花が咲くように笑う彼女をまともに見れなくて、目をそらした。
そんな目で見るのはずるいよ。捨てられた子犬の目だ。
「わかった。一緒に行こ」
彼女は嬉しそうに笑った。
街灯は疎らで、住宅街なのに明かりはほとんど点いてない。通学路が全然別の顔をしてた。
握られた手が冷たい。
アスファルトを照らす懐中電灯は頼りなくて。彼女が泣きそうにべったりくっついて来た時にようやく目当てのものを探し当てたらしい。
温もりはあっさり離れて汚れたマスコットに駆け寄った。
「レオ君、落としてごめんなさい」
それは僕のあげたキーホルダーだった。