泥水
いじめ
あの雨降り続く中
君は裸でした
平気だと笑う君を
僕は知らぬ顔した
平気な顔した僕の
心にもう雨は降らない
あれほど降った雨も
いつの間にかやんでいる
君の心の雨はやまない
テレビの中のコメンテーターは
いじめられるやつを弱いという
僕は君を笑えない
君は十分に戦っている
負けちゃダメとか
立ち向かえとか
そんな偉そうなこと
誰が君に言えるだろう
君は戦った
顔だけ知られてるやつより十分に
あの雨上がりの日
君は泥水を飲んだ
平気かと問うた僕に
微笑んだ君の心の声は
どれほどのものでしょう
嵐のように吹き荒れた
悲鳴が聞こえたなら
君はあの日空を
舞わずに済んだの
顔も知らないどこかの誰かは
立ち向かわなかった君を笑うだろう
僕は君をたたえよう
君のそのつらい戦いを知るから
負けちゃダメとか
立ち向かえとか
そんなひどいことを
誰にも言わせやしない
君は戦った
顔も見せないやつより十分に
すっかり晴れた日
僕は考えてしまう
君の楽しそうな顔を
泥水を啜ってでも
生きることはできなかったのか
どうにか生きてほしかった
君のいない町が
こんなにさみしいなんて
僕はまだ知らなかった
君がいなくなったところで
世界は何も変わらなかった
あいつも何も変わらなかった
ただ君がいなくなった
君のいない世界で
僕は一人 心を乾かす
僕の心に花は咲かない