乗れば次こそ本当の意味で地獄へ行く気がしてならないから。


「っはは!大丈夫だってエクスならさ!それに箒じゃなくて実際に武器を交えるかもしれないよ?」


と言うヨシュアの目が僕を挑発しているように見えた。


「ま、負けないよ!」


お互い笑いあって一緒にグラウンドへ。


「我がライバル達よ!こちらだ!」


先に来ていたローランド君とシャル君が手を振っていた。2人の傍に行くとスカーレット君も到着した。


「あら、メルトちゃんにイデアちゃんはまだなのね。」


スカーレット君がそう言った直後、女の子達が走ってきた。


「みんなー!」


まだ時間あるから走らなくて良いのに。

メルトちゃんは僕の隣に来てくれて、イデアちゃんはスカーレット君に抱きついた。


「もうイデアちゃん。危ないでしょ?」


優しく注意するスカーレット君に対して笑顔を見せて


「えへへ、ごめんなさーい。シャル君に抱きつこうと思ったんだけど足がまだ完全じゃないから変えちゃった!」


シャル君を指さした。


「お、オレだってイデアちゃんを受け止めれるくらい大丈夫です…!」


「我が麗しの同胞よ、君に何かあれば彼女の責任になるのだ。無理はいけない。」


確かに。ローランド君がまともな事言ってる。


「そーそ、お嬢は今回見学な。」


ヨガミ先生の言いそうな台詞なのに声が先生じゃないぞ?すぐ近くに聞こえた声の主はスピルカ先生だった。僕達の視線を集めた先生は楽しそうに笑う。


「んへへー驚いたか?ヨガミが言えって言ったから言った!似てた?」


「あんま似てない!」


イデアちゃんバッサリ言うなぁ…と思ったけれど先生自身もそう思っていたらしく「だよなー」と笑っていた。そして少し遠くで朝礼台のような台に乗っていたヨガミ先生を指さした。


「お前ら!今回の実技は体術戦!武器を持つぞ!」


え…。た、体術戦??そんなの知らないぞ?


声を聞きやすくする為にバラバラに居た僕達生徒はヨガミ先生がいる台の周りに集まった。


「武器は勿論レプリカ。相手に付いている紙風船を先に全部潰した方の勝ちだ。」


あぁ、バラエティ番組で芸人さんがやってたのに似てるかな。


「武器は剣、槍、銃からの3種類。何故杖が無いかと言うと魔法禁止だから。銃の弾は偽物だ。」


そう言ってヨガミ先生は隣に置いてあった箱の中から拳銃を取り出し、


あろうことか少し離れていた僕の額を撃った。驚きのあまり背中から倒れ込んだ。


「いっっったぁっ!!!」


「このように、偽物だが紙風船をぶち抜ける威力がある。銃を選んだ奴の相手はゴーグルを付けてもらうぞ。」


何が当たったんだ一体…!視線だけ動かすとオレンジ色の小さな球体が目の前に転がってきた。もしや懐かしのBB弾では?


「まずはエクス!ヨシュア!お前達が実験台だ!武器を取りに来い!」


いきなり名前を呼ばれて砂を払いながら起き上がるとヨシュアも驚いた顔をしていた。でも行くしかないと思い、2人でヨガミ先生の前に。


「この箱に武器がある。どれを使うかはお前達次第だ。」


僕はゼウスの神杖だから本当は杖だけど…どうしよう、無難に剣…?

ヨシュアは既に銃を手にしていた。ちゃんとマガジンも一緒に。ヨシュアは遠距離、なら僕は剣で行こう。主人公っぽいし。


武器を選んだのを確認したヨガミ先生は小さく頷き、僕達に紙風船がくっついたヘルメットと右肩、左腕に紙風船がくっついたベルトを付け皆から少し離れるよう指示した。


「エクス、ゴーグル。」


また投げ渡された。上手くキャッチして装着すると視界が狭まったように感じる。


「ヨシュアは普段の武器だろうがエクスは違うな。武器は毎回変えるから自分に見合った武器が無い場合は練習と思って諦めてくれ。」


なるほど…でも魔法禁止なら杖は永遠に使えないよな。どうするんだろ。


「さぁお前ら、合図したらすぐ動けよ。」


その声で自分の身体にも辺りの空気にも一気に緊張感が走る。と、取り敢えずヨシュアに的を絞らせないよう色々走り回ろう。その間に戦略を練る!


「それでは…始め!!」


ヨガミ先生の声が聞こえたと頭が認知した時、同時に3発の銃声が聞こえた。


「はれ?」


銃を構えているヨシュアを捉えている視線に突如紙切れがヒラヒラと舞う。

肩と腕に付けた紙風船を確認したらもう既に無くなっていた。紙風船だったであろう紙は地面に落ちている。


僕はあの一瞬でヨシュアに負けた…?

ヨシュアは一瞬で…撃ち抜いた…?


「あれ?エクスもしかして手加減してくれた?」


ヨシュアは眉を下げてこちらを伺う。


「い、いや…」


手加減も何も全く動けなかった。動こうとはしたのに…。

誰もヨシュアの速さについていけず、場は静まり返っていた。

ヨシュアの視線に気付いたヨガミ先生はハッと我に返り手を挙げる。


「よ、ヨシュアの勝利…。ありがとうお前達、戻ってくれ。」


驚きすぎて声が出ない。喋る気も起きない…。

ヨシュアは駆け足で僕の横に来た。


「エクスどうしたの?体調悪いの?」


「そ、そんな事ないよ…ヨシュア凄いね。僕動けなかったよ。」


複雑な気分が僕の顔を俯かせる。


「エクスに動かれたら俺に勝ち目無いと思って先手必勝!ってね。」


「僕は魔法使えないと最弱だよ…。」


「そんな事ないって。あ、次ローランドとスカーレットだよ。」


椅子に座って見学していたシャル君を挟むようにして体育座りした僕達。


ローランド君は剣、スカーレット君は槍を持っていた。


「それでは…始め!!」


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