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第二話:自己考察



いま、生きているか?


と質問したとしよう。大半の人が当然、生きていると答えるだろう。

では、いま目の前の赤ん坊に『生きているか?』と質問してみよう。



Q、いま貴方は生きていますか?



A、あれ? 俺は死んだはずだよね?



※※※



さてさて、今日は読書をしながら自分について考えよう。


自分は死んだ。


は?


今木陰で絶賛読書中じゃないかって?


HAHAHA、それはね、死んだ後赤ん坊に生まれ変わったのさ。


うん、輪廻転生ってヤツだ。

しかも、前世の記憶がハッキリあるタイプのね。


え? ラッキーじゃないかって?


まあ、前世の記憶持ち転生キタコレ! これで勝る……て、前世の自分なら言っていたでしょうが。


すこぉし問題が有りましてね。


まず、産まれた国。


どこだと思います?


正解は『漢』


『おとこ』ではないですよ『かん』です。


そう、昔の中国にあった漢です。


しかもね、今の帝は霊帝なんですと。


うん、もろ後漢。

しかも三國時代まであとちょっとだね。


やったね! 劉備に会えるよ!


……って、喜べるかぁぁぁ!

三國まであとちょっとって事は、黄巾の乱直前って事じゃないかぁぁぁ!


ヤッバ! マジでヤッバ!

死亡フラグ満載じゃぁあ~りませんか。


ハハハ……


まあ、ここは幽州のかなり田舎の方だし、何とかなるかな?

しかし、そうなると将来はどうしようかな?

このまま農民でも良いかもしれないけど、幽州じゃなぁ……

まあ何処でも一緒かもしれないが、出来れば死にたくないし。

自慢じゃないが、自分には武将は無理だ。

こないだ母に

『お前は武の才能は欠片もねぇな。』

と、ありがたいお言葉をいただいた。


ん? 武将が駄目なら軍師になれば良いじゃない?


ハハハ、どこのマリーさんですか?


ハッキリ言ってそれも無理ですね。


うん。

カミングアウトするとですね、前世では県内でも有数のバカ高校出身なんですよ。


諸葛さん?


司馬さん?


周さん?


そんなのと張り合う?



ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムダムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリィィィィ!


ハァ……ハァ……何か途中で違うのまじったが、マジで無理っす。


じゃあ何が出来るかと言うと……



アカン……思い付かん。


一応かくれんぼが得意だけど、ソレ以外は全滅っぽ。


隠れる→忍→忍者→キタコレ!


……無いわぁ……三國の時代にきて忍者って無いわぁ。


て言うか、何故に戦うこと前提?


そこまで脳筋じゃなかったはず、なんだがな。


オカンが、隅から隅まで筋肉で出来とるから、うつったか?

まぁ良いか。


幸いまだ少し猶予は有りそうだ。

ゆっくり考えよう。



「お~い、し~ん! あーそーぼ!」



はーい



ご近所の賛ちゃんに返事をして手をふる。


さあ、今日は何をしようかな?





※※※※




その日の李蒿は、最高にハi……ではなく、最高にご機嫌だった。


家事ひとつこなしている最中に鼻歌を歌うその姿は、李蒿を知る者がみたら、『病気か?!』と疑ってしまうほど、その舞い上がり方は普通ではなかった。


もちろん、李蒿をそんなにご機嫌にさせる相手なんて、一人しかおらず。

現在かくれんぼで連勝記録を更新している震だ。



(なんともまぁ、あたしとあの人の子だから期待外れではあったけど、あの天才的な気殺は予想外だったね。

頭も悪くはない様だし、天下の大将軍は無理でもその他で立身は期待出来そうだね。)



子供の将来を夢見つつ、茶碗を洗い終わり、続いて洗濯を開始する。


無論、震が幸せなら、このまま農民として一生を過ごすのも有りだ。

ただ、子供の可能性が多いほど親としては楽しいから、その可能性を伸ばしたいと思う。



(楽しいね。

あの子は一体何に成るんだろうね。まったく、あたしが母親なんて似合わないと思うけど、面白いよ。コレを幸せって言うのだろうね。)



今日も桶の中に震の着物と灰を入れつつ、上機嫌で洗濯をする。




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